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依頼:煙の王国②
煙の王国。
それは狂気に満ちた老人が生み出した天空の町だという。
老人は錬金術師であり
自ら生み出した特殊な煙を用いて
誰も近づけない自分だけの王国を作りだした。
ただ天にあるだけならまだ許されただろう。
だがその実
煙の王国は地上の人々に危害を振り撒いていた。
老人が創り出した煙からは有毒な雨が降るのだ。
太陽を覆い隠し
煙の王国が頭上に来れば甚大な被害をもたらしていた。
これは私が事前に読みこんだ『煙の王国』の上巻とは話が違う。
本来であれば主人公の少年によるハートフルな作品だったはず。
ここまで物語の内容が変化したのには理由がある。
それは、作者自身の影響だ。
物語を描く者は往々にして
描いている最中に私生活での影響を反映させてしまいがちだ。
自分を取り巻く環境であったり
あるいは外部からの刺激によって物語は本来の構成から外れていく。
だが私が不可解に感じたのは
ここまで物語の本質が変化してしまっていることだ。
なにかが、おかしい。
私の疑念はやがて確信へと変わっていく。
そう……
誰かが意図的に物語を改変しているのだ―――と。




