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社会不適合者の恋愛論  作者: 澄泉


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59話 ドロー、澪桜のターン




「……まあ。そんな感じだね。」


澪桜は淡々と話した。



「……なんで別れたの?」

最後に気になるのはそこ。

どういう経緯だったのか


「……彼は帰りにフラグを立てたんだよ。」


「……フラグ?」

眉を顰める


「『中学校の同窓会が来週あるんだ。それで初恋だったクラスのマドンナと幹事の係になったから明日会うんだ。楽しみだな。あ、彼女とは何でもないよ!』ってね。それで私は『良かったね。同窓会楽しんでおいで』そう言って解散したよ。」


唖然とする結城

先を予測してしまう

いや、有り得ない。


「え……もしかして……まさか。」


「そう、お察しの通り。その後4日間音信不通になって、いきなり『初恋の人と付き合う事になったからもう連絡しないで』って!で、呆気なく終了」


何でもないという表情の澪桜

結城は相手の男の価値観が全く理解できない。


告白してきておいて、初めてのデートの日に澪桜との約束を平気で破ろうとし、暴言を吐き、そして次の日に違う女と会う……。


しかもそんなクソみたいな理由で

安達さんを切り捨てるなんて……


その相手が……俺なら……

俺だったなら……

もしかしたら今頃……


悔しくてはがゆい。


「腹立たないの?……何で告白してきたんだよソイツ……」



「んー?好きになってくれない会話も合わない変な女より、自分を好きになってくれる人が現れたら……誰でも傾くだろう。まして初恋の人なら尚更。

申し訳なかったしね。相手に対して気が効いた褒め言葉一つ思い浮かばないんだから。

だから腹を立てる筋合いは私には無いと思う」


淡々と話す

他人事のように……

結城は気になった


「仕事で知り合ったんでしょ?その後どうなったの?取引先の担当者だったんでしょ?」



「それが理由は分からないんだけど、年明けから担当者変わったんだよ、女性に。だからそれっきり会ってないよ。」


最後に……

モヤモヤの核を聞く。


「……そいつの顔とか声とか性格とか……まだ覚えてるの?」


忘れられない

彼女は言った。

即座に違う女に走るようなそんな男

早く忘れて

俺だけを見てほしい。

親友でいいから。


澪桜は首を振った



「……いや?何も?……もう名前も……覚えてないね。そこの会社との取引も数年前のその時だけだった気がするし。」


一瞬止まる


「……え?……でも忘れられないってさっき……」


「それは出来事だけだよ!後は覚えてない。」


……


忘れられないって……

そういう意味かよ……


「……紛らわしい。」

ホッとしながらボソッと呟いた



「……所で君。さっきから人の事ばっかり聞いてきて……自分は一体どうなんだい?」


悪い顔で覗き込んでくる澪桜

一瞬ドキッとする


「えっ……なっ……何が??」


「……今まで恋愛は?恋人とかは?どうなんだい??そこんとこ。」


ニヤニヤと聞いてくる

やばい……

澪桜のターンに入ってしまった事に

今更気づく。


あのことが……バレてしまう!!!


焦る結城

「それはっ……その」


「山本さんが言ってたよぉ?結城さん。君、凄いモテてたって!大学生の頃から」



「なっなにそれ!?アイツ……何でっ!!」


おのれ山本ぉぉぉぉ!!!!!あの野郎ギタギタにしてやる!!!!

心の中でブチ切れる結城。


でも今は誤解を解きたくて必死


「えぇー??しょっちゅう告白されてきてたらしいじゃないか!山本さんから聞いたよ、凄いね!よっ!この色男!!」


オッサンみたいな煽り方しないで安達さん。

そして山本。あいつマジで1回シメる。


と……とりあえず誤解を解かなければ

安達さんの中の俺が……終わる!!!

チャラ男と化してしまう!!!


「そんなんじゃないよ!!本当に誤解だから!!!」


アワアワとしながら答える


「でも……何回かは付き合ったことあるでしょう?結城さんだもん。優しいからねぇ、君は。

クレストリンクって言ったら女性が活躍する職場だってよく取り上げられているみたいだしね。沙也加ちゃんが言ってたよ。」



やばい……

もう……逃げられない。

かっこ悪い

嫌われたらどうしよう。

ダサいって思われたらどうしよう。


結城は一応前置きをした。

安全の為


「……ドン引きしない?その……俺の話聞いて。」


「……内容によるな。」


それが怖いんだよ!!!安達さん!!なんでそんな淡々としてるの!?


仰け反りそうになる


じっと見つめる澪桜。


とうとう結城は観念して言った。


「……彼女いない歴……年齢なんだよ。俺」


キョトンとする澪桜


静まり返る部屋

そしてゆっくり意味を咀嚼し

理解した後で反応した


「えええええええええええええ!?いやいやいやいやいやいや!!!嘘だ!それは嘘だよぉぉぉぉ!!!」



物凄く正直なリアクション。



「いやいや!本当に!!!本当なんだよ!!!安達さん信じてよ!!」


必死に言う

その様子に嘘では無いと気づいた澪桜はそれでも納得出来ない


「……そんな事……いやでも……俄に信じ難い……」


それでも信じて貰えなくて

結城は反論する


「……それ、俺も同じ事思ってたけど?」



「いや、私は変人だしそれっぽいだろ!壮絶な顔面のパッと見スマートとは違う!」


なぜか誇らしげに線引きをされた。

なんかムカつく


「何その変な自信!!そしてなんか失礼な言われ方!パッと見スマートってどういう意味!?心外だな!!!」



「だって君、蓋を開けたらポンコツじゃないか。……蓋を開けたら。」


「蓋を開けたらって何!?俺会社ではちゃんとしてますけど!?」


カッコイイとこだってあるよ!?

澪桜に必死でアピールする

クスクスと笑いながら澪桜は続けた


「いやでも、そんな所を好ましく思う綺麗な女性もたくさんいたと思うよ?

……可愛いって。

だから何で付き合わなかったのかなぁ?とは思うけどね。愛されていただろうに。」



ズキっ

心が軋む

どうして……突き放す様なことを言うの?

俺の心はもう決まってるのに


寂しそうに笑って結城は続けた


「……例えそうだとしても要らない。俺は自分の好きになった人しか愛せないし、愛して欲しいなんて思わない。

だから誰とも付き合わなかった。

……それに今はもう安達さんという親友がいる。

……もうきっと一生恋はしないだろうね。必要ないから」



それを聞いて

澪桜は目を見開く


何を思っているのだろう。

君の気持ちが……知りたい

少しは俺の覚悟が本気だって……伝わった?


「……そっか……君は本当に意志の強い人だね。

モテないとか、縁がないとかとは違う。

自分の意思で決めて生きてきたんだね。……そしてこれからも。

…結城さんは誰かに愛されるべき人だと思うのに。……恋は必要無いんだね……君には。」


あれ……?


澪桜が一瞬だけ

悲しそうな顔をした気がした。

でも一瞬の事で確信が持てない。


またすぐ優しい笑顔に戻り

結城に言った


「……じゃあ、私が一生……君と親友でいるよ。ずっとこうやって楽しく二人で生きていこう」


“一生”


とうとう……言ってくれた。

ずっとその言葉が聞きたかったんだ。



大丈夫、友達のままでも俺は幸せだ。

君とずっと一緒にいられるなら。

一生傍に居られるなら。


幸せそうに笑顔で返す結城


「うん。……これからもよろしくね、親友。」



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