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社会不適合者の恋愛論  作者: 澄泉
第2章
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109話 ロマンティックが止まらない

ちょっと改稿です!

小難しいかな?と思って誇張気味に書きましたが……やっぱ気になるので笑




「周さん!!見て見て!!お土産屋さんがいっぱいだぁ!」


「あ、待って。」


喧騒の中路面店側に澪桜をさりげなく誘導しながら優しく手を掠め取る


ひんやりとした周の大きな手が澪桜の手を包み込んだ


「っ……」


ゆっくり見上げる綺麗な横顔。色素の薄い虹彩が光に当たって輝いていた


(こんなに惜しげも無く眺められる日が来るとは……)


当たり前のように繋ぐ手に目を落とし改めて周が彼氏だという事実に口元が綻びそうになる



「……どうしたの?嬉しそうだね。」


「バレたか。今幸せを噛み締め中だよ」


「っ……またそういう事を不意に言う」




耳を赤くする周を見上げもう少しだけ近づく

私も君と同じ気持ちなんだよと伝えるように


それを受け入れるように周は微笑んだ



「澪桜さんのそういう素直なとこ。凄い好き」


「っ……好きとかすぐ言う!!」


「あらら?甘すぎましたか?我が女神」



クスクス笑いながら澪桜の立ち寄る路面店について行く

雑貨屋に箸屋、定番のお土産屋に下駄屋。ちょっとオシャレなセレクトショップ。


二人でひとしきり楽しんだ後、周が調べていたカフェにたどり着いた



「うーん、お腹空いた!」


「だね!俺もお腹空いた。お土産屋さんはまた後でゆっくりまわろう。」



店員に誘導されながら2階のゆったりとした席に案内された。シーリングライトのファンがゆっくり回る木造建てで温もりを感じる。2階は窓の前にテーブルが設置してあり、外に向けて並んで座るような座席になっている。


窓の外には青々とした木々が広がっており、美しい景色を眺めながら座った



「いい席だねぇ。」


そう言いながら澪桜は頬杖を付いて景観に見入る


「そうだね。……澪桜さん、メニューどうする?」


「どれどれ?ううーん。肉がおいしそうだ。私はローストビーフ丼がいい!それと揚げたてポテト☆ジャンキーだねぇ〜」


「いいね。俺もそれ美味そうだと思ってた。ポテトはチーズディップにしようよ。ナチョチーズ付けてさ〜」


「あはは!いいね!悪あがきにシーザーサラダも頼んじゃう!?」


「そうしよう。少しでも体にいい風にね!プラシーボ大切っ」


そう言ってテーブルのボタンを押した。

店員を呼んで注文をするスマートな対応の周に少し見入った後、また目の前の大きな窓に視線を戻した


光に透けるような透明感のある肌、カールしたまつ毛

美しく輝く濡鴉色の髪

こんなにも美しい人が俺の彼女なのかと見蕩れる周

自分の送ったネックレスに触れ微笑む澪桜にそっと甘く囁いた



「……今何を考えてる?」


「……中性子星をね。」


「ちっ……中性子星!?!?」



ロマンチックな甘い世界を想像してたらSF来た!!!

澪桜さん宇宙も好きだっけ!?

思わず水を吹き出しそうになる

嬉しそうな顔でいつもの唐突な説明が始まる


「中性子星とはね、太陽より高い温度、大きな質量の恒星が超新星爆発を起こし重力によって圧縮しまくって出来た星の成れの果てのことでね〜!分かりやすい比率で言うと……東京を私の掌くらいの直径まで圧縮すると出来上がる星なんだよ!」


「ええ!?そんなに小さくなるの!?スゲェ……ってなんの話?これ。」



思わずまた澪桜さんワールドに引きずり込まれるところだった。危ない危ない。

周は甘い雰囲気を出したいのに、訳の分からん所に連れて行かれそうになるのを必死で止める



「なんの話しって……ロマンテイックの話さ☆恋人だからね!甘い話をとね……」


「ろ……ロマンテイック!?……どっどこが!?」


澪桜が甘い話をしようとしている事に驚きが隠せない周

とうの本人はいつものように淡々と続ける

一体どこが甘い空気なんだ……と思いながら話に耳を傾けた


「いやぁ、少し前に宇宙に関する動画でね、中性子星同士がキロノヴァ……衝突したって話を聞いてね。ふふ」


「……それ、どこが甘い話なの?」


「その時にショートガンマ線バーストを観測したらしい!もし方向が違っていたら…地球は2秒で絶滅☆ロマンティックだねぇ」


「いや!怖っ!!その話怖っ!!ただの怖い話じゃん!!」


「……でもその衝突で生まれたチリが地球に来ないとコレ。手に入らなかったんだよ?君からプレゼントして貰えなかった。」


そう言ってキラキラとネックレスのチェーンを触る

やっと点と点が繋がった周。


「……え!?まさか……金!?!?金ってそうやって出来るの!?」


「ふふふ、正解。ね?ロマンテイックでしょうが。このネックレスは宇宙規模の奇跡の産物なんだよ。そしてその奇跡から賜った君からの贈り物。」


誇らしげに澪桜はチェーンを触ったまま微笑み

ひとくち水を飲んだ。


「……はい。ちゃんとロマンティックでした。なるほどそう繋がってたのか澪桜さんの思考回路。」


「そうです!いやぁ幻想的だなぁってね!だって数億光年先から放たれるんだよ!?その欠片が途方もない時間旅をして地球に届いた。止まらないね!ロマンチックが!!」


(俺には一生到達出来ない澪桜さんの思考回路。

感服するよ全く。)

そう思いながら周は微笑む


「ふふ。……やっぱり君は俺のミューズだな。」


「さっきからそれ、何なんだい?確かミューズってインスピレーションとか芸術の女神じゃなかったかい?」


「さすがだね。そうだよ、だからこそなんだよ。」


「……?」


「君は俺の価値観を広げて、塗り替えてくれる。君色に染まりながら新しい可能性を見つけられる。それが俺にとって最高の幸せなんだよ……だから君は俺のミューズなの。お分かり頂けましたか?我が主。」


周は妖艶な笑みで囁く

少し照れたような顔をした後、澪桜はウンウンと頷き周に返した


「それを言ったら君は私のミューズになるね。私の価値観を広げてくれたのは君も同じだよ。君といると私は少し変われる気がするんだ。」


思いがけない澪桜のセリフに思わず動揺した。

本当にこの人はなんでこんな男前な事サラッと言うのだろう。

そう思いながら必死で返す



「////おっ……俺は男だよ!」


「じゃあ……ミュズ男?」



……スンとする空気。

ミュズ男て。一瞬で恋人の甘い空気がどこぞにララバイした。


「いや、何でも男つければいいってもんじゃないでしょうが!なんだミュズ男って。」


頑張ってカッコつけようとしたのに、周あえなく失敗。


気付くとテーブルに美味しそうな料理が並んでいる。

まあいいや、とりあえず腹ごしらえするか。


嬉しそうに揺れる澪桜を見て眉毛を下げた


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