第5話 窓に映る自分
やあ、いらっしゃい。
待ってたよ~!
今日はどんなお話がいいかな~…
あ、そうだ、君は電車は良く使う?
電車はバスと違って遅れることも少ないし便利だよね!
それに色んな種類の電車があって面白いし。
うん、そうだね。
今日は電車のお話にしようか!
みんなが良く知っている電車にもね
色んなお話があるんだよ~。
◇◆◇◆◇◆◇
平日の通勤や通学時間の電車は混んでいて
正直座れない時はスマホを見るか窓の外を見ているしかない。
今日は生憎座れなくて、スマホも疲れたので見る気もしないから
久々にぼ~っと外を見ていたのだけど……。
今日も東京はどの駅に止まっても人ばかりだ。
不思議なくらい綺麗に乗り降りする多くの人、機械のようだと言った外人の気持ちも分からなくもない。
見慣れている景色もよくよく見ると店が変わっていたりして
案外面白い。
今度あのお店に行ってみよう、とか新しい発見が意外とある。
ふと、視界に違和感を感じた。
なんだろう?
きょろきょろすると、人と目があったので会釈して窓の方をまた向く。
……窓ガラスに映る、自分の顔が横を向いていた。
はっ!?
と凝視していると、遅れてこっちを向く。
見間違えだったのだろうか?
試しに下を向いてさっと顔を上げると、やはり窓に映る自分は下を向いていて…
ワンテンポ遅れて顔を上げた。
何か科学的に説明つくのだろうか?それともそこまで疲労しているんだろうか?
と、考え始めた所で
電車の窓の映る自分が、こっちを見てニヤリと嗤った。
思わず声が出そうになるのを必死にこらえて、
もしや何かの悪戯か!?と左右を確認すると
周りが全員が無表情で「ワタシ」を見ていた。
「っ!!」
思わず悲鳴が漏れたのに、誰も反応しない。
ただ、ただ、全員がワタシを見ている。
まるで監視するように。
あまりもの怖さに目を背けると
窓ガラスに映っていた、
ワタシの鏡像だったはずの、
窓に映っていたアイツが小さく手を振って、軽快な足取りで降りていく。
窓を必死で叩くが、誰も気付いてはくれない。
何度も何度も、必死で叩くワタシを無視して無情にも電車は出発した。
そして、ワタシは……ここに残された。
多くの影のような人たちと共に。
◇◆◇◆◇◆◇
窓ガラスに取り残されちゃうなんて怖いねぇ~寂しいねぇ~。
でも、窓に映っている自分とここにいる自分、どっちがホンモノなんだろうね?
意外と、これが正しい!これがホンモノ!
って信じているものは間違っているのかもよ?
それなら、窓に映っている自分が人間の自分で
自分だと認識している存在が影だった、な~んてあるかも?あるかも?
世の中は摩訶不思議だからね!
さてさて、今宵はこちらでお終い。
また次のお話しを楽しみにね!
読んでいただきありがとうございます!




