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黒猫の図書館  作者: あるる


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第62話 焔

 やあ、いらっしゃい!


 ねえねえ、きみは火、炎と聞くと何が思い浮かぶ?


 一般的には、

 知恵の神が人に与えたもの、知恵の切っ掛けとなるそのもの

 全ての始まりと終わり

 創造と破壊

 救いと報い、そして浄化


 そう、今夜は炎をテーマのお話にしようと思うんだけど

 きみはどんなお話にしたいかな?



 ◇◆◇◆◇◆◇



 赤く、黄色く、その炎は全てを燃やしながら

 しっかりとその存在を示していた。


 遠くで鳴るサイレン、人々の叫び声、全てが他人事だった。



 燃えている、そこは、どこよりも良く知っている場所でありながら

 ろくに何も思い出せない場所。



 よくある話。

 再婚同士の家で自分は父親の連れ子、妹二人は義母の連れ子。

 父は妹たちを可愛がり、自分はいないような扱いだった。


 なので義母も妹たちも自分とは距離があり、

 自分だけが異物なそこは、自宅でも実家でもなく、居候先。



 だからさっさと自立して、独り暮らしを始めた。

 自分が出て早々に自分の部屋は下の妹の部屋になったらしい。



 お互い距離を置いてようやく得た平穏だったから

 下の妹から連絡が来た時は心底驚いた。


 自分の連絡先を消していなかったのかと。

 もしや両親どちらかが亡くなったのか?と思ったけど違った。



「兄さん? ああ、良かった……兄さんは東京にいるんだよね?」



 実家を出てもう8年、高校卒業して仕事しながら自分で大検取って転職して

 その間一度として連絡は取らなかった。

 お互い不干渉を受け入れていると思っていた。



「アヤ? 久しぶりだな、どうしたんだ突然」

「ううん……久々に連絡したくなってね?」

「そっか、連絡ありがとうな。みんな元気か?」

「うん。でもね、最近こっちは色々治安が悪いからしばらく来ない方がいいよ」

「えっ、サヤや父さん、母さんは大丈夫なのか?」

「っ……うん、うちらはここが地元だからさ。じゃあ、兄さん、またね……」


 そう言うと妹、アヤは電話を切ってその後は繋がらなかった。


 アヤが通話を切る直前に声が聞こえた気がしたけど、分からなかった。

 自分は嫌な予感がして、一旦治安についてなど調べたけど何も出なかった。


 様子を見るだけだ、と仕事帰りに見に行ったら

 実家だった場所は、燃えていた。


 炎で割れた窓の奥に人影が見える、そして鉄錆のような匂いが鼻につく。

 自分は、妹を救い損ねた……。



 ◇◆◇◆◇◆◇



 この炎は浄化だったのか見せしめだったのか

 なんだったんだと思う?


 それにしても、きみは境界線がハッキリしていて

 面白いねぇ。


 さあ、今宵はこちらでお終い。


 また次のお話しを楽しみにね!

読んでいただきありがとうございます!

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