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黒猫の図書館  作者: あるる


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第79話 標本

 いらっしゃーい!


 昨日はちょっとアレなお話で申し訳なかったね。

 でも、ちょっと気になっちゃってね!


 今日はまた別のアプローチをしたいな。


 ね、君は死後も自分を見世物になれるってどう思う?

 そうだね、例えばミイラ。例えば標本。


 骨格標本は偽者かもだけど、元となった人はいるはずだよね?

 ってことは、その人は永遠に辱められてるってことで……。


 飾られている彼らはどう思うんだろうね?



 ◇◆◇◆◇◆◇


 私は幼い頃から標本が好きで、様々な標本を買ってもらっていた。

 自分の部屋には所狭しと標本を飾り、一日中眺めていても飽きなかった。


 小学校の高学年に上がる頃には自分で標本を作るようになっていた。

 美しい姿をそのままに、永遠に残せるこの作業が素晴らしかった。

 何度も失敗して、そして完璧な生きている時と寸分たがわず美しい姿を残せた時の感動はひとしおだった。


 昆虫の標本はそれでも手を出しやすかった。

 それよりも大きくなると理解されるのも、また標本を作る環境も一気に難易度が上がった。


 ハムスターや小型の兎でさえ周りの忌避感が強く、家族からの理解も得られなかった。

 両親からは老いて亡くなった動物でいいじゃないかと言われたけれど、それでは健康な時に毛艶などが残せない。

 置いた時のものとの比較はありかもしれないが、それだけでは意味がないんだ。



 だから、私は剥製も興味があったけど、生物学、特に解剖学を専攻する事にした。

 学術的に許されると言うのが私には素晴らしい環境だ。

 その為の努力であれば惜しまないで勉強を続け、周りには生物自体に興味があるんだと思わせた。


 その努力は身を結び、私は無事生物研究室に入ることができ、

 解剖で小さない生物から中型の者まで事細かに切り分け、腑分けして確認する事ができて幸せな日々だった。


 ひとつ、ひとつの臓器を確認し、異常を発見したことによって新しい病気を見つけたことによって評価もされた。

 その臓器ひとつひとつを丁寧に固定標本化させて、私の仕事は終わる。


 実に芸術的で、技術も求められて満足度も高い。

 ただ、厄介なのはどんどん違う生き物を、大きな生き物を、そして禁忌へと手を出したくなる。


 目の前の生き物を開いたら、どんな景色が待っているのか……ああ、楽しみだ。



 ◇◆◇◆◇◆◇



 完全なるど変態が来ちゃったね~。

 これがいわゆるマッドって言うんだろうね!


 でも、単に命を奪うだけで終わらないのが救いかもしれないね。

 僕は自分の内臓を見世物にされるのはごめんだけどね!


 さあ、今宵はこちらでお終い。


 また次のお話しを楽しみにね!


読んでいただきありがとうございます!

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