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流転

作者: keisei1
掲載日:2023/02/14

3万を超える人々が地の裂け目に飲み込まれ、

難病に悩む男がキノコをちらつかせる間にも、

彼らがしたことと言えばダイエットコークを口にして、

ジャンクフード片手になじり合うことだけだった。

兵隊が凍土で戦う理由を見失っている時でさえ、

市場では株の乱降下に人々は目を奪われている。

平和を歌う男がそしられて、

マンションから飛び降りたのは、僕らの影か分身が潰えた証。

多分僕らが身を削って築きあげたものの断片が潰えた、

その証。

或いはSNSで少年が吊し上げられ、

或いは不貞の女が泣きじゃくって弁明する最中に、

僕らが成し遂げたのは、

せめて心を隠れ家にかくまうくらい。

ヘイトスピーチが、大きな声で路上を歩き回り、

言葉のテロが、自己韜晦する賢者を刺し殺した時にも、

雑誌記者は涼しい顔をして、

ゴシップ塗れのタワーマンション前に張り込んでいた。

天国行きのバスには何人もの人間が飛び乗ったが、

その車内でさえ言い争いが絶えなかったらしい。

流転する世界、流転する世界。

灰色のワゴン車は子供を轢いては、

素知らぬ顔で走り去っていく。

デマゴーグが憎しみこそ原動力だと叫び、

傷ついた人がまた人を傷つけるためにペンを取る。

自傷の痕と痣の数だけ、

グッドボタンが増えていく。

幸せと名誉を求めて走り始めたはずが、

今や戦場での闘いを望む者、あおり立てる者の巣窟だ。

千切り取られる腕、

浴びせられる血、

砕け散る頭骨、離脱する魂。

もう何も言うことはない。

流転する世界、流転する世界。

また輪廻していく、命、命、命。

計上されていくだけの、死者と命。

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