第68話 思念
いらっしゃい!
ねえねえ、きみは生霊とかってあると思う?
残留思念でもいいんだけど、気持ちだけが残る現象。
気持ちだけがその場に残るって凄い事じゃない?
よっぽど強烈な思いだからこそ、そこに残ってるんだろうから
一体なにがあったら、そんな風に強烈な想いがのこるんだろうね?
今夜はそんな、切り離された「心の一部」のお話だよ!
◇◆◇◆◇◆◇
ソレは、ただただ1つの存在をひたすらに求めていた。
何故か、いつからか、そんなものは分からない。
ただ、ただ、その存在を求めていた。
会えたらどうする、も考えていない。
ただ、ただ、求めていた。
どのくらい時間が経ったのだろうか?
ソレは擦り切れ、壊れそうになりながら待ち続けて
そして、ようやく、ようやく出会えた!!
待ち望んだその存在を把握した瞬間
ソレは本能の赴くままにその存在へと飛びかかり
そして、その存在は一瞬で壊れてしまった……。
何故、壊れてしまったのかは分からない。
ただ、またソレは待たなくてはいけなくなった。
稀に誰か来るものの、待ち望んだものではなく
悲しく
自分を誤魔化すように来た者へ近づくと……
やはり壊れてしまった。
長い長い年月、ソレは待ち続けた。
そして、ようやく会えた。
「やっと見つけたよ、私の分身。さあ君はもう私の中で眠りなさい」
抗いがたい言葉と共に、ソレは抱きしめられたが……
年月がソレを変質していた。
ソレには自分の存在意義を壊すものだった。
そんなものは許せない。
危機を感じたソレは自らを本体だと言った存在も壊し、
それでもまだそこに存在した。
今日もまだ、何故待っているかも定かではない「誰か」を待っている。
ソレがその「誰か」と出会った時に
何が起きるかも、全ては未知数のまま。
今も、ソレは待っている。
◇◆◇◆◇◆◇
一瞬の気持ちだけが切り取られてしまうと
こうなってしまうのかな?
それにしても、待っている存在をちゃんと把握してるのかな?
分からずに、本当に待っていた人まで壊しちゃったら……
悲しいお話になってしまうねぇ。
さあ、今宵はこちらでお終い。
また次のお話しを楽しみにね!
読んでいただきありがとうございます!




