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黒猫の図書館  作者: あるる


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33/105

第33話 視界に残る影

 やあやあいらっしゃい!


 そういえばきみはここでや他でも色んな話を見て来たと思うけど

 どんなお話しを読んで来てるんだい?


 ホラーはもちろん、ファンタジー、アクション、ミステリー

 SFに時代物から古典まで?

 はあ〜、本当に読書家なんだね!

 素晴らしい!


 じゃあ、今夜はオーソドックスなものを紹介しようかな!



 ◇◆◇◆◇◆◇



 その日、運悪く自殺の現場に居合わせてしまった。


 あっ、と思った瞬間にはもう、その人は落ちていた。

 一瞬時が止まったような静寂の次の瞬間、悲鳴と怒号

 周りにいた人たちもパニックになっていた。


 自分は、動けなかった。

 ショックだったのは、その通りなんだけど

 目があったのだ

 落ちて行った人と。


 その人は諦めたような、それでいて何かを訴えるような目で

 自分と目が合ったと分かると、ニヤリと笑った。

 見せつけるように、その人は、ゆっくりと落ちて行った。



 知らない人だった。



 その日から、私の視界には、その人が映る。

 視界の端に、隠れるように。


 自分は何もしていないのに

 影がずっと追いかけてくる。


 知り合いに頼んで霊媒師や神社にも行って

 お祓いをして貰っても、ダメだった。



 その影はどこに行っても、いつでも

 付いてきて、視界の端でこちらを見ている。

 決して視界の中心へは来ることが無かった。


 ある時、いつも視界の端ギリギリにいる影が気付いたら真横にいて驚くと

 影は顔を上げて上を見ていた。

 つられて上を向くと、小さめのビルの屋上、フェンスの外側に人が立っていた。

 そして、迷いなく飛んだ……。


 ほんの数メートル先に落ちた、人だったものは

 耳に残る音を立てて、人だった形を残しながらも壊れた人形のように

 あり得ない方向に曲がった四肢があまりに冒涜的な姿をして目の前にある事に

 自分は耐えきれず、腰を抜かして呆然と座り込んでしまった。



 横で影が笑っていた(・・・・・)気がする。



 あの影は、自分と同じように死ぬ者が嬉しいんだと、気付いた。


 暫くはまた何もなかったのに、また視界の端で影がそわそわし始めた。

 きっと、死のうとしている人がいるんだと気付いて

 どこか影の反応を見ながら方向を突き止め、端って向かうとマンションの上の方に人影が見えた。


 慌ててマンションに入り、エレベータでその階につくとまだ人影はそこにいた(・・・・・)

 止めるべく走り寄って手を伸ばし、落ちようとする人を捕まえた!


 確かな感触にホッとして、ぎりぎり手が届いた人を見ると、くるりとこっちを見上げて――


『捕まえた』



 ◇◆◇◆◇◆◇



 ひゃあ~、怖い影だねえ!


 死者は死者を呼ぶとは言うけど

 知らず知らず呼ばれているのはビックリしちゃうよね!



 さあ、今宵はこちらでお終い。


 また次のお話しを楽しみにね!

読んでいただきありがとうございます!

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