強者への道
「まぁ、わしの過去の人生なんて
正直どうでもいいんじゃよ」
しょぼくれる伏竜の肩に白眉は手を置く。
「白さん…」
伏竜が謝るよりも先に真横から
またも馬鹿みたいな声量が飛んでくる
「ねぇ、白じい!修行って何するの?
やっぱりパンチ打ったり?
実はビームとか打てたり?!」
過去最高レベルではしゃぐ一心を見て
白眉は大きく笑い一心の頭を撫でる
白眉の撫で方は強く手と一緒に頭が動かれるが
一心は白眉に撫でられるのが好きなので
抵抗せずに頭を揺らしながら撫でられている
「お前たちは身体能力はいいからな
まずは何より知識をみにつけにゃならん」
「え、私ビーム打ちたい」
「なんでそんなにビーム打ちたいんだよ
ていうか、なんで打てる前提なんだよ」
某ウ〇トラマンのようなポーズをして
またも騒ぎだす一心に流石の伏竜も
軽蔑と驚きが入り混じった目で見つめる
白眉は、気が逸れてる2人の意識を戻すため
コホンと咳払いをしてから続ける。
「お前たちも知っとるはずだがこの世界は
大泥棒と呼ばれるやつが大きく変えたんじゃ」
「あの本に書いてあることでしょ?」
そのくらい知ってるんだからと
一心はない胸を大きく張るが
伏竜に窘められてシュンとなる
「ありゃだいぶ昔の話だが、事実でな
この世界にまだ、国境や人種と
呼ばれる区別されるものが
盗まれたのは500年以上も前の話じゃ」
「待って白さん、あの本の出版は50年前だけど
大泥棒は世界を盗む手立てをしてるって書いてた
なら、奴はもう死んで…」
当然人類の寿命がこの500年で伸びるわけもないし
もし伸びていたとしても奴は500年前の
人間であるからして寿命変わらない
しかし、伏竜はとある可能性に気づく
「さすがだな伏竜。泥棒ってのは
欲しいものを盗むものだ」
白眉がほぼほぼ答え合わせをしたところで
ここまで黙っていた一心が口を開く
「私お腹空いてきちゃった…」