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社会不適合者の恋愛論  作者: 澄泉


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54話 二次会with結城



「山本様お待たせ致しました。15番のお部屋にどうぞ」


店員から伝票を渡されて澪桜が受け取り会釈する。


「私今推しがいるんですっ本人映像で歌いまくろー!!!キャー!!!」

酔っ払ってテンションMAXの松井が我先にと突っ走る


「走るな!!コケる!!!」

澪桜が松井に叫ぶ

まるで生活指導の先生だ。


「お前トップバッター行け」

首だけ振り返った山本からの安定の無茶振り。

隣を歩く結城は少し期待する


(安達さんの歌声が聴ける……尊。)


白けた目で見つめ澪桜は言う

「嫌です。ゆっくり選びたい。まだ何歌うか決めてないし断る。」


「あれ歌えよ。いつも歌ってるアリア……何とかの。」


「アリア・ガーデン?……えええええ?別にいいですけど。……チッあたし最近覚えたやつ歌いたかったのに。」


「後で歌えばいいだろ。舌打ちすんな!」


2人の流れるような会話。

自分の知らない澪桜

如何に山本と仲良くやって来たかが分かる

だから少し妬いてしまう


結城は澪桜の袖を引っ張った。


「……それ俺も聴きたい。アリア・ガーデン、留学中によく聞いてたから。ファストフードとかで。」


別にいい思い出という訳では無いし好きでもない、

だけど話題に入りたい。


「そっか、懐かしい系なんだね。結城さんにとって。じゃあアリア歌うかー!」


急にやる気になる澪桜


自分の要望が通って結城は嬉しそうにする


「……お前、凄いな。色んな意味」


山本が嘲笑う

意味がわかった結城は顔を真っ赤にし無言で脇腹に蹴りを入れた


「ぐっはっ!!てめっこのっ……」

山本が関節を固めようとするが

結城にスルリと躱された

二人揃うとなんだか学生のようだ。


澪桜は後ろからクスクス笑って歩いた。


部屋に入ると

松井がセッティングしていた。

タッチパネル2つ

マイク


少し残るアルコールとカラオケボックス特有の香り


「はーい、セッティング終わりました!結城さんと澪桜先輩はそこ!山本さんはこっちね!」

勝手に席を決める


結城は松井さんグッジョブ!と思いつつ

その席に澪桜を誘導し自分も寄り添うように座った

澪桜との距離は……30cm。


「よし!お前ら何飲む??なんか食うか?周お前何も食べてねぇんじゃねえの?」


店員に繋がる電話の傍で注文を聞く山本

「……家出る前に食ったから要らない。……アイスコーヒー。」

愛想なく答える


「はいはーい!私はジンライム!」

「お前まだ飲む気かよ!?そしてそれ度数強くないか!?」


山本が突っ込む。


「……私はココアミルク。甘いのめっちゃ飲みたい」

スイーツが欲しくなる澪桜。

食後のデザートのつもり。


(甘いの欲しいとか……安達さん可愛い。)

ほわほわする。


澪桜は隣にいる結城に目をやる

いつもより近くに居るからか

フワッと……優しい香りがした

やっぱり結城さんっていい匂いするな

……相変わらず女子力高め。……と思う


「さて!歌え!!!」


「はいはーーい!私トップバッター行っきマース!」

元気よく答えた

さっき話した打ち合わせと違うが相手は酔っ払い。

山本はまいっか!と思いながらマイクを渡す

推しの映像が流れた瞬間

松井が奇声を挙げて興奮する


唖然とする結城

澪桜は笑いながら言う

「今お気に入りなんだって。あのアイドル。

……綺麗な顔してるよね、確かに」

そう言いながらタッチパネルを操作する


モヤッとした結城

「……安達さんもあのアイドルの事好きなの?」


(あんなふうに薄らメイクして……髪型とかも真似したら喜んでくれる?……アイツなんかじゃなくて、俺を見てくれる?)


「……ん?私?……好きじゃないよ。芸能人を好きだって思ったことが無い。残念ながら」

アリアのページをスクロールする。


それを聞いてホッとする結城

本気でメイクを練習するつもりだったから。


店員が持ってきた飲み物を澪桜に渡す

「……俺も芸能人好きになった事ないよ」


聞いてもない自分の情報を晒した

君だけだって伝えたくて。


「お揃いだね。ふふふ」

ホイップタップリのココアをスプーンで掬い幸せそうに頬張る澪桜を見て心が暖かくなった


そんな様子の2人に山本は耐えられない。


絶叫しながら画面に手を振り

熱唱する松井を背に

山本が言う

「早く入れろよ!後がつっかえてんぞ!?」


「ちょっと待ってくださいよ。んー、どれにしようか……あ、これにしよう!」


送信する。



「……?」

澪桜の画面を覗き込んだ

innocent


前の画面に転送される。


「お、たまに歌ってるあれか。お前の好きな曲だったよな」


「はいっ!いい曲ですよねっ♪」


結城の知らない曲。

それを山本が知ってる。

さっきもそうだった。

俺より長い間同じ時間を過ごしてきたこのふたりの空気

所詮ただの部下と上司のはずなのに

……それにすら敵わない自分。


そんなの当たり前。分かってる……分かってるけど


それが堪らなく悔しい


山本が結城の雰囲気を察し話しかける


「あいつ歌うの好きだから、これからはお前がいくらでも安達の歌声独占できるな」


「!?!?!?」


(ど……独占……俺が……独占……)


家で歌ったり

車で歌ったり

カラオケで歌ったり

そんな彼女を独り占め……


「ん?……どうした?」

マイクを取って準備する澪桜と目が合う


色々想像したせいで

勝手に動揺して

結城、敢え無く撃沈。


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