第97話 呪い
こんばんは!
オーナー今夜は何か悩んでるの?
そっか、オーナーの物語かあ!
それはとっても大事だね。
じゃあ、ボクがとっておきのお話を今日はしようかな?
それはね、魔術師とか呪い師と呼ばれたとある男のお話だよ!
彼はオーナーと同じように望んで、
あちらからこちらへと来た気骨のある人だよ。
◇◆◇◆◇◆◇
その男には余人に見えないものが見えていた。
それはその男の不幸であり幸運だった。
男の目に見えているものについて理解は中々得られなかったが
数は少なくとも同士を得る事が出来たのは幸運だった。
男の目に見えるものは無邪気で無害なものから
凶悪なものまで様々だったが、不思議と嫌悪感は無い。
むしろ、ひとつの目的に特化した在り方には心惹かれるばかりだった。
男はあらゆる怪異にまつわる情報、オカルトと呼ばれる魔術に関わるもの
降霊術、イタコ、天使の言葉と言われるエノク語まで研究した。
そして、いくつかの共通点とルールを見つけた。
呪術、魔術と呼ばれるものは基本的にあちらへのコンタクトであり
その相手こそそれぞれだけど、それらは全てヒトがコンタクトするだけで危険がある。
だから、魔術儀式の最初には聖別と身を守る事から必ず始める。
そして怪異、妖怪、天使、悪魔、神と呼ばれるものも不滅ではない。
限りなく不滅に近いが、その根源たる物語へ干渉できれば消滅も可能だ。
ただし、それが可能な存在はほぼ存在しない。
なぜならば、そもそもヒトでその能力と理解を持っている者は滅多におらず
中世や江戸時代以前ならともかく、現代ではそれらは全て紛い物だと信じられている。
その「紛い物」だと信じられている事が、逆に怪異に不滅性を与えている。
つまり、「どうせ本当の事じゃないんだから、放っておけばいい」と言う
現代らしい無関心さが、新たな物語を歓迎しつつ危険察知できずに放置してくれるのだ。
その男はそのまま魔術を極めたが、やがて老い、死を恐れるようになった。
男は魔術の研究を続けるため、自らの死をもって完成する物語を作り上げた。
その物語は、男を再びこの世に呼び戻すためのトリガー。
その物語は、ある条件を満たす存在がその物語に触れると、男に読み手が乗っ取られてしまう。
怪異である男は、同時に複数個所に存在する事も出来るようになった。
◇◆◇◆◇◆◇
オーナーどうだったかな?
呪われた絵本となった魔術士の男の話は?
ちょっとオーナーが目指す方向とは違うと思うけど
自らこちらへ来たお話だよ!
さあ、今宵はこちらでお終い。
また次のお話しを楽しみにね!
読んでいただきありがとうございます!




