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間違えられた番様は、消えました。  作者: 夕立悠理
一章 私が消えるまで
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7話

「っ、そんなこと――」

「ない、とは言い切れないはずだ。……もういいよ。僕の勝手な期待とお節介を押し付けて、ごめん」

 そう言って、ノクト殿が去っていく。


 でも、私は彼を引き留める術を持たない。

 なぜなら、私はノクト殿をはじめとした誰にも、前世を話していないから。


 もちろん、団長を目指した理由も。


「……私は、」


 前世のことは私とアレクの大切な思い出で。

 そこを不可侵領域として、大切に守ってきた……というのももちろんある。


 でも一番の理由は、「運命の番」の話を最初に話すのは竜王陛下でなければならないからだ。

 相手が竜王陛下でなければよかった。

 竜王にとっての「運命の番」は、特別だ。


 国の栄衰に関わる。


 ……でも。


「――傷つけてしまった」


 ノクト殿はずっと私を心配してくれていた。

 そのことに気づかなかったことが、こんなにも苦しい。


 ……でも、そうだとしても私は。


 ――ミルフィア。


 柔らかなかつての私を呼ぶ声を思い出す。


「……アレク、どうしよう」


 一人残された執務室で、その名をつぶやく。

 前世でどんな時でも助けてくれた、彼はいない。


 ああ、それに。


 君は私の運命の番じゃない。だから――君のことは選べない。


 そう言われたんだった。


「……どうして」



 竜王陛下は、エルマこそ運命の番だと言った。


 私はノクト殿にもエルマにも運命の番の話はしていない。


 竜王陛下と直接話をすればなぜ運命の番だと思ったのか、わかるかな。


 二人きりだけの面談はまた一月後だ。

 

「それまでに、ノクト殿と仲直りできるかな……」


 隠し事はまだやめられない。

 でも、ノクト殿は大切な人だ。


 師として、友として、副団長として。


 関係性が移り変わっても、大切な一人であることは変わらない。


「理由は言えない。でも、信じて欲しいなんて――」


 そんな身勝手なことを、彼は許してくれるだろうか。



 ――それに。


 ごめんね、ロイゼ。


「エルマとも……話さなくちゃ」

 

 

 でも……なぜ?


 運命の番はともかくとして、私はエルマに竜王陛下への恋慕を伝えていない。

 それなのに、なぜエルマは私の気持ちを知っていた?


 考えるべきこと、やるべきことは沢山ある。



 俯いている時間はないはずだわ。


「よし!」


 頬を叩いて気合いを入れる。

 そのとき、廊下から楽しげな声が聞こえてきた。


「――ええ!? そうなんですか!?」

「もう、ナルセったら声が大きいわ!」

「でも、だって――エルマ隊長が竜王陛下の運命の番だったなんて」


いつもお読みくださり、誠にありがとうございます!

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