プロメテウス
2人が旅に出てから、3日たち村に1人残され
狩ったばかりの卯詐欺の肉を頬ばっていた
白眉は、突然立ち上がり殺気を纏った
「そこにいるな?早く出てこい。」
白眉が振り返り睨みつけた、木の後ろから
上下白のスーツの中に黒いシャツ
おまけに、金縁の真っ黒のサングラスをかけた
胡散臭すぎる男が出てきた。
「何をしに来た。いつからいた。不撓はどこだ。」
「やだなぁ、そんなに警戒しないでよぉ
10年振りの親友が遥々こんなところまで
来たんだ歓迎してくれよ」
厳つい見た目とは思えない程の
どこか神経を逆撫でする猫なで声と
ヘラヘラした表情で白眉に語り掛ける
「口を開くな。質問にだけ応えろ、プロメテウス」
プロメテウス。と呼ばれたグラサン男は
白眉と話したそうにしているが
白眉はそうではないのか
戦闘態勢に入りながら警告する
「えぇぇ冷たいなぁ、ほんのちょっと前まで
あんなにニコニコしてたのにさぁ」
「黙れと言ったはずじゃが、聞こえんかったか?」
質問しながらも白眉はジリジリと
プロメテウスに近づいていたため
現在2人の距離は2mほどにまで縮まっていた。
「そんなことより、君のその話し方
なんで老人みたいになってるんだい?」
「…」
一向に口を閉じる気配のないプロメテウスとは違い
白眉はこれ以上喋るつもりはないのか
口は開かず殺意を出したままさらに近づいていく
「似合ってないよ?32歳のくせしてじじいみたいだ」
「お前こそ、500超えてるくせに、若作りしてる
のが心底気持ちわりぃな」
一瞬二人の間に鋭い緊張が走ったが
プロメテウスが笑い出したのを皮切りに
白眉も笑いだし2人で大笑いし始める。
十数秒程たち、先に笑いを止め口を
開いたのは白眉だった。
「殺してやろうか?大泥棒。」
「落ち着けよ、白眉。まぁ、寿命と仲間を盗った
相手と仲良くするなんて無理に決まってるか」
「…」
プロメテウスは、ニヤニヤと白眉を煽るが
目立った反応を見せなくて、つまらなくなったのか
さっきの質問に答え始める
「いつからいたのかは、ほんとに今着いたところさ
不撓については、私の手駒として働いて
貰っていたけど反抗的だったから幽閉したよ」
プロメテウスの口から語られた
不撓と言う名前の者の処遇が決して
よろしいものでは無いことを確信した白眉は
露骨にプロメテウスを睨みつける。
「何をしに来たかについてはぁ…
ただ君と話したかっただけさ」
「んなわけねぇだろが、ほんとに死にたいのか?」
白眉は、未だヘラヘラした態度をやめない
プロメテウスの胸ぐらを掴み圧を強める
「やめておけよ白眉。今の君が私に勝てるとは
君も思ってないんだろう?」
猫撫で声をやめて胸ぐらを掴む白眉の腕を
易々と押さえつけニヒルな笑みを浮かべる
「わしを殺しに来たんならさっさとするんじゃな
わしも、徹底的にやってやるよ」
「それもない訳では無いが…
今はお前よりも危険因子があってな
今日はそっちを潰しに来たんだ」
ヘラヘラした態度は変わらずに語るプロメテウスに
何かを察した白眉は警告の殺意とは全く違う
本気で殺意に満ちた目をしながら
押さえつけられていた腕を押し上げる
「わしの子に手をだそうって言うのなら
今ここでお前を殺す」
「おいおい、俺が1人だなんていつ言ったんだ?
ガキ2人は既にアルゴスが追跡してるよ」
プロメテウスが語り追える前に
白眉は2人が歩いていった道に方向を変え
走り出そうとするが、後ろにいたはずの
プロメテウスは既に白眉の前に立っていた
「私が直々にここに来たほんとの理由は
君を食止め、できるなら排除することだよ。」
わかったかな?という台詞をプロメテウスは続けるつもりだったが、言い終えるよりも早く
白眉の手刀がプロメテウスの
首を目掛けて飛んできていた。