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黒猫の図書館  作者: あるる


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36/105

第36話 透明

 いらっしゃーい!


 ねえ、きみに聞いてみたかったんだ!

「怖い」って人によって意味が違うかもしれないけど

「分からない」って大事なファクターだと思うんだよね!


 生理的に嫌悪するものも怖いけど

 本能的に理解できないものを人は忌避するよね。

 でも、それって凄く正しいと思わない?


 だって分からなければ、

 それが安全か分からないもの。


 そう考えるとさ、誰の記憶にも残らないってすごい恐怖じゃない?



 ◇◆◇◆◇◆◇



 ボクは特に目立つこともなく、特に優れた容姿でもなく

 成績も中の中、運動も人並み、体格も中肉中背。


 どこにでもいそうな、その他大勢の一人。

 それがボクだった。


 親兄弟でも、集合写真でボクを見つけるのは難しい。


 ボクはみんなの目には見えているけど、見えていない

 透明人間のようだった。



 完全に透明人間だったら、まだ諦めようもあるのに

 ボクの場合はそこに「いる」のは認識されるんだ。

 それが「誰」だったかは覚えられる事はなくても。



 だから、ボクは自身の存在をアピールするにはどうすればいいか

 今まで色々試してきた。


 例えば派手な色合いの服を着るとか。

 例えば髪を染めて見るとか。

 例えば目立つような立場に立候補するとか。


 結論、やっぱりボクが覚えられる事はなかった。

 派手な服を着ていた男性がいた事は覚えていても、それがボクだとは覚えてない。

 髪を染めている別人だと思われていた。

 なにかの役員をやっていても、声をかけて初めて「そうだっけ?」となる。



 だから、ボクはなにか大きな事をいつかやろうと思った。


 ボクの顔は覚えていなくても

 ボクのやった事は人の記憶に残るから。



 なのに、ボクの実績は別の奴に奪われた。

 その理由が、「お前じゃ誰も気に留めてくれないだろう?」と

 三年かけた研究結果の内容を同僚に取られた。


 ボクの研究内容が評価されたのに

 同僚にその名誉を奪われ、でも誰も気付かない事に絶望した。


 だから、ボクは全ての証拠をあらゆる場所へと送り付けて

 研究室で同僚を刺した。

 ヤツの死を見届けて、そのままボクも自ら首を切って

 会社を研究室を血まみれにして死んでやった。


 血まみれのボクはもう、透明じゃない。



 ◇◆◇◆◇◆◇



 壮絶な最後だったねえ……。

 いやあ、執念を甘く見てはいけない良い例だね。


 人の成果を奪った奴は、死後も蔑まされ

 透明人間は悲劇の人として人々の記憶に残る。


 良いお話しだね~!

 でも、人の記憶なんて適当だから、いつまで残るのかね?


 さあ、今宵はこちらでお終い。


 また次のお話しを楽しみにね!

読んでいただきありがとうございます!

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