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社会不適合者の恋愛論  作者: 澄泉
第2章
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102話 悩みの種



風に揺れサラサラと流れる周の髪の毛。

先程一瞬だけ触れたが柔らかかったな……

また触ってみたくてそっと手を伸ばす


一瞬ビクッとする周


だけど嬉しそうに頭を下げる

澪桜が撫でやすいように


「えへへ。どうしたの??なんで撫でてくれるの?」


頬をうっすら赤らめながら甘えるように聞いた


「……想像よりかなり毛並みがいい。」

澪桜の感想。


「……毛並み……」


俺は猫かと思う周


毛並みの良い髪の毛を存分に堪能した澪桜は

周のスマホに視線を落とす

2人は先程話していたピザ屋のメニューを眺めていた。

だいぶお腹が空いてきた二人。


どれがいいか相談し始める


「おお!周さん、これ美味しそう!見て見て♪耳までチーーーーズ!!」


「美味そー!これオプションだって!全部に付けられるみたいだね!……俺、ミートソースとポテサラ乗ってるやつがいいなぁ、澪桜さんは??」


「いーねー!!私もそう思ってた!ししし、じゃあそれを耳までチーズにする?」


「そうしよ!あと、このカルボナーラピザめっちゃウマだよ!これも頼も!」


「食べたい!!……でもさ2枚も食べれるかな?ハーフ&ハーフ?」


「いや余裕で大丈夫だよ、俺食うし。今腹減ってるしっ!」


あれでもないこれでもないと話した後、注文した。

到着は8時半といったところだ。

ちょっと遅めのご飯だが問題ないだろう。


周はちゃぶ台に体を預け頬杖をついた。

澪桜に甘い視線を向ける

指に優しく触れながら


……妙に色っぽい。


澪桜はまだ慣れなくて少し視線を外した


今まで意識しないようにしていたせいで気づかなかった

周のポテンシャルの高さ


当の本人は無意識にやってるから逆にたちが悪い。



「……ねえ、こっち向いて?」


指をなぞりながら低く甘い声で囁く

甘えるように


体に電気が走ったようになる澪桜

心臓がうるさい。


「はぃぃ」

ゆっくり視線を戻す───薄めの虹彩、柔らかい瞳、切れ長の目、長いまつ毛……


…………はい、やっぱ無理!!!!!

ギュンっと高速でそっぽ向いた


「ああああ。なんでこっち向いてくれないのぉ」


周が駄々を捏ねている。人の気も知らないで


「早くピザよ来い!!!」


そよそよと風が揺らすカーテンに向かってピザを召喚しようとした。


「……あはは。3~40分は無理だよ。そんなお腹空いてるの?

それならどこかに食べに連れて行ってあげた方が良かったかなぁ。ごめんね、俺が家に居たいなんてワガママ言ってしまったから。」


周が気遣ってくれた。

……相も変わらず澪桜ファースト。友達だった頃からずっと変わらない……いや、余計に大切にされてる。



周さんの優しさが沁みる。

だから正直に言おう


「そうじゃないよ、ごめんね。周さんが綺麗すぎてまともに見られなかった」


「っ!!!!!」


ガバッと体制を整える周

顔が真っ赤になって視線を外す

……あ、あたしと同じだと思った


(澪桜さんっ……すぐ不意をつくんだから!!なんでそんなサラッというの!?)


周は冷静になる為一旦呼吸を整えてから

先程の話に戻した


「っき……綺麗なのは澪桜さんの方でしょ!俺は綺麗じゃないっ……何言ってんの!?」


「いや、誰から見ても君の方が綺麗だよ。自覚しなよもう少し」


「自覚って……いやいや、俺男だし!」


「はぁ。君は本当に何も知らないんだねぇ。私はそれで悩んでたって言うのに。」


「……?悩んでた?どういう事?」


「この話はきっと周さんを不快にさせてしまうと思う。だから言おうかどうしようか悩んでたんだよ」


ピクっと反応する周


「……不快?そんなの気にしなくていい。例え傷付けられても泣かされても俺は本望だから。澪桜さんになら何されてもいい。」


「……なにそれ。どこから出てくるのその語彙は……」


「ずっと思ってた事だからだよ。付き合う前からずっと。」


目を細めて澪桜を見つめた。

(やっと言えた、俺の気持ちなんだから。)


「……なんか愛されてるなぁ。私は」


自分に言い聞かせるように呟く

その言葉に周はゆっくり頷いた


「愛してるよ……物凄くね。だから安心して話してごらん?価値観は早めにすり合わせないとね。」


澪桜の髪に触れる。

真っ直ぐで美しい絹のような髪に。


「……私は正直周さんに相応しくないと思うんだ。客観的にね。好きだから……君の傍にいられて嬉しいのだけれど、次のデートは人のいない所がいい。山とか、海とか。」


目を見開いた

(何でそんな事を言うのだろう。

一緒に行きたいところたくさんあるのに。せっかく恋人になれたのに。)


周は悲しげに答える


「なんでそんな事言うの?……相応しくないって何?俺と歩くの嫌?」


「そうじゃないよ!楽しいよ!!……ただ世論がねぇ。」


「……世論?」


「こないだの箱根。あの時にね、通りすがりの人に何度か『不釣り合い』だって笑われたんだ……友達だから問題ないとかじゃないんだよね、人から見たら関係ないんだよ。」


俯く澪桜

周は指に力が入る


「……はぁ!?なんだそれ!?」


自分の事のように怒る周に続けた


「……まぁ確かにそうだよね正しいと思う。ただ今の私は人の目や声を気にして歩く癖が付いてしまって、疲れてしまうからちょっと控えたいなって意味。ようはウーパールーパーにエルフは勿体ないって事さ☆」


下手くそなウインク。

悲しそうというより事実として受け入れてる顔

冗談で和まそうとする所が余計に心に来た


(なんでこの人は自分をここまでナチュラルに転け落とせるのか。何を言われてもいつも平気な顔で……

君が傷付き慣れているのが俺は堪らなく辛い)


「言いたいことはよく分かった。でもさ、それって本当に世論?」


真剣な眼差しで問う。


「……え?そうだよ、だって」


「いや、違うでしょ。……そう言うのを妬み嫉みって言うんだよ。要は汚い嫉妬だよ。

澪桜さんは綺麗だし美人だよ、誰から見てもね。

君がそれに気付かないだけ……知ってた?二人で歩いてる時何度も男が振り返ってるの、君に釘付けになってね。」


「……それは無いだろう何言ってるんだい?」


いやいやと手を横に振る


「……ほら気付いてない。その度に俺がどれだけ腹が立ってたか、知らなかったでしょ。だって俺、顔に出さなかったから……立場上、親友だったしね。」



「そんな馬鹿な……」


「俺からしたら澪桜さんはずっと高嶺の花だった。俺には分不相応、ずっとそう思ってたんだよ?

ほら、それでも自分は客観的に見れてて、世論ってやつが正しいと思う?」


「それは……」


「俺が選んだのは澪桜さん。誰が何と言おうとね。

そして君が選んだのは俺。誰が何と言おうと。

不釣り合いなんて分不相応なんて……お互い思うのをやめよう?根拠の無い誹謗中傷に耳を傾けるなんて馬鹿げてるよ」


澪桜は周の言葉を噛み砕く


確かに聞いた声は何人か。

それが世論とは限らない。

そっか、そうだよね。

君はすごいね。あんなに辛かった気持ちがどんどん溶けて

一瞬で私の心が軽くなっていく。


いつも君の価値観に救われるんだよ。



「……理解した。ありがとう周さん、君のお陰で私の世界は……救われてる。私は堂々と君の隣を歩いていいんだね」


優しく微笑んだ


「……当たり前でしょ?というか、澪桜さん以外歩かせないよ。俺の隣は一生澪桜さんだけ。」


フンッと拗ねて見せた

不安げに続ける


「……だから、他の男……歩かせたりしないでよ??絶対だよ??」


一瞬キョトンとする澪桜

思わず吹き出す


「ないない!!誰が歩きたがるんだい??ウケる!」


「……やっぱ分かってねぇよ澪桜さんめ」


周はガクッと肩を落とした

バンバンとその肩を叩かれる


「大丈夫大丈夫!!むしろ無いから!!あはは!!

周さんは優しいね!私を慰める為にそんな事まで言ってくれて!でも大丈夫だよ!もう平気だからね☆世論と誹謗中傷が違う事は今のでちゃんと解釈できた!」


(違うよ!だって俺少し離れてたじゃん!?

完全に澪桜さん見て鼻の下伸ばしてたからぶん殴りたかったんだぞこっちは!!なんで伝わらないんだ!!!)


周は叫びたいがやめた。


(多分伝わらない。

まぁでも君の心の傷を少しでも塞げたなら良かったと思うことにするか。

俺はこれから何回ヤキモキするんだろうなぁ。)


「はぁ。そりゃ良かった。」

深いため息が響く


「なんだい!?悩みかい!?今度は私が聞くよ!!」


「いや、大丈夫。俺の悩みの種君だから。」


「んんんん?」

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