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社会不適合者の恋愛論  作者: 澄泉


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2話 山本と松井

あれから1週間。

何事もなく穏やかな日々を過ごしている。

悩まされることや焦る事も何も無くなり、澪桜はストレスフリーだった。


知り合って2ヶ月ほどだったが、残業もあり、休日しか会えない。たまに休日出勤もあった為会った回数は手の数で足りた。


会う時は殆どファミレスか喫茶店でお話する程度だったので

大した思い出もなかった。

会話が弾まないので大体1〜2時間で解散した。

というか帰られてしまう。


過去一度だけ、男性の車に乗った事がある。

初めて付き合った彼氏とたった一度きりのデートの際だった。

大晦日の初詣の後、送ると言ってくれたから安心し車に乗った。

ところが全く違う方向に進み

ホテル街の方に向かおうとしたので、信号停車中に降りようとすると冗談だといって方向転換した……今思い返すと結構危なかったな。

想像しただけで悪寒がする。


男は狼とはよく言ったものだなと感心する。

いつからか車に乗せようとする男を警戒するようになった。乗ると危ない。悲しい経験のなせる技だ。


今回の太田さんの場合、現地集合現地解散だった。

ドライブを提案された事もあったが、丁重にお断りした。

油断は禁物だからだ。


そしたら進展もなく、好きにもならずに呆気なく関係は終わった。


だけどそれももう今回が最後。


第一、金もかかる。

好きでもない相手との交際費ほど無駄なものは無い。

節約しているのに全く建設的ではない。


もう二度と無駄な努力はすまいと決めたのにはそんな複合的な理由があった。


彼らは悪くない。

好意を持ってくれ、友達になってくれた。

私が好きになるまで待つと言って協力してくれたのだから。

だから全て私が悪い。

待ってくれていた相手を好きになれない私が。


相手の気持ちを利用しただけで終わった私が。


きっと彼等に罪悪感を抱きながら反省し生きていくことになるのだろう。


だから過去のことはもういい。

これからは前を見て先を見据えて生きていこう。

少しの後悔と罪悪感と共に。


そんな事を考えながら休憩中お弁当を食べていた。


「……失恋か?」

後ろから野太くハスキーな声が聞こえた。

……私の元直属の先輩で今は私の上司の山本拓海だ。

この人いつもタイミング悪いしなんか感がいいからムカつくんだよな。


「……それはセクハラに値しますが?」

見向きもせずたんたんと述べる澪桜


「あーーーー!!生き辛ぇ!!!何でもかんでもハラハラいいやがって!!!」


「いや、だって山本さん不快ですもん。」


「あぁ!?」

普段仕事が出来て頼りになるが休み時間はただの先輩としてしか見てないので澪桜も軽口を聞く。

こう見えて2人はまぁまぁ仲がいい。

たまに誘われて何人かと飲みに行くくらいの仲だ。


きっと少しいつもと違う私を心配してくれていたのだろう。そう思うと少しだけだが有難かった。


「大丈夫です。もう終わったことなので。それに付き合っていませんから“失恋”に値しません」


振り返りそう言う澪桜。

それを見て

はぁ〜とため息をつき、山本は言った。


「安達、今日夜時間あるか?」

「時間はありますが、山本さんに使えるお金はありません。」


ヒクッとする山本は諦めず続ける。


「今日……残念会するぞ。お前のな。」

キョトンとして山本を見つめる。


「………え?残念会?」

(なんて残念なネーミングセンスだ)

心の中で悪態をつく澪桜。


「まぁ気にしてないみたいだけど、何かを諦めようとしてるようには見えるからな。今の安達は」


そう言われて少し動揺する。


そこに明るい声が割って入ってきた。


「はいはいはいはいはーーーーい!!

私も参加します!!!」


元気よく手を挙げたのは澪桜の後輩の松井沙也加だった。

そして澪桜を横に揺する。


「残念会って何かあったんですか!?恋バナですか!?澪桜先輩可哀想!!!でもそれなら係長に奢ってもらってパーーーっとストレス発散しちゃいましょう!!!」


「いや、私は今ストレスフリーで……」


別に落ち込んではいない。ただ恋愛は向いてないと思ってただけで……

訂正しようとしたが誰も聞いてない。


「いえーーーい!!酒が飲めるぞー!!!」

「おお!!飲め飲め!!!よし!仕方ない奢ってやるよ!!食べたいものと店、考えとけよ2人とも!」


はははと豪快に笑いながら戻っていく山本。


松井もワクワクした顔で楽しそうだ。

……この2人はいつも強引なんだから。

と穏やかに笑う澪桜。


だけど久しぶりに仕事が終わるのが楽しみだなと素直にそう思った。

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