第85話 手
やあ、こんばんは!
前に水は事故が多いから必然的に怪異が発生しやすいって
話をしたのは覚えているかな?
今回はもうちょっと抽象的でね
人を誘い込む怪異って、何故か『手』なんだよね。
呼ぶのも
捕まえるのも
誘うのも
何故か全身じゃなくて、体の一部である『手』なんだけど。
僕からするとむしろ怖いじゃん!って思うのに
何故人は『手』に誘われちゃうんだろうね?
◇◆◇◆◇◆◇
私が覚えているその『手』はいつも温かくて、大きくて
安心して甘えられる存在だった。
「おいで」って言ってつないでくれる手が気持ち良くて
大好きで、安心してしまう。
その記憶のせいか、私は不安になると親しい人と手をつなぐ習性があった。
その手は、冷たくて驚いてしまって、手の先を見ると……
なにもなかった。
思わず腰が抜けそうになって後ずさり、走って逃げたんだけど
振り向くと、寂しそうに手が呼んでいた。
それでも、恐ろしさの方が勝って逃げに逃げた。
視界の端で寂しそうに揺れ、私をさがしている手を無視して。
ようやく人ごみに出て、紛れてホッと一息付けた。
なんで、あの手に触れたのかは分からなかった。
でも、見た瞬間、つながなきゃって思った。
頭を軽く振って、意識を切り替えて駅へと向かう。
さっさと帰って美味しいものでも食べて忘れようと。
その時、ふと手に触れるものがあり、反射的に振り払うように
手を自分の胸元へ上げた。
一体何が、と周りを見るけれども、何もなかった。
君の悪さを感じながら、手を降ろして歩き出し駅へ向かうため
誘われるように脇道へ入った。
気付いたら誰かと手を繋いでいて、その道は進めども駅には着かなかった。
がっちりと繋がれた手が、離されることはなかった。
◇◆◇◆◇◆◇
子供手とか、母親の手って温かいよね~。
あの手は繋いだら離せないの分かるよねー!
でも、だからってなんでも惹かれちゃうのは
色んな意味で危険だよね?
さあ、今宵はこちらでお終い。
また次のお話しを楽しみにね!
読んでいただきありがとうございます!




