第二話
第2話です!
よろしくお願いします!
あのあと、私は何事もなかったかのように体育館に戻った。
幸い、私が死体があった方面に行っていたことは、ステージでニュースがあっていたようで誰も見ていないようだったからだ。
それから数時間後、ついに死体が発見された。
このことはみんなに知らされ、体育館内はパニックに陥った。
「なんで人が死んでるのよ!どう見ても殺されてるじゃない!」
「犯人は誰なんだよ!クソ!学校に避難なんてするんじゃなかった!」
「うえええぇぇぇん............」
体育館内にこだまする様々な声。
そのどれもが悲壮と緊張、そして恐怖にまみれており、校長などが落ち着くよう指示しているが、一向に収まる気配はない。
そんな状況の中、私は取り乱していない人。つまり、この中で唯一死体が出てきても驚かない人を探していた。
死体があることを知っている。つまり犯人だ。
だが現状この場所から見える人は、比較的落ち着いている人こそいるものの、私から見ても内心取り乱している人しかおらず、犯人に見える人はいない。
「真波!」
私が注意深く観察していると、突然後ろから声がかかった。
振り向くと、そこには私が小さい頃から見てきた安心できる顔があった。
「優雅!」
優雅。私の幼稚園からの幼馴染。私が家族と同じくらい大切な人。
優雅はお母さんと二人で住んでいるので、よく一緒にうちで遊んでいた。
優雅のお父さんは優雅が小さい頃から本土に単身赴任をしているいるらしく、私が今まで見たことはない。
「大丈夫だったか真波、怪我は?」
「うん、大丈夫、優雅こそ大丈夫なの?」
「ああ、俺は真波より少し家が近いからな 」
「つまり少しだけ本土から遠いから真波より安全ってわけだ 」
「ふふ、対して変わらないでしょ 」
優雅は少しお調子者なところがある。
調子に乗りすぎてうざいこともあるが、私はこの明るさに今まで何度も救われてきた。
優雅と会ったことでさっきよりも心が落ち着き、さっきより冷静さを保つことができている。
「優雅のお父さん、確か本土に単身赴任だったよね?」
「…… 」
優雅は少し悲しげな眼差しをしていた。
余計なことを言ってしまっただろうか。
しかし、そんな空気をものともせず優雅は話を始めた。
「それにしても物騒だよな、殺人なんて」
「俺が死体運んだんだけどさ。正直ゾッとしたよ」
「ほんとにね、ミサイルが撃たれてただでさえ大変なのに.......... 」
この状況でも落ち着いているなんて優雅はさすがだな。
私は死体を目撃してからの事件の状況を整理していた。
考えついたのは、犯人がこのミサイルでパニックになっている状況下を利用して殺人を犯したということくらい。
ただ、それを考えると体育館に人が集まってくるのは犯人にとっては都合が悪かったはず..........
つまり犯人はミサイル関係なくすでに殺していた?
この島には警察がいない。
だから、かなり正確な死亡時間などを鑑定できる技能を持つ人間がいないのだ。
いくら考えても謎は深まっていくばかり。
頭がパンクしそうだ。
「真波?」
そんなとき、優雅からかけられた声にハッとする。
「大丈夫?なにか考え込んでるっぽいけど.......」
「だ、大丈夫!いや、なんで今になってミサイルが飛んできたんだろうなぁって......」
「たしかにね 」
そこも疑問にある。
現在の時刻は10時30分くらい。ミサイルが着弾したのが9時のちょっと前だったから、少なくとも一時間半は経過していることになる。
もし、敵対国が本気で国を落としに来ているなら、追加でミサイルが放たれていてもおかしくはない。
第一、ミサイルが落ちたのは本土の中でも私達の島に近いところで、当然首都とかではない。
疑問点ばっかりだ。
「じゃあ、俺は家族のところに戻るよ 」
「うん。またあとでね 」
優雅がいてくれるととても心強い。
もしかしたら、優雅には私が第一発見者であることを明かしてもいいかもしれない。
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「キーーキーー」
突然学校の放送から甲高い音が聞こえてきた。
「えー、皆様。あんな事があって怖いでしょうが落ち着いてください」
「ここでパニックになっては犯人の思う壺です」
「ですのでどうか、落ち着いて聞いて下さい」
放送の声から、私達がいつも国語の授業を受けている先生であることがわかった。
いつも聞いている声なため、なんとなく心が落ち着く。
「私達は犯人に対抗するために、自警団を設立しました」
「これから犯人を突き止めに行きますので、どうか落ち着いて............なんだお前は、おい、やめろ、や、やめろ......、やめろー!!!!!」
(............ )
体育館に鈍い音が響き渡る。
そして再び放送から声が聞こえてきた。
「くそっ!」
「でかい声出しやがって 」
放送から男の声らしき音声が流れてきた。
マスクでこもっているようなその声は、全身を震わせた。
その声を聞いてみんなはパニックに陥っていた。
私はとっさに体育館を出て、放送室の方角へと駆け出した。
体育館の外に人は1人もおらず、全速力で走る。
しかし……
事態はそう上手く進まなかった。
「おい、お前ら聞いてるか、もし今変に詮索したらこの教師の命はない」
その言葉を聞いて私は走るのを躊躇してしまった。その瞬間だった。
(バン!!バン!!)
突然鳴り響く爆発音。
この音は正門の方からだ。
なんの音なんだろう。
いや、今は先生の安否が優先だ。
私が再び放送室に向かおうとすると、目の前からは大勢の人が押し寄せてきた。
みんなもう完全にパニックになってる......
私はそのまま人混みに呑まれ、前へ進めなくなってしまった。
「通してください! 」
「放送室に行きたいんです 」
しかし私の言葉に耳を傾ける人は一人もいなかった。
「おい! 正門が爆破されたってよ! 」
え........
私はその言葉の意味が理解できた。
わたしたちはこの学校に閉じ込められたんだ。
もう犯人を捕まえる以外助かる未来はないということなのだろうか....
その後、私が優雅と合流し放送室に駆けつけたときには、先生の死体のみが横たわっていた。
ーーーーーーーーーーーー
続く
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