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社会不適合者の恋愛論  作者: 澄泉
第2章
115/118

114話 闇堕ち男



株式会社ユリシス4F

営業企画部

AM 11:15


オフィス1番奥の向かって右側が澪桜のデスク。

カタカタと軽快に作業をこなす。

いつもと違うのはその左手薬指


白金(プラチナ)のつや消し、その独特なデザインに都度目が行ってしまう。

少し緩む頬。

昨日の帰りがけの様子をフラッシュバックする。


「婚約指輪買ったのになんでこの指輪まで……」


澪桜が左手のファッションリングを見ながらため息をついた。

確かに可愛いし、綺麗だけどそんなにお金を使わせたくなかった。

すると周が当たり前のように言ってのける


「そんなの決まってるでしょ。せっかく付き合えたんだもん。指輪が完成するまでの間も、しっかり男避けしないとね」


「男避けぇ!?」


思いがけない言葉に声が裏返る


「ネックレスじゃ佐野のアホすら引き離せなかったらしいし、あんま効果ないみたいだからね。薬指の指輪なら……確実☆」


「あのネックレスはそういう意味だったのか、だから毎日付けろって言ってたんだね君…それならあの婚約指輪と結婚指輪はまだ買う必要無かっただろうに。」


付き合う前から独占欲むき出しにされてたんだなと、やっと腑に落ちた。


「ダメだよ、俺はカモフラージュって嫌いなの!本物の関係しか要らない。だからちゃんと言うんだよ!?

『婚約者がいますので』って。本当の事なんだから、誘われたりしたらきっちり断ってね!?」


「はあ、誰も私なんかに言い寄らないよ。それを言うなら君───」


「俺は明日から職場で見せびらかしまくるからいいの♪安心してて♥」


「なんじゃそら。」


─────────


……今頃宣言通り見せびらかしまくっているのだろうか……。

独占欲いや、狂気と言うか、なんというか……


思い返して想像するだけで、また笑えてくる。

そんな独占しなくたって私は君が思ってるよりモテないよ。

まぁ、私としては君に寄って来るであろう綺麗な女性達が減るのは嬉しいけどね。


そこに元気な声が耳を劈く



「お疲れ様ですっ!!澪桜先輩っ」


「っ……お疲れ様。佐野くん」


いきなり声をかけられ、ビックリした澪桜は佐野を見上げる

横にいる松井もあんぐりしていた


「新しい案件の確認、お願いします!もしミスがあったらご指摘と指導の程お願いします!!」


「わ……分かりました。確認しますので少しデスクで待っててもらえるかな。」


「ありがとうございます!!では……それまで僕は備品の補充して来ますね!」


「あ、うん。」


テキパキと作業に取り掛かっていた。

……以前とは全く違いすぎて転生したのかと思うほど。


振り返った佐野と一瞬目が合う

ニカッ!!!!!


笑顔が……眩しい

というか、なんか暑苦しい。


「……佐野くん、急にどうしたんですかね?なんかめっちゃシゴデキになりつつありませんか?」


「…うん。私もそう思う。……そして今のところ、この書類も……完璧だ」


パラパラと、佐野から送られてきたデータと照らし合わせながら作成した書類に目を落とし驚愕していた。


「……マジか。私でも少し時間がかかる内容ですよそれ。」


松井もあんぐりする。

書類をファイルに戻す左手の違和感に即気付く。

「!?!?」


がしっ!!

澪桜の左手を掴んだ

驚いて固まる。


澪桜も、固まる。


「んん!?」


「こっ……これっ……何ですか!?これっ……」


プルプル震えながら薬指を触る


「……ああ。これね、先週の金むぐっ!!」


何故か口を抑えられる

聞かれたから答えようとしてるのに。


「待って!何でもない事みたいにあっさり言わないで!!昼休憩……じっくり話聞きますから。いいですね!?」


凄い形相で圧をかけられた。

コクコクと口を抑えられたまま頷く。



昼休憩。


いつもの澪桜が座る1番奥、窓際の席。

目の前には


山本と……松井。

何故かこのメンツ。

いや、何故かでもないか。


二人してニヤニヤしながら、私の薬指を見ている。

「……お前、いつの間にそんな事になってんだよ。おい」

山本が言う

まだ周から聞いてなかったようだ。


「先週の金曜日からです。告白したんです、そしたら向こうも好きだったみたいで……まぁ、そんな感じです。」


私が一方的に好きだと思ってたから、告白してお別れ言ったら泣いて縋られました。

なんて周さんが残念過ぎて言えない。


「え!?それでもう結婚したんですか!?速攻で!?早くない!?流石の結城さんでもそれは頭おかしくないですか!?」


酷い言われよう

そして、周さんの気持ち知ってたんだ。流石恋の達人沙也加ちゃん。


感の鋭さに改めて感心する。

だって私は全く気づかなかったから。


「流石に違うよ。これは繋ぎなんだって。」


「ん?繋ぎ?なんだそれ。」


山本が首を傾げた


「……婚約指輪が出来上がるまでの繋ぎ。同時に結婚指輪も作ってる。」



「「えええええええ!?!?!?!?!?」」


2人が驚愕する。

わかるよ……私も驚いたもん。


「いやいやいやいや!?結城さん……頭おかしくないですか!?やばっ!!!キモっ!!!怖っ!!!」


うん。人の彼氏に言い過ぎくない?


「あいつ……だいぶ闇堕ちしてると思ってたけど……ここまで堕ちてるとは。……お前今逃げたら呪い殺されるな」


爆笑してる。

にしても言ってることが物騒すぎる。

闇堕ちて。

まぁ、若干そんな気もする。思ってたより真っ白な人ではないから周さんって。


「どうせ、結城さんの事だから……結婚指輪と婚約指輪なんて…相当高かったんじゃないですか!?ダイヤモンド死ぬほどデカイとか!?」


「……デカくないよ。0.18ct。

……でも多分安くは無いと思う。天然物のブルーダイヤモンドだから。正確にはブルーグリーンね。」


「ブルーダイヤモンド?なんだそれ。」


「私相場調べてみますね!」


松井がサクッとネットて調べる。

天然物の価格相場を


そして目を見開いた


「っっ!!!これっ0.4ctで2千万!?ルースで!?」


「はぁ!?ば……バカかあいつは!!!!いや、知ってたけと…バカだあいつは!!!!」


顔面蒼白になる2人。

澪桜は淡々とそれに答える

さすがに周さんが可哀想。


「……ブルーグリーンは真青(ストレート)と比べると価値は低いそうですよ。

透明度は高いけどインクルージョン……内包物が確認出来る子だったのですが、すごく綺麗で私が一目惚れしたので、その石にさせてもらいました。」


「……それでも多分新車の車くらいかえるよな……絶対」


「買えますよね……絶対……」


生唾を飲む2人

はあ……とため息をついて澪桜は言う


「……彼の好意ですし、有難く憧れのブルーダイヤモンドを頂くことしたんです。ソバカスのある可愛い石なので、今から楽しみにしてます。」


「え?でも、婚約指輪ってペアじゃないですよね?今の指輪はペア……」


「婚約指輪に合わせてペアで作るんだよ。周さんの分も。」


「ぐっはぁ!!!重すぎる!!結城さん想像以上の重たい男だ!!」

仰け反る松井


「お前ちゃんとプロポーズされたのか?……婚約指輪も結婚指輪も購入して、もう既に薬指に指輪まで付けさせられて。」


「……ああ、この指輪は虫除けらしいです。

婚約指輪もそうだって言ってました。人に聞かれたら婚約してますって言うように言われてます

プロポーズは……またサプライズするって言ってました。まぁ昨日2回ほど予行練習されましたけどね。」


「うわぁ……完全に360°包囲されてますね。ギチギチに。予行練習て!その時点でプロポーズ終わってるし。サプライズの意味!!」


「うん。それ、私も周さんに言った。全く気にしてなかったけど。楽しみにしててって言われた」


「お前はいいのかよ。付き合って数日で婚約指輪と結婚指輪買うような男。」


山本は心配した様子で聞く。

なんだかんだいい人だ


「……問題無いですよ。私も結婚するなら人生で初めて好きになった人がいいですし。……周さんとならずっと変わらずに二人で生きていける気がするし。」


「わぁぁぁぁ……澪桜せんぱぁぁぁぁい」

泣きそうになる松井

感動したようだ


「まぁ、お前が幸せなら良かった。あいつ今頃、死ぬほど浮かれてるんだろうな。

あ、近いうち飲み会するか!おめでとう会だ!周と安達を祝して」


「いいですねっ!!私も参加します!!おめでとう会、賛成ー!!!澪桜先輩の幸せのおすそ分けしてもらわないと!!私も幸せになりたいっ」


「……なんやかんや、理由付けて飲みたいだけでしょ。2人とも」


呆れ返る

だけど、なんだか嬉しい。

1か月前の彼との出会いもこんな感じだったね。


ありがとう。

2人が居たから私は今があるよ。


そう感謝した

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