1−5 時間
「はじめまして。ファラーシャ様。」
ファラーシャは目の前にいる男が深々と頭を下げてきたのでとても慌てた。
「俺の名前はツクヨと言います。」
だが慌てる様子もツクヨは動じず、ファラーシャは困ってしまった。
「〜〜…。」
「ご挨拶早々に申し訳ありませんが、ファラーシャ様。」
ツクヨはファラーシャの手を取ると、そこにチャリ…と手に冷たい感触が走った。
「月族がもっている力の制御を補助してくれる腕輪です。見た感じほぼ同じ性質の力だと思われますので、お持ちいただければ少しは楽かと。」
キラキラとした宝石が光る腕輪だった。
青銅で出来た腕をゆっくり右輪に嵌めてくれた。
「あとこれを。」
その次に出されたのは、可愛い白い花の花弁の花達だった。ファラーシャは初めてみた。
その可愛さに目を丸くさせる。
ツクヨはニコリと微笑みファラーシャの手に花をおいた。
「すみません。急いで来たものですから…。」
ツクヨは頭をかいて苦笑いした。
マジマジとお花と呼ばれるものを見ると、誰かの歩いてくる音が聞こえてきた。
「これはどういうことですか。 」
目の前に、突如として里長が、継母が来ていた。
「…ファラーシャ様は怪物ではないと判断し、処刑はしませんでした。私の頂きました任は「怪物を殺せ」との任でしたので。」
淡々とツクヨは話した。
それを長は淡々とした言葉で返す。
「あなたがソレを人間といっても我々にとっては人間とは呼べない代物なのです。」
「…。」
「良いですね。必ず殺しなさい。」
そういい立ち去ろうとする時、ツクヨはそれを制止した。
「3日猶予を頂けませんか。」
ピクリと、長は足を止めた。
「3日のうちに必ずファラーシャ様に力の制御を教えます。」
「もし制御できなかったら?」
「それは、あり得ません。」
「…。」
真っ直ぐなその声に、私はただ、眺める事しかできなかった。
※同時に作品を投稿するという阿呆な事件を起こしてしまい、諸事情により此方の作品は今年いっぱい未定とさせていただく事にしました。
楽しみにされていた方本当に申し訳ありません。
来年には必ず継続して投稿しますのでどうぞ宜しくお願い申し上げます。