第99話 目覚め
意識が浮上してくる……様々な声が聞こえる。
楽しそうな、興味深そうな、不安そうな、ちょっと斜に構えてそうな、様々な声。
老いも若いも男も女も
様々な声を聴きながら、僕の意識が覚醒していく。
「今回はどの子にしようかな?」
一生懸命当たるように祈っている、純粋な子が目についた。
この子にはどんな話を授けようかな……
この子が楽しく過ごせて、気付いたら周りが全員消えていたようなサプライズ展開。
ふふ、純粋な子ほどショックを受けた時の反動、反発が大きいから良いよね。
きっとあの子は悲嘆に暮れて、悲しんで、聞いている方が辛いほどの悲痛な悲鳴を上げてくれるだろう。
あの子は自分と同じようにならないように
他のヒトを助けようとするんだろうけど……その全ては空回る。
悲劇の少女。
可哀そうで可愛い女の子はみんな好きでしょう?
さあ、新しい物語の始まりだ。
◇◆◇◆◇◆◇
寒い。ぶるりと身体を震わせながら起きると、真っ暗で見覚えがない場所にいた。
濡れているのか、服が一部張り付いていて気持ち悪い。
「……ここ、どこ?」
全てが分からない状況に一気に不安が押し寄せる。
寒さに自分の身体を抱きしめると、濡れて乾いた後のように服がガビガビしていて
髪も何かがついて、固まっていて気持ち悪い。
指先が冷えて、震え、呼吸が浅いのか、自分の息が耳につく。
「だ、だれか……いませんかぁ……」
勇気を振り絞って声を上げたのに、無情にも自分の声が響くだけだった。
やたらと声が響くから、意外と広い空間なのかもしれない。
恐る恐る立ち上がり、一歩進むと、カツーンと制服の革靴が高い音を立てた。
ドキンと心臓が嫌な音を立てる。
息をひそめて様子を伺うけど、特に声も物音も聞こえない。
ほうっと、思わず漏れるため息が闇へと溶けていく。
ようやく少し暗さに目が慣れてきたから、目を凝らすとなにかの影が見える。
意外と、あちらこちらに何かある。
音を立てないようにそっと進むとピチャと水音がして、足元が揺れた。
その瞬間、生臭いような錆びたような、むせ返るほどの嫌な匂いが一気に溢れた。
嘔きそうになりながら口元を抑えた時、胸ポケットに固いものが入っているのに気付いた。
手を入れて見ると、親しんだ形と大きさからスマホだと分かり、
急いで画面をタップすると点灯して、見慣れた画面と明かりにホッとする。安心感から温かさが戻ったように感じた。
でも、その温かさは続かない。
スマホの明かりが暴いた暗闇に隠れていた状況は
あまりに悲惨、あまりに惨く、倫理にもとり、悍ましい状況が広がっていた。
目の前には家族の、友人の、クラスメイトの、親しい人たちだったモノがバラバラに無造作に積まれている。
救いの無い暗闇の中、切り裂くような悲鳴が悲しく響く。
◇◆◇◆◇◆◇
ひゃあ~さすがオーナーだねぇ!
容赦ない、悲しい存在が誕生したね。
彼女に救いは、まあ、いつか来るかも? かな?
彼女が救われるかどうかは、そう望まれるか次第だね!
さあ、今宵はこちらでお終い。
また次のお話しを楽しみにね!
読んでいただきありがとうございます!




