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黒猫の図書館  作者: あるる


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番外編1 黒ツグミの視た話

 黒ツグミは今日も様々な場所で人々を視ている。

 人々の間に流れる噂を、新たに生まれる話を、巻き込まれる人を、そしてそれを追う者を。

 どこにでもいる小さな鳥は注目されない。


 烏よりも目立たなく、スズメよりも闇に馴染み、一見とても無害。

 人に見られてもただの野鳥にしか見えず、ただの野鳥なので逃げるのも当たり前。

 群れていても警戒もされない。


 だから、黒ツグミは今日も視ている。

 そして可愛い声で短く鳴いて情報伝達する。今日は黒服が東の方に向かっていると。

 黒ツグミたちは他の野鳥に紛れて去ってゆく。



 ◇◆◇◆◇◆◇



 やあ、こんばんは!


 今夜は黒ツグミたちが南の地方都市で新たな芽になりそうな噂を聞いたそうだよ?

 あの有名な子供と女性を呪い殺す箱のような、新しいお話。

 狗神ではなく犬神や蟲毒にも近いルーツを持つ指向性を亡くした全てを巻き込んで

 自壊していくような自爆型の呪いらしいよ!


 ちなみにオーナー曰く黒ツグミたちは呪いを食べられるらしいんだけど

 その呪いは『美味しそうだけど胃もたれそそう』らしいよ!

 呪いってどんな味がするんだろうね?


 ボクは普通にご飯いただいているけど

 一番のお気に入りは様々な出汁から取ったスープだよ!

 猫っぽくていいねって、オーナーもよろこんでくれたんだよね。



 さて、早速黒ツグミが見つけて来たお話を視てみようか!



 ◇◆◇◆◇◆◇


 その子は動物が好きで、様々な動物を飼っていた。

 一般的な犬、猫、ハムスターから始まり、フェレット、ウサギ、カメ、金魚、トカゲと様々な動物を飼って大切にしていた。

 その子にとっては何よりも大切な友達でペットだった。


 でも気の弱い動物好きな少年はいじめの格好の対象になった。

 少年は辛い学校生活から逃げるために益々ペットたちにのめり込み、ペットは増えて行った。

 そして少年たちは増えたペットたちのお世話をしながら延々と呪詛をペットたちに聞かせ続けた。

 ペットたちは何も分からないままに、飼い主である少年の呪詛を自身の内に貯めていく。


 そして、とうとう切っ掛けとなる日が訪れた。

 少年はいつも以上にボロボロになっていて、見るも悲惨な状況だった。

 少年は虚ろな目のまま、ペットたちに餌を準備して順番に与えていく。

 いつも通りの状況のはずなのに、少年の表情と状態のギャップが異常さを際立たせている。

 無表情だった少年が一通り餌を与え終わると、座り込んで静かに涙を流し始めた。


『ごめんね、ごめんね、恨んでいいよ、呪っていいよ……』


 そうぶつぶつ呟く少年の周りでペットたちが苦しみだし、順番に死んでいく。

 容赦なく、一匹の例外もなく、全て死んだのを見届けると

 ゆらりと幽鬼のように立ち上がった少年はペットたちの死体を寄木細工の箱に入れていく。

 大きなものはその一部を切り取って、少年の髪も切って一緒に入れて

 呪詛を呟きながら閉めていく。


『許さない、許さない、許さない……みんな、みんな、死んじゃえ……』


 出来上がった寄木細工の箱は開くことのないように厳重に封印して

 夜になってから、学校に忍び込み。教卓の上に置いた。



 そして、少年はそのまま5階のクラスの窓から飛び降りた。



 寄木細工は少年が用意したものとは知られないまま、教卓に置かれ

 クラスメイト達は徐々に徐々に体調に異変をきたして行く。

 様々な症状に1つの呪いのせいだなんて気付かれることはなかった。


 とある生徒は、ある日手に出来た水泡が全身に回り、痛みにのたうちながら死亡。

 とある生徒は、喘息のような咳を始め、どんな薬も効かないまま呼吸ができなくなり死亡。

 とある生徒は、胃腸炎のように嘔吐と下痢が続き、脱水症状がどんどん進み死亡。

 とある生徒は、高熱が続き意識を失い、そのまま死亡。


 共通しているのは、体に異常が出てから一週間以内に亡くなること。

 症状も何もかもが違うため、流行病とは思われなかった。



 そのクラスに在籍する生徒は一定数毎年亡くなるため

 とうとう黒服たちが動き出した。


 そして、全ての切っ掛けが寄木細工の箱だと判明して処分された。

 だが、都市伝説に『呪われているクラス』として呪いは残った。


 ランダムに選ばれたクラスは、今後も無秩序に人を呪い殺していくだろう。



 ◇◆◇◆◇◆◇



 うーん、黒服たちは相変わらず余計な事ばかりするね!

 とはいえ、彼らにはお話自体は消せないからね。


 新しいお話が生まれる時はいつもドラマチックだよね!


 さあ、今宵はこちらでお終い。


 また次のお話しを楽しみにね!


読んでいただきありがとうございます!

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