表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
社会不適合者の恋愛論  作者: 澄泉


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/88

51話 始まる歓迎会



「……必ず終わる前に連絡してくださいね。絶対行きますから。……変な事言われたりされたりしたら、すぐ俺を呼んで店を出てくださいね?……もし呼べない場合は必ず山本を頼って」


不安そうに結城は何度も同じことを言う


「……大丈夫だよ。分かってる。ちゃんと連絡するから!もーーー!過保護だねぇ結城さんは!」


ポンポンと肩を軽く叩いた。

最近澪桜は結城に軽くボディタッチをするようになっていた。自然にやってる所を見るにきっと無意識なのだろう。



結城にとってそれは心臓に悪い……だが同時に至福の瞬間でもある。

触れられた場所が熱を帯びた


「っ!…や………約束ですからね?

……はぁ……心配だ。本当に行くんですか?」


シュンとしょげる結城


行って欲しくない……

今日も一緒にご飯食べたかった。


「……あたしも行きたくないよ5000円だよ!?

無駄にも程がある。あああああ。行きたくない。」


ワシワシと頭を搔きながら続ける


「……今日は全員定時上がりで、歓迎会開始は6時半、2時間で終わるらしいから遅くても9時には連絡するよ。」


気遣うように澪桜は事細かなスケジュールを話してくれた。

結城はそれがたまらなく嬉しい。

大切にして貰えてる気がして

不思議と少しだけ不安が消えた。


「……はい。連絡待ってます。」



ゆっくり頷き微笑んで車を降りる澪桜を見送った。

澪桜の会社の前で車を停めたまま結城はスマホを確認する


(居酒屋 仁か……場所も確認した。店の近くの駐車場で前もって待とう。……連絡が来たらすぐ迎えに行けるように。)


澪桜が助手席から居なくなった途端

さっき与えて貰った安堵はすぐに消え去り

また嫌な想像が結城を襲う


澪桜の優しい残り香が余計に不安を掻き立てた


「……もし職場の男が安達さんに触れようものなら……その腕を切り落としてやる……」


つい口から出た言葉に耳を疑った


どれだけ独占欲が強いんだ……

バカか俺は

彼氏でもなんでもないのに


……もう既に束縛してしまっている

無理やり迎えに行く約束をして

彼女の自由を奪ってしまっている


こんなのおかしい。

頭では分かってるけど、どうしても……我慢できない。

感情を制御しきれない。


澪桜に申し訳なさ過ぎて悲しくなる。


親友で居させてもらえる

傍に居られる

それだけで十分なはずなのに。

なんで満足出来ないんだ……


どこまでも愚かな男だと自分を蔑んだ



───

18時50分

ガヤガヤと賑わう店内

全員に飲み物が行き渡る


「よーし!皆今日もお疲れ様でした!新しく入社した3人と仲良くなる為に!

今日は無礼講という事で!長い挨拶は抜きにしよう!……カンパーイ!」


篠山部長が笑顔で言った


「「「カンパーイ」」」


皆がグラスを掲げる


そして始まる歓迎会

隅っこの席で澪桜は静かに烏龍茶を飲んでいた

目の前の料理を淡々と口に運ぶ


一人だけ……異質

美しい所作だけが

近寄り難い雰囲気を醸し出す


何も気にしない松井が話しかけた

「みーお先輩!何一人で夕食食べてる風にしてるんですか!?

もう観念しましょうよ!!

呑んで食べて!場の空気に飲まれましょう!」


開き直った様子で可愛くポーズを決める


「夕食だよ、普通に。今日はお酒を飲む気分じゃない。

……うぅ……5000円の夕食……私が作ればもっと豪勢な物が食べれただろうに……」


生春巻きを口にして残念そうに言う


「……もーーー!辛気臭い!湿気がすごい!!椎茸生えますよ!?」


「……いいじゃないか。傘の内側に塩を振って焼いたら美味しいよ……」

どうでもいい知識


「お前ら飲んでるかぁ〜?よっこいしょ」


気怠い男No.1がやって来た


「聞いてくださいよ!澪桜先輩、烏龍茶ですよ!?ただただ食事してるんです!!」


ブーブー文句を垂れる松井


「はははっ、好きにさせてやれ。どうせ後で周が迎えに来るんだろ?

……というかさ、俺いい事思いついたんだよなぁ〜」


「いい事ぉぉ?何ですかっ!?」

興味津々に松井が聞き返す


(また始まったよ。この2人の悪ノリ)

呆れたように澪桜は刺身を食べる


「……ああ、ご飯がほしい。ご飯……」

一人切実に呟く

もぐもぐする澪桜を他所に山本が松井に手招きする。


「ちょっと耳貸せ」

ゴニョゴニョと耳打ちした。


「えっ……それ……ぶぶっ……めっちゃ面白い!そうか……そうですよね!?言われてみれば。私も検証したいです!!」


「だーろー?お前来るか?」

「はい!参加します!」


「よし!これは個人的な誘いだ!上司も部下も関係ない!なので他の社員達も関係ない!だから余計な奴らは誘わない!

……という事で決まりだな」


「はーい!賛成!!!」


……何だか嫌な予感がする。

すごく嫌な予感


「おい、安達。1次会終わったら周呼べ。

カラオケ行くぞ。」


「はああああああ!?」

あまりに驚いてサーモンが醤油皿に落ちる


「カラオケ♪カラオケ♪」

楽しそうに唐揚げを食べながら揺れる松井

いやいや意味がわからんと澪桜は食い下がる


「何で!?あたしはここが終わったら速攻帰りますよ!!カラオケはお二人でどうぞ!」


「……お前、歌うの好きな癖に?

ここで溜まったストレス、発散できるぞ??

……しかも俺の奢りで。」


奢り……

なんて素敵な言葉♥

じゃなかった!!!

危ない!

騙される所だった


しかしすぐさま追撃が来る。


「……周の歌声……聴きたくないか?」


「そうそう!甘いバラードとか似合いそう」


結城さんの……歌声?

なにそれ。

聴いてみたい。


「うぐぐっ!?」


好奇心という名の自分の欲に負ける。


「どうするぅー??」

山本が聞く。


「みーお先輩!行きましょうよー!ね!?」

甘える松井。

可愛すぎる後輩の追撃に耐えかね

観念したように澪桜は答えた。


「……私も参加します。……一応、結城さんにも声……掛けます。」


あえなく陥落。

2人の悪魔がニヤニヤと生暖かい目でこちらを見ている


やめろ!!なんだのそ顔は!?

モヤモヤとワクワクがごちゃまぜになりそれを誤魔化すように


一心不乱に料理を食べる食べる。


山本と松井は顔を見合せ


周りの喧騒に掻き消え

澪桜に聞こえない程度の小声で話し始める



「山本さん、……そう言えばあの二人の普段の様子ってもう見ました?」


「……いや?周が幸せすぎて死にそうとか漏らしてるのは聞いたけどな。」


「絶対見てほしい!というか見た方がいい!!

本っ当に甘々ですから。

傍から見たらめっちゃ面白いですよ!

……友達とか言ってるけど、ただの付き合いたてカップルですから。こないだの迎えに来てるとこ、ちゃんと見られたら良かったのに〜!!!酷かったんですから!!

甘すぎて吐きそう。」


「そんなにか!?……周が鼻の下伸ばしまくってデレデレしてんだろうなとは思ってたけど……くくくっ……それは楽しみだな」


「……でも結城さん、来てくれますかね?」



二人の視線は誰からも手をつけられなかった刺身の盛り合わせを食べまくる女に固定されていた。


「……あいつが安達の誘いを断れるわけねぇだろ。」


色気のあるハスキーな声で呟き

冷えたビールを楽しそうに飲み干した

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ