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黒猫の図書館  作者: あるる


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22/105

第22話 団欒

 こんばんは!


 やあ、いらっしゃい!

 そういえばきみは割と普通にここに馴染んだね。


 きみはコミュニケーション能力が強いのかもね!

 ボクは見ての通り人見知りさんさ~。


 きみはちゃんと距離感を分かってくれる人だからありがたいけど

 そうじゃない人って意外といるよねぇ。


 今日はそんなお話しだよ!



 ◇◆◇◆◇◆◇



 私は、夕食の時間が来るのが怖い……。



 三日前、ソロ登山と言うほどでもなく山の頂上近くまで車で行けて

 最後ちょっとだけを登るタイプのお手軽な奴だ。


 私はハイキング気分で来ていたのだけど

 突然の大雨で雨具は持っていたけど……

 視界が悪くて車までの道が獣道で良く見えず、迷ってしまった。


 目の前には行きでは見なかったロッジがある。



 温かな明かりのついたロッジを訪ねると

 人の好さそうなご夫婦とちょっと人見知りっぽい中学~高校くらいの女の子

 三人家族で住んでいてちょうど夕食なので一緒にどうぞ、と誘われた。


 雨に濡れて寒く、心細かった私は喜んでご一緒させて貰い

 そのまま一泊させて貰った。


 翌日も大雨。

 ニュースでも土砂崩れなどを伝えていて


 でも、仕事もあるしいつまでも甘える訳にはいかない。


「お世話になりました、明るい内になんとか車に行ってみようと思います。

 このお礼は後日必ず伺います!」

「まあ! でも、まだ大雨が続いていて危険よ?」

「母さんの言う通りだ、昨夜も事故にあった人がいたようだよ」


 そう口々に言って引き留めて下さるご夫婦。

 私は悩みつつも、スマホの電波も届かないこの場所で迷ったら助からないだろう。


 説得されて客室へ戻る途中、お嬢さんとすれ違った。

『早く逃げて』


 ぼそりと呟かれたその一言に驚き振り向くが

 そのままお嬢さんは両親のいる居間に向かっていた。


 結局、私は決断ができないまま、まだコテージにいた。

 夕食時、私は呼ばれて席に着くと


「今日はお兄ちゃんの好きなものだかり作ったのよ」

「良かったな、コウジ」

「えっ……あ、あの」


 私の名前はコウジではない。


「どうしたのコウジ?」

「お母さん、きっと疲れているんだよ」

「そうね、ありがとう、ミヤ」


 お嬢さんが目で大人しく食べろと態度で訴えてくるが、私は反論してしまった。


「私の名前はコウジじゃないです」

「あら、どうしたの?」

「コウジ、疲れているんだな。お前はコウジ。そう、だ、ろ?」

「っ……!」


 狂気を感じる眼差しと、声色に私は、折れた。

 殺される、と思った。


 なんとか夕食を食べ、部屋に戻る。

 気付くと窓は外から打ち付けられていて出られないようになっていた。


 扉の前にはご夫婦がいて、話声がする。


 私は……。



 ◇◆◇◆◇◆◇



 ひゃあ~お兄さんどうなっちゃうんだろう!

 ドキドキだね!


 人の忠告は真摯に受け止めないとね~。


 さあ、今宵はこちらでお終い。


 また次のお話しを楽しみにね!

読んでいただきありがとうございます!

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