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40話 小さじ1の嫉妬と独占欲

 


『……そんなことより!!! 本題だよ!!!』


 は? 今までのは本題じゃなかったのかよ!?

 山本は盛大に突っ込む。

 俺のこのセンチな気持ちを返せ!!!

 叫びたくなる


「本題ぃ?」


『……お前んとこの部署に"佐野"っているだろ』


 凍りつくような低く冷たい殺気めいた声が響く。


「佐野ぉ?? ……ああ、いるけど。ってか何でお前が知ってんだよ!?」


 訳が分からず言い返す


『……安達さんから聞いたんだよ。佐野の野郎……どんなガキかは知らねぇけど俺は許さねぇ』


 電話口から結城の物凄い怒気を感じる。

 山本はため息をつきながら聞く


「……だから何でお前が佐野にキレてんだよ。会ったこともねぇのに。……まぁガキなのは確かだけどな。まだ新卒2ヶ月目だし」


 ふーーー。

 煙草をふかしながら言う。

 ゆらゆらと手で煙をゆらしながら。


『安達さんが言ってた。嫌われてるって。……本当か?』


 静かに聞く


「ふー。……まぁ好かれてはねぇだろうなぁ。あいつは不器用だからなぁ。あんま人に好かれるタイプじゃねぇしな」


 それを聞いた結城は悔しそうに言った


『何で安達さんが……そんな奴に嫌われなきゃいけねぇんだよ。ボコボコにぶん殴りてぇ……』


 呆れたように言う山本


「……アホか。傷害罪だぞ」


『お前係長だろ!? そんな理不尽から守ってやるのが上司だろうが!! まさかさっきの口ぶり……他の人にも?!』


 はっと察する結城。

 ……残念ながらその読みは当たっていた。


「……あのな、例え事実だとしても1人に肩入れなんて出来ねぇんだよ。お前だって分かるだろうが。ある程度は周りを窘められるが全ては無理だろう。それに常識の無いやつに説教したところで暖簾になんたらだ」


 最もな正論だった

 煙草を吸いながら更に諭す


「もし仮に俺が守ったとして、余計に悪化するぞ? 周りの風当たり。だから敢えて俺は何もしないの。間違った方がなんか言ってたらそれを窘める。それくらいしかやれることは無い。……それに本人の安達が全く気にしてない」


『……俺が上司なら。俺の会社で働いてたら、ずっと守ってあげられるのに。さっさと辞めてうちに来たらいいのに』


 苦しそうに言う結城


「いやいやいやいや。お前んとこにどうやって入れるんだよ。コネ入社なんて安達の居場所余計に無くなるだろうが。……しかもお前のコネでお前の傍で働く。周りからどんな扱い受けると思ってんだよ。ちっとは安達の身になって考えろ」


 煙を吐きながら気怠そうに呟く。

 結城を諭しながら。


『冗談だよ。本気にすんな』


 はあ。と呆れたように返してきた。


「……嘘つけ」


『じゃあ、そうだな。安達さんが自由でいられるように。ストレスなんかなくなるように、俺が養おうかな。お小遣いたっぷりあげて、好きな事何でも出来るような環境整えて。……そしたらもう働かなくていい』


 なんて事ないように言ってのける結城

 これは本気に聞こえた。


「おかしいだろうが!! お前友達だろ!? 言ってることが旦那なんだよ!!!」


『だっ……旦那♥』


「いや、そこで萌えるな。キモいぞ」


『キモいってなんだよ!!! お前とりあえず佐野! 動向おしえろよ!? いいな!! 安達さん守れよ!?』


「……結局俺の話聞いてねぇのなお前。」


『だって……もしそいつが気が変わって安達さんのこと好きになったらどうするんだよ。……安達さん、そいつの教育係してんだろ?』


「まぁそうだけど。……別にあいつ1人が常に請け負ってる訳じゃねぇぞ。仕事覚えるまでサポートしてるだけ。それにあんなガキに惚れられたからって安達はビクともしねぇよ」



『……でも』


「不安なのはわかるが、あいつは人一倍仕事に誇り持ってやってる。お前と同じ。……意味わかるだろ?」


『……俺と同じ……』


 少し嬉しさが滲む声。

 本当にどうしようもねぇな。そう思いながら山本は最大限忠告する。


「あと嫉妬に狂う男、死ぬほどかっこ悪いから、そこだけちゃんと覚えとけ」


『しっ……嫉妬!? そんなつもりはっ!!!』


「いやいやいやいや、遠慮するなよ。独占欲凄いぞお前」


『うぐっ………友達なのに独占欲丸出しで嫉妬する俺。確かにめちゃくちゃ気持ち悪いな』


 また悲しそうに凹んでいく。


「じょ……冗談だろ!? 本気で凹むな!!! ったく……お前メンタルぐちゃぐちゃだな。調子狂うわ。安達のせいだな完全に」


 頭をぐしゃぐしゃにかきあげ、山本は呆れた

 すると脊椎反射のように即座に切り返してきた。


『安達さんを悪者扱いすんな! ハゲ!』


 ……ただの暴言。


「ハゲてねぇよ!!!!」


『はぁ……本当に安達さんだけは傷付いたりしないでほしい。仕事辛いなら……俺に言ってくれないかな。そしたら仕事なんかもう辞めたらいいって言えるのに』


 切なそうな声で言う


「……あいつはそんな事言わねぇよ」



『分かってるよ。でももしそう言ってくれたら……安達さんの為なら俺いくらでもサポートするのになぁ。今の住まいのままがいいなら尊重するし、引越したいなら何処にだって引っ越させてあげる。趣味に生活費全て、俺のカード使って決済してくれたらいいのに。……友達として』


「お前の友達の概念一体どうなってんだよ。推しへの重課金勢か」


『安達さんに重課金……俺、破産してもいい♥』


「ダメだこいつ。……あ! 俺も友達だろ!? 俺のこと養えよ!! 俺っ全然仕事辞めるから!! 俺に課金しろよ!!なっ!!!」


 なっ!? な!? と食い気味で言う山本。

 若干本気だ

 結城は冷たい声で返す。


『黙れ。この腐れぬらりひょん』


「腐れぬらりひょん!?」


 結城の語彙が若干澪桜に似てきている気がしたけど

 なんか悔しいから言わないでおいた山本だった。


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推しへの重課金勢ワロタww (あ、感想呟いてるだけなので、返信不要です)
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