第56話 鏡に浮かぶ伝言
いらしゃーい!
前回は興味深い話をありがとう!
さて、今夜はどんなお話がいいかな?
あの世とか別の世界からのメッセージか!
交霊とかでもメッセージが欲しくてやるもんね。
うんうん、面白そうだね!
いいお話があったから、今日はそのお話にしようか!
ふふ、きみの好奇心……ではないな
きみは指針が欲しいのかな?
本当に不思議なヒトだよね。
さあ、楽しんでね!
◇◆◇◆◇◆◇
もう、随分と前になるけれど、最愛の妻を病で亡くした。
その後男でひとつで息子を育てた。
息子は妻に似て自分の帰りが遅いからと料理をいつのまにか覚えて
「親父は健康で長生きしてくれよ」と言ってくれる。
本当にできた息子だ。
そして、素敵なお嫁さんを貰った。
お嫁さんは自分との同居も嫌がらず、感謝しかない。
自分もいい年だ、そろそろ妻の元へ逝く日もそう遠くないだろう。
その時に、妻に色々話したい。
妻はなにを知りたいだろうか、それが気になるようになったある日
知り合いから降霊術を行う霊媒師がいると聞いた。
半信半疑だったが、
その知り合いは事故で亡くなったお子さんと話せたようだ。
だから、自分もお願いしたんだ。
あちらに行くまでに、自分にできる範囲にはなるけれども妻の願いを叶えたい。
霊媒師の方から、妻しか知らない形見の話が出て
本当に妻が戻って来てくれているんだと分かって嬉しかった。
そして、霊媒師の方とは内緒で妻と秘密裏にやり取りするようになった。
それは妻の形見の小さな鏡。
そこに、妻の筆跡で可愛い願いが来るのが楽しみになった。
あそこのお団子をお供えして
たまにはお茶は紅茶だと嬉しいわ
そんな他愛のないやり取りを一日に一回だけしていた。
幸せな日々だった。妻の望んだものを備えると、喜んでくれた。
まるで妻が隣りにいるように感じで、嬉しかった。
孫の写真などを撮るのも普通に楽しい。
そんな生活が当たり前になって二月程過ぎた頃から
妻が寂しがるようになった。
孫に触れたいわ
お嫁さんと一緒にお料理をしたかったわ
と、寂しさをにじませる妻の言葉に胸が締め付けられた。
それでも、「困らせてごめんなさい、いつもありがとう」と言う妻が健気だった。
そして、ある日妻は言った
「みんなに会いたい……」
自分は、どうするのが正しいのだろうか。
みんな……自分と息子、お嫁さんと二人の孫……。
◇◆◇◆◇◆◇
ひゃあ~お爺さんは結局どうしたんだろうね?
気になるなぁ……!
それにしても、お爺さんと鏡でやりとりしていたヒトは
本当にお爺さんの奥さんだったと思う?
ボク? 僕の意見は内緒だよー!
大事なのはきみがどう思うか、だもの。
さあ、今宵はこちらでお終い。
また次のお話しを楽しみにね!
読んでいただきありがとうございます!




