1,双極の贄
なんとなく妄想の物語を、ただツラツラと書きなぐってみました。読みにくかったらごめんなさい!
古の大賢者リウ・リウゴが残した魔導書『ギイ・セ=イワワカ』古代文字で書かれたタイトルはいまだ解明には至っていない。
しかし、一度ページをめくるとその知識が脳に直接焼けついてくる。その膨大な知識量に脳は焼け焦げ、死に至る。
そして、現代…この国の特級危険認定封印書としてこの魔導書は国が厳重に保管していた…。
そう。【今晩】までは。
彼女達は、凄腕泥棒であった。まぁ悲惨な生活環境により、凄腕になるしかなかった泥棒スキルやスカウトスキルと盗賊スキル…。これらを磨くしか生きる道はなかった。
リリタナ『おーい!大賢者さまー!たしかこの辺りだよね?』
リウ『もう…やめてよ…本当、自分の名前は嫌い…魔法なんて使えやしないのに大賢者と同じ名前なんて…。』
大賢者リウ・リウゴ。絵本にもなっている物語。誰もが一度は読んだ英雄譚。
そんな英雄と同じ名前の彼女の名もまた、リウである。そして、その隣で軽口を叩く彼女の名はリリタナ。2人は、スラム生まれスラム育ち。血の繋がりは無いが、2人で泥棒稼業で何とか生き繋いできた。
リウが目をつむり、クンクンと鼻を鳴らす。
リウ『リリ…多分、この壁の向こうだ。お宝の匂いプンプンするよ♪』
リリタナ『お!リウの鼻がそう言うなら間違いないね!よぉ〜し…。』
リリタナが静かに呪文を唱える。
『我が手は鉄なり。』
リリタナの手が魔力を帯びた。その手でゆっくりと音を立てずに壁を切り崩す。
リウ『♪〜。』
口笛を吹く。
リウ『いつ見ても見事な手際だわぁ…。』
人が通り抜けれるほどの穴を開けると、次はリウの番であった。
リウ『我は蜘蛛。全てを見破る目と手を持つ者なり。』
リウの瞳孔が蜘蛛の目の様に割れた。そして、魔力の手が8本現れた…警報魔法、封印魔法を次々と解除していった。
そう。見ての通り、この2人は魔術の素質があった。だからスラムで生き残れた。まぁそのせいで危険な目にもあったが、それはまた別の機会に…。
リリタナ『こ、これが特級危険認定封印書か…高く売れそう♪』
リウ『よし!とりあえず次は…。』
リリ&リウ『逃げるか♪』
城の屋根から屋根へ。城下町に降りて、闇から闇へ…。
そして、王国のすぐ外、誰も寄りつかない【魔の森】と忌み嫌われてる森【精霊の森】の中のアジトへと2人は帰ってきたのだった。
リウ『ふぅ〜。とりあえずここまで来れば安心ね。どう?リリ〜1杯やる?』
リリタナ『いいわねぇ〜♪』
そう言うとリリタナは食器棚から互いの愛用のジョッキを取り出した。リウはそのジョッキを受け取り、樽から豪快にエールを注ぐ。
リリタナ『任せたぁ〜♪』
リリタナは2つのジョッキを器用に魔力で浮かせた。
リウ『任されたぁ〜♪』
リウは浮いたジョッキに向かい、これまた器用に凍るギリギリまでキンキンにエールを冷やした。
『かんぱぁ〜い♪』
コツンとジョッキをあわせ、ゴクリゴクリと喉を鳴らす様に2人はエールを煽る様に飲んだ。
『ぷっはぁ〜♪この1杯の為に生きている!!!』
2人の声は美しいハーモニーを奏でた。言ってる内容はおじさんだったが。
2人は、しばし談笑をし、お待ちかねの本日のお宝の話になった。
リリタナ『なんか、封印?禁書?なんか言われてるけど…なんなのこれ?』
リウ『なーんか、はぐれのヤバーい魔法の研究してる奴らが高く買ってくれるって話らしいよ?』
リリタナ『ふ〜ん…。』
表紙を眺めるリリタナ。
リリ『タイトルすらわからん文字で書いてあるな…ほーれ、大賢者さま〜翻訳してみろーw w w』
リウ『ったく、あんたが読めないならアタシも読めないっての…。』
乱暴に投げられた魔導書をパシッと受け取ったリウがぼやいた。
リウは魔導書を脇に抱えて、エールの残りをグビっと飲みながら、自分のベッドに寝転ぶ様に座った。
リウ『少しくらい読んでも大丈夫かな?』
リリタナ『読めるんなら、いいんじゃない?読めるなら w w w』
小馬鹿にする様におどける。
リウ『ふっふっふ!大賢者様を舐めるなよ!』
ふざけて応えるリウ。
ジョッキを脇に置き、おもむろに魔導書を開いた瞬間…
魔導書からは禍々しい魔力が流れはじめ、リウの目、鼻、口、耳、穴と言う穴から体内へと流れ込む。痙攣し、硬直し魔導書が手から離れない。次は穴と言う穴から血が吹き出す。
ビクンビクンと激しい痙攣を起こすリウ。
慌ててリリタナが立ち上がり、
リリタナ『おい!リウ!!大丈夫か!!?』
リリタナがリウの肩を掴んだ瞬間、リウと同じ様に穴と言う穴へ禍々しい魔力がリリタナの体内へと流れ込んだ…。
ビクンビクンと痙攣が始まり、
リリタナ『り、り、り…う…』
と言葉を発した段階で、リリタナの意識は途切れた。
アジトは、彼女達の血で溢れていた。
その血の海の中…2人は…2人であった物は?横たわっていたのであった…。
どのくらいの時間が経過したのであろう・・・・
ヒソヒソ…ヒソヒソ…
?1『アレレ?』
?2『アレレ?』
?3『死んでる?』
?4『死んでる?』
?5『アハハ!死んでる!』
?6『アレレ?』
?1『アレレ?音がする?』
?2『音がするね!』
?3『どーする?』
?4『どーする?』
?5『んー。わからない。』
?6『ママに聞こう!』
?1〜6『ママを呼ぼう。』
?1〜6『ママを呼ぼう。』
小虫の様に飛び回る光の球達が、騒ぎ飛び回っていた。
ママ?『あらあら、まぁまぁ…。』
一際大きく光る球が現れた。
ママ?『子供達…これはどーしたの?』
血の海で横たわる2つの肉塊を指し、小さい光の球達に尋ねた。
?1『わかんない。』
?2『わかんない。』
?3『ここに来たらあった?』
?4『うん。あった?』
?5『ママ、これ少し音がするの♪』
?6『音がするの!面白い!アハハ!』
ママ?『あらあら、まぁまぁ、それは大変ね…。』
?1『ママ、これ美味しい匂いする。』
?2『私は、こっちが美味しい匂いがする。』
1と2がそう言うと、他の3〜6も私はこっち!と選び2つの肉塊の周りを飛び始めた。
ママ?『あらあら、まぁまぁ…。みんな、たのしそうねぇ。』
ニタァっとドロっとした何かを感じる様な雰囲気で、ママと呼ばれる者が笑った様に感じた。
ママ?『あらあら、まぁまぁ…。魔力を帯びてるじゃない…。』
確認するようにママ?の光の球は2つの肉塊に近寄った。
ママ?『あらあら!!まぁまぁ!!コレは面白い事になってるわねぇ!』
肉塊が、宙に浮き、破片が集まり、徐々に元の姿に戻っていく。
?3『ニンゲン?』
?4『ニンゲン?』
ママ?『あらあら、まぁまぁ、人間を知ってるのね♪』
?5『エライ?』
?6『エライ?』
ママ?『あらあら、まぁまぁ…。そうねぇ…エライわよ♪』
?1『エッヘーン♪』
?2『エッヘーン♪』
ママ?『ウフフ…。』
ママ?と呼ばれる光の球から、血液らしき物が滴り落ち、そこにあった血の海と混じり合う。
怪しく光り、澱みあう。
それは、鮮やかな血液にも見える。
それは、ドス黒い血液にも見える。
それは、サラッとした血液にも見える。
それは、ドロっとした血液にも見える。
何か不安定な物へと変異した血液だった物が、人の形に戻った肉塊へと戻り始めた。
ママ?『それじゃぁ、みんな…好きな方へ入りなさい…。』
?1『私はこっち!』
?1はボワッと燃え上がり、リリタナだった物へと入り込んだ。
?2『私はこっち!』
渦巻く水球が、リウだった物へと入り込んだ。
?3『私はこっちにする!』
尖った岩が突き刺す様にリリタナだった物へと突き刺さり、吸い込まれた。
?4『私はこっちにする!』
鋭く尖る風の刃がリウだった物を切り刻み、吸い込まれた。
?5『じゃあ、こっちにする!』
深淵の闇の様な黒い塊が、リリタナだった物を覆い隠し、黒い塊となった。
?6『じゃあ、こっちにする!』
直視できない様な眩しさに包まれた光の球が、リウだった物を覆い隠し、光の塊となった。
ママ?『ウフフ…これで、貴方達は一心同体…でも、愛と憎しみ、希望と絶望、光と影・・・相反する力同士がどうなるのかしら…ウフフ…ウふふ…うフフ…うfufu…』
パーンと弾け飛ぶ様に消えたママ?と呼ばれた光の球。
黒い塊から、ドロっとリリタナがこぼれ落ち…
光の球からも、ドロっとリウかこぼれ落ちた…
リリタナ&リウ『ぷっはぁぁぁーー!』
リリタナ『リ、リウ!!無事か!?』
リウ『う、う…』
うずくまりながらも、手で大丈夫だと伝えるリウ。
リウ『はぁはぁ…。い、生きてるのか?』
リリタナ『あ、あぁ…。生きてる。な、何が起きたんだ…。』
リウ『た、確か…本を開いたら…。そ、そうだ!本!魔導書は!?』
リリタナ『待て…お、おい…リウ…こ、ここはどこだ?』
リウ『どこって、アジトだろ。え…、ア、アジトだよな…。』
2人の目の前には、朽ちた家が広がっていた。
リリタナ『な、何があったんだ…。』
ここは、精霊の森。
ニンゲン達は…
【魔の森】とも…
言ってたわねぇ…。ウフフ。
あらあら、まぁまぁ…この2人はコレから…
ドウナルノカシラネ?
ウフフ…ウフフ…。
色々と書いてみて、たのしかったです。またぼちぼち続きを書きます。