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蚊帳の外過ぎて付いていけない悪役令嬢

作者: 月宮 かすみ
掲載日:2023/05/20

「君、転校生のシオンちゃんをイジメたんだってね。追放ね」

「えっ?」


 第一王子で婚約者であるグレンに突然呼び出されたと思ったら、追放を言い渡された。たしかにイジメた記憶はあるにはあるが、追放されるような酷いことはしていないはずだ。多分。


「そんな、いきなり追放だなんて酷すぎます!」

「酷くない。君がしたことにくらべれば――うぐっ!」


 胸を抑えて苦しみだしたグレン。いったいどうしたというのか。


「王子、大丈夫ですか!?」

「シオンちゃんが実は魔法の使い手だったんだ。俺たちがイジメをしていたのを知っていたんだよ。彼女の魔法が俺の身体に反応しているみたいだ」

「王子もイジメていたのですか!?」


 衝撃の事実である。シオンちゃんが魔法の使い手だということなんて吹っ飛んでしまうほどに、私は驚いた。


「くそっ、君を追放して有耶無耶にしようとしていたのに、手遅れだったようだ」

「私を追放してもどうにもならないと思いますけど!?」

「そうか、確かに君を追放してもシオンちゃんの怒りは収まらないだろうな。だが、このままでは何も解決しない。俺たちは責任を取らなければならない」


 なんかいいことを言っているようだがこの王子、一度私を犠牲にしたことを忘れてはいけない。根はクズである。


「そんなことをしても許しませんよ」

「シオン!」


 不意に目の前に現れた元凶のシオン。扉には鍵がかかっていたはずだ。どうやら魔法を使って侵入してきたよらしい。


「貴様!」


 胸を抑えながら叫ぶグレン。さっきまで謝罪しようとしていた奴はどこに行ったのか。


「許してほしければ【シルバーオーブ】をわたくしに下さい。ここにあるんでしょう?」

「シルバーオーブってなんですの?」

「くそっ、それを渡せば世界が……」

「世界に関わることですの!?」


 シルバーオーブ。そんなものがここにあるなんて。


「あれにそんな効果はありませんよ。ただ高く売れるから欲しいだけです」


 そんなことなかった。


「くそっ、【ヴァルサリウス】の手先め! 何があっても伝説の盃、【クロメイアの雫】は渡さないからな!」

「ふふふ、そこまでわたくしの正体が知れているんですね。それで、伝説の盃ってなんです?」

「王子、何気に自爆しましたわね!」


 勝手に口を滑らせたのは、我が国の第一王子である。


「くそっ、罠か!」

「罠ではありませんわ! 王子が自分の首を絞めただけですのよ!」

「よくわかりましたね。これもわたくしの魔法ですよ」

「魔法って言えば何でも許されると思いまして!? 明らかないこの馬鹿王子のやらかしですわ!」


 これ以上付き合いきれない。そろそろ帰ってもいいだろうか?


「【クロメイアの雫】とはもしかして、わたくしの持っているこの【名剣アタラメイトの剣】に通ずる伝説の【アーメイアシリーズ】の一つのことですか?」

「専門用語が多すぎますわ!」

「くそっ、アーメイアシリーズってなんだ!? わからない!」

「さっきから王子、くそって言いまくりですわね!」


 それに王子も伝説のアーメイアシリーズについて知らないようだ。つまりシオンも口を滑らせている。


「ふふふ、アーメイアシリーズを知らないで持っていたんですね。不味いな。これ社外秘だわ」

「社外秘!? ヴァルサリウスって企業ですの!?」

「ふははははは! 俺の作戦にまんまと引っかかったな! 社外秘を漏らすとは、これで君は降格確定だ!」


 絶対作戦なんかじゃない。馬鹿がこんな作戦を思いつくわけがない。


「ちっ、社外秘をミストしたらクリケーンでソリューショニズムをクリョサマルされてしまいます。それだけは避けないと」


 なんて?


「俺の勝ちだなシオン! 所詮はヴァルサリウスのアルバイトよ!」

「バイトなの!? 幹部じゃなくて、ただのバイトなの!? ただのバイトに伝説の名剣持たせてるの!?」

「違うもん。バイトリーダーだもん! 馬鹿にしやがって! この野郎、ぶっ殺してやる!」


 シオンは目に涙を溜めながら名剣アタラメイトの剣を構え、突っ込んできた。


「ちょちょちょちょちょ私は関係ないですわよ!」

「くそっ、挑発しすぎたか!」

「馬鹿王子、なんとかしなさいよ!」


 魔法により剣を強化しながら駆け出してきたシオン。その剣はまばゆい光を放ち、触れるものすべてを切り裂く力を持っていそうだった。


「アタラメイト! 奴らをシニャックロズンして証拠をプアールするよ!」

「ああもう! 何言ってるかわかりませんわ!」


 今にも証拠をプアール? しようと剣を振りかぶるシオン。そんな彼女に王子は命乞いするように叫んだ。


「採用! 俺の城で正規雇用するから! 命だけは!」


「メイーシャ! お願いします!」


 剣を下ろし、王子の両手を掴んで喜ぶシオン。明らかに罠だが、命が助かってよかった。



 その後、シオンは近衛兵たちに拘束され、懲役十年の罪を言い渡された。ついでに私は馬鹿王子といった罪で追放された。私のほうが罪が重いと思うのは気のせいだろうか?




 おわり



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