49話 MOZUバーガー
「いやぁーーーーー!楽しかった!」
大満足の澪桜
「……まさかあんな上手いとは思いませんでしたよ。……でも俺も最後の方は少し上達してたでしょ?」
褒めて欲しくて結城はテーブルに肘をついたまま首を傾げた
サラッと目元の髪の毛が流れる
「うん!才能あるよ!あたしなんかすぐ抜かされそうだよ」
ニコニコと率直に褒める
結城は嬉しくて微笑んだ
「無理無理、安達さんを抜かすなんて。……二人でまた行こうね?」
二人でまた遊ぼう。
子供みたいに笑って
思い出をたくさん作ろう
そう思った
「そうだね!また行こう!ひひひ!次は3面のボスが目標だね!」
「……次はエア装置オフにして欲しいよね」
「……あれ、オフにできるのかな。キモかったよね!あははは」
会話の途中で店員が近づいて来た
「お待たせ致しました。アボガドチーズバーガーとローストビーフチーズフォカッチャです。」
結城は店員に微笑んだ
「……ありがとうございます。」
「っはい!」
そそくさと帰って行く店員
「すまないねぇ。こんな時間になっちゃったせいでご飯作れなくなって。……しかも奢ってもらっちゃって」
申し訳なさそうにする
受け取ったカゴとトレーを食べやすいように分けて澪桜の方に向ける結城
「……もう、このくらい気にしないの。ゲーセン代安達さん全部出してたでしょ」
そう言ってポテトを食べる
「それは無理やり付き合って貰ったからであって……」
ゴニョゴニョと指遊びをしながら言う
「ほら、食べないの?冷めちゃうよ?」
結城がトレーを近づけた
これ以上気にするな、さっさと食べろ
さすがの澪桜にもその空気は読めた
急いで気持ちを切替える
「食べる。頂きます!……あたしアボガドチーズバーガー好きなんだよねぇ!」
ポテトを手に取りニコニコ話す澪桜
「……へぇ、美味しいんだ?俺はこのチーズフォカッチャ好きでよく食うよ。モチモチしててね、生地が。」
嬉しそうに話す結城
彼女との何気ない会話を楽しむこういう時間が何よりも好きで、大切だ。
「そうなんだね!それは食べたことないねぇ。」
パクパクポテトを食べながら楽しそうに話す澪桜
「……そう?それなら食べてみる?ひと口っ───」
言った後しまった!!!と思う結城
今のは無し!忘れてと言いかけた時
澪桜が口を開いた
「じゃあアタシのアボガドチーズバーガーも食べてみるかい?美味しいよー??まだ口付けてないからどうぞ?ほい!」
何の気なしに澪桜はバーガーを差し出した
前は気にしていたはず……それなのにどうして?
いや、深く考えるな俺
それより……
目の前の差し出されたバーガーに目を向け
恐る恐る受け取る
(え!?これ、俺食べていいの!?)
バーガーと澪桜を交互に見た
ニコニコと食べるのを待っている
「いっ……いただきます……」
ひとかじりした。
アボガドとチーズの濃厚な味
「どう?どう??」
食レポ待ちの澪桜
「……うわ俺、これめっちゃ好き。……美味い。」
素直にお世辞でもなく言う結城
それに満足し澪桜は言った
「でしょでしょ!?そうなんだよ!美味しいんだよー!もう一口食べていいよ!」
(え!?まだ食べていいの!?その……気にしないの安達さん!?)
目に入る手付かずのフォカッチャ
「……俺のも……はい。食べてみて?満足するまで何口でも食べていいから……」
震える手で澪桜に渡す
それを彼女は細い手で受け取る
……少しだけ……触れた。
ドクっ───
「ありがとう!じゃ!遠慮なく!」
本当に遠慮なくパクっと頬張る澪桜
「……どう?」
結城は喉を鳴らし……聞く
「!!!おいしい!これ!ウマウマ!」
もう一口かじった。
それを見届けて微笑みながら結城もかじる
「……俺次はアボガド頼もうかな」
それを聞いて澪桜は嬉しそうに言う
「あたしは次はフォカッチャかな!」
そしてお互いのバーガーを返し合った
戻ってきたフォカッチャには小さい噛み跡が2つ。
澪桜は口が小さいので大して食べられてなかった。
ドクッ
また心臓が暴れる
顔が赤くなっていく
(口ちっちゃ!可愛いすぎる!!……俺の食べたんだ……
やばいやばい!!意識するな俺!!)
それは無理な話。
チラッと澪桜を見た
美味しそうにバーガーを食べている
(全く気にしてねぇーーーーーー!!!!)
心の中の結城が全力で突っ込んだ
え?あんな普通に食べてる。
間接キスだよ!?特大の!!!
飲み物シェアレベルじゃないよ!?
俺……これ食べちゃっていいの!?
キモくない俺?
大丈夫???
え?マジで????
混乱する結城
「……食べないのかい??」
不思議そうに聞く澪桜
「たっ……食べるよ?」
平静を装うが目が泳いでる。
ゆっくり口を近づける
結城の薄い唇が開き
噛み跡を消す
(やばい……キスしてる……俺……)
ぶわわわわわわわ!っと何かが込み上げてきた。
喜び?
恥ずかしさ?
感動?
愛しさ?
自分でももうよく分からない。
ただ言えるのは嬉しすぎて死にそうって事だけ
童貞の彼にとって
こんな衝撃的な出来事は初めてだったから。
「!!!……ゴホッ……っぐっはあああ!っげっほ!!げほ!!」
嬉しすぎて油断した。
咳き込んたタイミングで気管に入りそして……鼻に入る。
結城は痛すぎて悶絶。
MOZUバーガーの店内で。
「……今日は一段と一人で賑やかだねぇ君。」
澪桜は何時もの事だとホワホワとした顔で結城を観察した。




