16話
今話より、R15タグをつけたしてます。
「今日、話すのはここまでよ」
ノクト殿がその手を離す。
名残惜しそうにその手を視線で追いかけた後、それっきり、エルマは口を閉ざした。
ーーその後、尋問官も来たが、依然としてエルマは口を開くことはなかった。
「……ロイゼ団長」
「ノクト殿」
尋問官が首を振ったのと同時に、ノクト殿が私の目の前に現れる。
「大口をたたいたのに、申し訳ございません」
「いえ、理由が聞けただけでも前進ですよ」
それにしても、エルマが言った誰にも、という言葉。
「組織ぐるみの計画……ということでしょうね」
エルマの命を狙った何者かもいた。
複数人の関与者がいることは決定付けてもいいだろう。
「ノクト殿、ところでその花は?」
「はい。そうですね……まずは団長もこの香りに覚えがあるのでは?」
ノクト殿に花を手渡され、鼻をよせる。
「エルマの香水?」
「その通りです。エルマ・アンバーが使っていた香水の香りの抽出元の花ですね」
私が苦手に感じていたエルマの香水。
その香水が何らかの作用をもたらしていた、ということだろうか。
「この花の香水は、そんなに珍しくもないのですが」
ノクト殿に花を返すと、花の代わりに資料を手渡された。
「こちらを。……ロイゼ団長」
ノクト殿の資料に目を通す。
花にある一定の処理を加えることによって、違法薬物のような作用を得られることが判明したと記入されていた。
「違法薬物……」
「はい。先日ーーロイゼ団長に襲いかかったマリア・ユーゼンを捕縛した後、彼女を含めた第六部隊の血液検査をするよう陛下から依頼がありました」
その結果がこちらです、とさらに資料を手渡される。
「花の根の成分が血液検査の反応で出た……つまり、体内に取り込んだということですか」
「その通りです。また、加工された根を摂取すると、一時的にこの花の香りが体内からするとのことで、誤魔化すためにエルマ・アンバーは香水を隊員に配っていたことも確認済みです」
そこまで言うと、ノクト殿は目を伏せた。
「先日のマリア・ユーゼンの錯乱は加工品の禁断症状の可能性が高いです」
「……そうですか」
唇を噛む。
このようなことが魔術師団で横行していたなんて。
エルマの香水の香りはずっと気になっていた。
もしも、その引っ掛かりを野放しにせず、私が目を向けていたら。
「現在の……第六部隊員の様子は?」
「加工品の反応は完全に抜けましたが、禁断症状のケアを行っています」
……息をはく。
事態は思った以上に、深刻だ。
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