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社会不適合者の恋愛論  作者: 澄泉


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53/80

53話 蜜男

タイトルの読みは"ミツオ"



「あーーー笑った笑った」

結城と電話を切った後

山本は満足そうに言いながら

新しく来たハイボールを飲んだ


「……山本さんの、結城さんに対する態度が何となく分かりました。いじってますね?いつも。だから結城さん、あんなに噛み付くんだ。」


澪桜が冷静に推理した


「おっ!お前分かってんなぁ!!……ということは安達……お前の前でも」


「……はい。結構抜けてますよね?結城さんって。意外に」


「えええええ!?そうなんですか!?イメージ湧かない!」

驚く松井


「そうなんだよー。あいつ大学の頃からさ……ぶぶっ。いや、やめておこう。かわいそすぎる」

山本は笑いながら首を振る


「えー!?聞きたいですよ!!教えて山本係長!!!」

懇願する松井

敢えて係長呼び


「……お前教えてやれよ」

山本が澪桜にバトンを渡した


「えええ……可哀想ですよ。結城さんが居ないところで残念なとこ暴露するなんて。」


もうその言い方が既に可哀想な事に気付かない


「教えて!!教えてぇぇ!」

キラキラしている松井を見てため息をつく


「結城さんに内緒だよ?可哀想だから」


「言いません!言いませんからっ♪」


「……なんも無いところでよくコケる。あとちゃぶ台の足に小指ぶつけて悶絶する。

……こないだハンバーガーが鼻に入って死んでた。あとゾンビ怖くて悲鳴あげたり、蜘蛛潰した時も悲鳴上げてた。」


「ぶっぶぁっはははははははははは!!!」

山本が爆笑した


「なにそれ!?想像の遥か上すぎるんですけど!?かっ……かっこ悪ぅぅぅ!!」

爆笑する松井


「……すまん!結城さん!!」


ここには居ない結城に謝った


そこにぬらっとやって来る人影


……佐野だ

ゲッソリした顔で空いた隙間にちょこんと座った


「おう、主人公!飲んでるかぁ?」

気安く声をかける山本


それを聞くなり佐野は懇願する


「もーーーー!山本係長ぉぉ!助けてくださいよぉぉぉ!!俺もう帰りたいぃぃい

お偉いさんにはヘコヘコしなきゃいけないし、全然無礼講じゃない!!楽しくない!!」


……一応山本も上司笑


「おうおう、じゃあここで飲んどけ。もう篠山さんたちも出来上がってんだろ。ほっとけ」


「山本係長……好き。

俺!係長みたいになりたい!ダメな大人に!!」

佐野が甘える

いや、暴言を吐く


「よし!お前ぶん殴る!!歯ぁ食いしばれ!」


ニコニコしながら佐野に近付き

鉄槌を食らわそうとする


「ぎゃあああ!待って!嘘です!!いや!尊敬してるのは本当です!!ダメなとこ!」


「いよぉし!一発追加だァァ」


暴れ回る二人

楽しくないと思っていたが

案外楽しい飲み会になった。

ゆっくりと時間が過ぎていく───




──────

結城は腕時計を見た


「……そろそろ良いか」

ミラーで身嗜みを確認して車を降りた


(カラオケ……か。安達さんの歌声……早く聴きたい。むしろ録音したい)


変な事を考えながら颯爽と歩く。

しばらくしたら仁という店に着いた


店の近くに立っていても目立たない場所があった。そこの壁に背中を預け

左足を軽く掛け

腕を組んで立つ

頭を斜めに持たれかけ視線を出入口に向けた


ブー

スマホが鳴る

『今終わったよ。どこにいる?』

澪桜からのLINU


『お疲れ様。目立たないように店の近くの壁に立って待ってるよ』

すぐ返信した。


(……もうすぐ出てくるかな。)

早く会いたくて内心ソワソワしていた。


するとしばらくして会社員達が出てきた

団体客のようだ。

……この団体が安達さんの同僚?

結城は会社員の顔を確認する。

特に男の顔を全て覚えるように。



それと……中田という女。

そいつだけは許さない。



静かに佇み観察していた。

だがとても目立つ容姿が邪魔をする。

チラチラと一緒に出てきた女性客達が結城を見る


艶めいた目線で。


静かにため息をついて気付かないフリをする。

すると一際目立つ高身長の女性が。

結城は見逃さない。


───澪桜だ。


キョロキョロと見回し一瞬で結城を見つけ出す。

目が合うと

結城は静かに微笑み軽く片手を挙げて挨拶した。


まだ解散していないので近付きはしない。

傍に居たいけど……我慢する


「俺!!絶対仕事出来るようになります!頑張ります!!安達先輩!!!これからもご指導よろしくお願いします!!!」

黒髪のちょっと長めのツーブロックの青年が澪桜にペコっと挨拶していた


「うん。こちらこそ、頑張ろうね佐野くん!」

優しい笑顔で言う澪桜を見て

ヤキモチを妬く


(アイツが……佐野。)

だけど、前聞いた話と違い真っ直ぐ澪桜を慕っている様だった。だから迂闊に文句も言えない。

なんか余計にムカつく。


「はい!!ありがとうございます!!」


山本と松井達が次いで出てきた。


「今日はお疲れ様だったね!親睦は深められたかな??

明日からまた一緒に頑張ろう。皆、気を付けて帰りなさい」


篠山部長が締めくくった

それを皮切りに皆それぞれ帰っていく。


人気が無くなった事を確認してから

結城はゆっくり澪桜に近付いた


「……お疲れ様。大丈夫だった?」

そっと包み込むように優しく聞く


澪桜はその優しさにホッとしたように答える

「大丈夫、人の分まで刺身食べてやったよ。誰も食べてなかったから。」


しししと笑った

それを見て安堵した結城は

笑みを深めた。

愛しそうに澪桜を見つめる


「良かった。……安心したよ。

今日はよく頑張ったね。

……明日はご褒美に君の好きな所に連れてってあげないとね」


甘く囁いた


「本当かい!?わー!どこに行こうか!?

楽しみだなぁ♪」

楽しそうに微笑んだ


「ふふ……何処でもいいよ。東京じゃなくてもいい。……好きな所考えておいて?君を思う存分甘やかすつもりだから……俺はね。……ストレス発散したいでしょ?」


最後の言葉で結城は本心を誤魔化す


「ええ!?ストレス発散させてくれるのかい!?いいね!何をお願いしようかな!?」


甘さに慣れている澪桜はケタケタと笑った


それを見つめる二人

「……どうですか?」


コソッと声をかける松井

「……なんだあれは……あんな……あんな歯の浮くような台詞を表情を……平然とこんな公共の場で……」


開いた口が塞がらない山本


「ね!?ね!?言った通りですよね!?甘いんですよ!!結城さん!あの人付き合ったらどうなるんですかね!?!?

甘過ぎて溶けて原型無くなるんじゃないですか!?

スライムみたいに!!」


ボロクソに言う松井


「あそこまで酷いとは思わんかったな。いやー。酷い。あれで友達ぶってんのかあいつは。

痛々しいな」


そんな言葉は全く聞こえない二人

会話は続く


「結城さんは普段カラオケ行ったりするのかい?」


「んー。行く機会は無いかな。でも嫌いじゃないよ。それに安達さんの歌うとこ見てみたいし」


「それは私も!結城さんどんな曲歌うんだい??」

ほのぼのとした雰囲気


もどかしくも甘ったるい2人に耐えかねた山本は近付く


「お前ら会話は歩きながらしろよ!

ほら!さっさと行くぞカラオケ!」



破壊力のある仕草や視線、日本男子とは思えない程の甘い囁きを聞いてしまい

耐えられなくなった

少なからず長年友達だった山本の知る結城では無い。


(こいつ……ドロドロに甘やかして女を依存させるタイプだったんだな……安達は多分もう逃げられねぇな……)


山本は呆れた

結城の天性の恋愛の才能に。

そしてその一途さに。


自分にその素養が少しでも携わっていれば

元カノを失わずにすんだのかもという思いが

少しだけ頭を過ぎった


「イチャイチャはそこまでにして!早くカラオケ行きましょう!今日金曜日だから多くて待ち時間発生するかもですよ!?」


グイグイと二人を押す松井


「ちょ……ちょっと!」

困る澪桜


「イチャイチャなんて……そのっ」

頬を赤くして照れる結城

照れ方が妙に可愛い。


「はいはい!」

うわー本当だ。なんか弄りたくなるのわかる気がするわ。


そう思いながら2人の後ろから笑顔を覗かせた



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