心の距離感
私は学生時代、盲学校で過ごしました。当時、小学生の頃は、同級生がいませんでした。そのため、上下関係や礼儀の感覚が無く、出会うすべての人を友達のように感じたまま大人になりました。
ある日、仲良しの先輩のお母様が「あなたも私の娘のような存在。だから私のことをママと呼んでいいよ」と言ってくださいました。その優しい言葉に、私は心からの親しみを感じ、「ママ」と呼ばせてもらうことにしました。
そんな幸せな日々が続くと思っていた矢先、「やっぱりママと呼ぶのはやめよう」と言われてしまったのです。その瞬間、悲しみと寂しさ、そして裏切られたような気持ちに襲われました。私は彼女に気付かれないよう、ただ黙って頷くことしかできませんでした。
彼女は、「親しき仲にも礼儀あり」ということを教えてくれたのだと思います。盲学校育ちの私にとって、礼儀を弁えることを受け入れるのは辛いことでした。しかし、全ての人が同じ価値観ではないのだと気付きました。
これからは、出会う人々に対して心を開きつつ、自分の中で大切にする優先順位をしっかり持ちながら、適度な距離感を保ちたいと思います。それは、相手を尊重し、自分自身を大切にすることにもつながるからです。
優しさと礼儀、そして距離感。このバランスを大切にしながら、私はこれからも多くの人々と素晴らしい関係を築いていきたいです。