第91話 変質
やあ、こんばんは!
きみが来てくれるのは本当に嬉しいな。
そんなきみの今夜のリクエストはあるかな?
きみの好みは色々聞いてきたけど
きみの好みは広いから、リクエストがあるなら欲しいな!
今日はどんな理不尽な話がいい?
無差別なのがいい? 逆恨みがいい?
それともじっくり、しぶとく、ねちねちとその時を待って一気に止めを刺しに行く?
今日の気分は?
なるほど、執着して粘着してなのにそれさえも分からなくなるほど煮詰まった呪い。
いいねえ! いいねえ!
じゃあ、こういう時は鉄板の恋愛からのどろどろのお話なんてどうかな?
◇◆◇◆◇◆◇
最初は確かに愛があった。
幼馴染から始まった関係は重ねた時間が愛情を育み
恋人となって婚約までしたはずだった。
なのに、彼の気持ちは他へと移ってしまった。
絶望した彼女は、悲しみ、苦しみ、気持ちを捨てられず
相手の女性を排除するほどの強さはなく
彼の気持ちを取り戻せるほどの強さもなく
全ての自信をうしなった彼女はただただ沈んで行き、そのまま病を得て亡くなった。
それから、彼の周りでは様々な不幸が起り
人々は彼女の呪いかと思われた。
そんな事実はなかったのだけど、死した後も責められ
理不尽に責められた彼女の魂は闇に堕ちた。
なぜ?
私はただただ彼を愛しただけなのに
なぜこうも責められないといけないのか?
私は誰も恨むこともなく、ただ諦めることもできなく、
ただただ悲しんだだけなのに。
悪いことは全て私のせいにされた。
……そんなこと、許されない。
私はただ、ただ、悲しみを抱いただけなのに。
そう、そんなに私を悪者にしたいのなら、応えてあげましょう。
みんな、ユルサナイ。
絶対に、ユルサナイ……!!
まずは、彼から。
彼には苦しんで、苦しんで、のたうち回って、死んでもらう。
あの女性も、他の彼と関係をもった女性も
みんな苦しんで、苦しんで、そして死んで?
全員、仲良く、地獄に堕ちようね?
うふふふ、み~んな、仲良く逝こうね。
逝っても、あの世でも、地獄でも、許さないから。
ずっとずっと、地獄の極卒よりも責め続けてあげるから。
◇◆◇◆◇◆◇
どうだったかな?
無垢な悲しんでいただけの魂が変質する様は?
愛すべき女性だったのにねぇ?
きっと彼女は無差別に全てを呪う素敵な素敵な呪いに昇格してくれたよ。
さあ、今宵はこちらでお終い。
また次のお話しを楽しみにね!
読んでいただきありがとうございます!




