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依頼:煙の王国③

「遠方から来たお嬢さん。ほら着いたぞ、ここが俺らの町だ!」


地に足つける町。

そこは「ソドム」という名であった。


工業が盛んであり、鉄と汗がまじったような匂いが鼻を突く。

黒と茶だらけの街並みは綺麗とは言い難いが

そこで生きる人々の顔はたくましかった。


私を案内してくれた農夫は畑作業の傍ら

この町で作業員として働いているのだという。


だが、『煙の王国』が現れてからは

農作物は育ちが悪く生活の基盤を養うのは難しくなったようで

もっぱら作業員の仕事が主になってきているらしい。


「泊る所はきまってるだか?」


「い、いえ……」


「ならうちに泊まるか?」


「え!?それは……」


(この世界がどういった状態か知らない上、女の身体で男と同衾(どうきん)は……)


「はは!安心しろ、うちには嫁さんと子供もおるで」


「ご結婚されてたんですね」

「ど、どうしようかな……」


などと私が迷っていると周囲が光に包まれていく。

これは『物語』が強制的に展開を進めるための誘導―――


光を抜けた先には

また別の場面へと繋がっている……。


...

......

........


気付くと町の中心部にある

瓦礫(がれき)でつくられた砲台らしき場所にいた。


私はおもむろに手を広げ『煙の王国』という本をイメージした。

すると徐々に輪郭(りんかく)をはっきりとさせながら現れてきた。


本を開くと、空白だったページに文章が書きこまれている。

その内容はこうだ。


『煙の王国に反抗せんがため、ソドムの人々は団結をした』

『そう、老人が煙の王国をつくったように錬金術で対抗しようとしたのだ』

『工業が盛んなソドムで作られた弾丸は海と月の結晶の混合物である』

忌々(いまいま)しい王国を今こそ地上へ引きずりおろすのだ』


本を閉じた私は周囲を見渡す。


熱狂した民衆と鉄を叩き鳴らす屈強な男たち。

それと厳かなローブを見に纏った妖しい人物が立っていた。


(なんだ……あいつは)


その者は明らかに異質であり

この物語の世界にはふさわしくなかった。


(……?こっちを見ている?)


私はとっさに鉄柱の後ろに身を隠した。

あのローブの人物はこの熱狂の中でまっすぐ私を直視してきたのだ。


そこで確信した。


奴こそが

この物語を歪めている犯人。


改竄者(かいざんしゃ)だと。





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