第三話
第3話です!
よろしくお願いします!
「真波!」
「あ、優雅.......」
あのあと、先生の死亡を確認した私は、正門へと状況確認にいった。
優雅は、先生の死体を外に運ぶといったので、放送室の前で別れ、私一人で正門に向かった。
正門の前まで来た私は、状況を素早く分析した。
先程の爆破によって、正門前にあった駐輪場兼部室棟は完全に倒壊。
その際生じた瓦礫によって、正門は埋まってしまっていた。
もともと、他国からの敵襲のために、シェルターとしての役割でも建てられたこの学校は、周りの壁が高く強固なため、正門以外から出ることはほぼ不可能。
でも、その唯一の出口も今や見る影もない。
「これじゃ犯人の思うまま........」
私は絶望していた。
殺人犯がいる校内はただでさえ危険だ。
ミサイルが飛んできた以上、外に行けば安全かと言われるとそうでもないが、犯人を捕まえることができないのなら、中にいたほうが危険とも言えるだろう。
一刻も早く犯人を捕まえなければ、みんな殺されてしまう。
私は犯人を捕まえる意思を新たにした。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
そんなわけで、私達は体育館から一番近い1-1の教室にいた。
爆破の件があり、正門から近い体育館もいつ崩れてしまうかわからないので、今は一年の教室を使っている。
この学校の校舎は、人数の割にとても広く、コの字型に棟が3つ立っている。
現在私達がいるのは、南棟、つまりコの字の下の部分にあたる。
先の爆破の騒動も少し落いてきて、やっと家族と再会できたので体の力を抜いた。
「真波!無事だったんだ!」
どこかデジャヴな感じがするが、私の背後から高い声がかかった。
振り向くと、そこにいたのはきれいな金髪をなびかせる女子だった。
百合。その声の主である。
小学三年生のときに出会って以来の大親友で、優雅に負けないくらい私の中で大切な子。
「百合こそ、本土に近かったのに大丈夫なの?」
百合の家は、この島から見ても本土に近い海辺にあるため、私は密かに心配していた。
まあ、殺人云々でちょっと忘れていたっていうのは否定できないけど。
「うん!警報なってからすぐに家を出たから、まあ、家はどうなってるかわからないけど 」
百合は笑っていたが、その表情にはどこか影がかかっているような印象を受ける。
まあ、自分の思い出のある家だ。悲しくないわけがない。
「ところでさ」
百合はそういって、さっきの表情を一変させて私に近づく。
そして私の耳の横でにやっと微笑むと少し声を小さくしていった。
「真波、この事件追ってるでしょ?」
正直心臓を掴まれたような感覚に陥った。
なんで、そんな素振り見せてなかったのに........
「な、なんで...........」
私が最初の死体を発見したところだって誰にも見られていないはずだ。
私の心の中を不安が支配した。
疑念を頭に抱えていると、百合はにこっと笑っていった。
「だって真波、いつもの顔してるもん 」
いつもの.........顔?
私をこっちの世界に引き戻すのに、その言葉はは十分なインパクトがだった。
百合はうれしいような、安心したような様子で言う。
「今までたくさん見てきた好奇心の塊みたいな顔。もう何が何でも解いてやるーみたいな迫力を感じるんだよね」
うそ、私そんな顔してたの?
ただ思い当たることはあった。
初めて死体に立ち会ったとき。
私の心を支配していったのは、恐怖というより心からの好奇心。
「だから今までは正直怖かったけど、私はもうこの件に関しては心配してないんだよ?だって...........」
百合はそこで息を貯めるように、強調するように言った。
「真波が興味を持ったとき、失敗したことなんて一度もないもん 」
私は今まで、興味を持ったことは必ず成し遂げてきた。
空手に興味を持ったときは独学で黒帯まで上り詰め。
バスケに興味を持ったときは地区大会優勝までいって。
ジグソーパズルに興味を持ったときは、絵のないものも普通にできるようになって。
私は、いままで興味を形にしてきた。
さすがは私の大事な親友。
私のことをよく見ている。
あれ、そういえば、なんで先生を襲った犯人はわざわざ放送中にしたんだろう?
あんなに派手にするより、隠れて殺した方が合理的じゃないのかな?
派手…そうだ、犯人の目的は元々私たちに恐怖を与えること。
そして正門をふさぎ、完全に私たちがパニックになるように仕向けている。
でもパニック状態にしたところでどうするって言うんだろうか。
極論みんなで集団行動しておけば誰1人殺されない。
あ、そうだ。
私はこの事件の完全な仕組みを理解した。
今私たちは校舎に移動した。
それがそもそも犯人の思うつぼだ。
あぁ、このままだとみんな殺されちゃうよ。
もう夕方であたりも暗くなってきていた。
今夜を乗り切ることはできるの?
どうすればいいのよ………
~~~~~~~~~~~~~~~~
続く
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