第55話 白の空間【前編】
やあやあ!こんばんはー!
今夜は、きみならこんなシーンでどうするか
きみの考えを聞きたいんだけど、いいかな?
ほんと? 嬉しいな~!
じゃあ、早速だけど始めてみようか!
「なにもない、白い狭い部屋に閉じ込められたら」
はじまりはじまり~!
◇◆◇◆◇◆◇
黒猫のきまぐれで始まった遊び、だと思ったんだ。
黒猫の合図と共に、僕は意識を失ったようで……
気付いたらこの白い空間にいる。
確かに黒猫の言っていた「白い狭い部屋」に閉じ込められている。
ひと昔前に見たホラー映画のような狭い部屋に僕は一人だった。
どの位ここにいないといけないのか
あれからどの位時間が経っているかも分からない。
確かにこの空間はなにも分からないだけに不安になる
そして、奇妙なことに空腹にならないし、トイレも行きたくならない。
でも、寝ようと思ったら眠れそうだ。
ここは一体どうなっているのだろう?
考えても仕方ないから、疲れないように座ろう。
……そう言えば黒猫はなんて言ってたかな?
『きみはこんなシーンならどうするかな?
きみの考えを聞きたい』
僕の考え、か。
何がどうなるかも分からない。
出口も窓もない。
移動できそうな場所もない。
反面、空腹にならないし、排泄もない。
喉の渇きさえもない。
なら、ここにいることでのデメリットは
時間経過が分からないこと。
恐らく今のぼくは精神のみ、
または何かしら体と切り離されている。
なのに、何故僕は不安を覚えないんだろうか?
あの黒猫は面白いけど、本当に信用できるかは分からない。
うん、カレ自身怪異の一種なんだと思う。
本来ならスーツの男たちのターゲットになっていてもおかしくない。
でも、あの図書館はいつも変わりなく、黒猫も警戒している様子がない。
それなら、きっと何か別の理由で図書館は安全なんだろう。
何もしないで、時間だけがあるって滅多にない状況に
思考がどんどん広がっていく。
自分のこと
黒猫のこと
図書館のこと
この場所のこと
答えは出ないけど、取り留めもなく今まで聞いた話や
昔自分が映画で見たり、本で読んだ内容などが浮かんでは消える。
不思議と、ここの居心地は悪くない――。
◇◆◇◆◇◆◇
……っぷ、あははははっ!
彼は強いね~ あの環境で眠っちゃったよ!
彼のいる場所がなんなのか
彼がどうするか、最後まで見守らないとね。
さあ、今宵は続くよ。
また次のお話しを楽しみにね!
読んでいただきありがとうございます!




