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黒猫の図書館  作者: あるる


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30/105

第30話 きみの怖いもの

 いらっしゃい!

 やあ、きみを待っていたんだ!


 ねえ、きみがここに来てくれるようになってから

 なんと今日でちょうど一ヶ月なんだ!


 いつも来てくれて嬉しいよ!


 そこでね、今夜はきみの話しを聞きたいと思うんだ。

 きみが体験した怖いこと

 きみが心の奥底にそっと隠している悪夢トラウマ

 それらを吐き出すことで、きみの悪夢ははきみの中から無くなるんだ。


 ここで、きみの「コワイ」はみんなに「消費」されて

 きみの「コワイ」は消えてしまうから心配しないで。


 リラックスして、思い出して……。



 ◇◆◇◆◇◆◇



 僕が怖いもの、苦手なもの……虫が無理なんだ。

 男らしくないといつも言われてしまうけど。


 小さい時は大丈夫だったはずなんだけど、気付いたらダメだった。


 何がってよく言われるけど、何もかもが気持ち悪い。受け付けない。

 なんであんなカサカサと音を立てて、足がいっぱいあったり、

 複眼とかも気持ち悪いし、

 にょろにょろしてたりとか、何もかもが無理だ。


 だから夏場は嫌いだ。

 地下鉄だろうとあいつらはいるし、あんなのに止まられた日には

 ゾワゾワして速攻シャワーに入りたい。



 致命的に無理になったのはいくつかのホラーやイジメ系のコミックだ。

 察する通り、食うんだ。

 本当に気持ち悪い、そんなシーンを見た日には食欲は激減した。

 お陰でマスクが手放せなくなった。

 コロナ以降はマスクをしていても不審がられないので本当に助かっている。



 なのに、なんで僕は今、恐怖の対象に囲まれているんだ!?


 カサカサ、という音が無限に聞こえる。


 手に何か触れた気がして

 思わず振り払うけど何も見えない。


 目の前を蝶が飛び、後ずさる。

 鱗粉が舞うのが気持ち悪くて避けるが、どこもかしこも……!


 やだ、嫌だ、怖い、気持ち悪い、来ないで!!


 溢れてくる涙、恐怖に声が出ない。


 四方全てが囲まれていて、恐怖で足がすくむ。

 しゃがんで小さくなることも怖い、絶望に目の前が真っ暗になる。


 僕に近寄るな!!と叫びたいのにマスクが無くて、

 恐ろしくて口から手を離せない。


 助けて!

 誰か助けて!!



 ◇◆◇◆◇◆◇



 やあ、目が覚めたかい?

 きみは疲れていたのか、話しながらウトウトしてしまったんだよ。


 嫌な夢を見た?

 きっときみの苦手なものの話しをさせたせいかもしれないね。


 ごめん、申し訳ない事をしてしまった。

 嫌になったかい?


 そんな事ない?それは良かった!

 それなら明日はお詫びに面白い話しを紹介するよ。


 さあ、今宵はこちらでお終い。


 また次のお話しを楽しみにね!

読んでいただきありがとうございます!


あっという間の30日目です!

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