閑話休題 天使との出会い 1
澪が美咲と出会った頃のお話
私が彼(天使)と出会ったのは私が23歳の頃だ。
私は仕事で失敗続きだった、上司にこっ酷く怒られ落ち込んでいた、家に帰っても一人暮らしで寂しく仕事の忙しさから肩つける暇もなく部屋は散らかり生活は荒れていた。
(虚しい…。)
そんな気持ちでいた。
何の為に頑張るのか、自分から進んでこんな惨めな思いをしているのか。
私は自分の部屋へ帰り空腹を満たそうと冷蔵庫を真っ先に開けるが冷蔵庫の中は空。
中は冷え切っていて何もない、まるで今の自分の様だ。
(コンビニかな…。)
そんな私の生活にはコンビニは欠かせないものとなっていた、名の由来通りかなり便利だ。
その帰りだった。
そこには少女の姿をした天使がいた…。
天使は月見上げていたがこちらの視線に気付き艶やかな長髪を靡かせこちらを見た。
(綺麗…。)
ため息が出そうなほど幻想的な姿、絵画にしたら間違いなく高値で買い取られるだろう、いや私なら間違いなく高値で買い取る。
その情景の美しさに魅了されしばらく澪は固まっていたがやがて意識を取り戻して疑問に思う。
なぜ少女がこんな真夜中に公園にいるのか…と
澪はこちらを見ている少女に声をかけてみる事にした
「お嬢ちゃんもう夜遅いのにどうしたのかな?」
少女はなぜかムッと顔を顰めた、何か気に入らなかったのだろうか
だが、その顔を顰めた姿ですら絵になる、かなり魅力的である。
こんな可愛らしい少女がこんな真夜中に出歩くのはかなり危険である、いくら治安が良いと言っても変質者がいない、犯罪がないということはありえないのだから、現にこうして声をかけている澪ですら側から見れば変質者と疑われる可能性がある『女のロリコン』だと…。
「僕はお嬢ちゃんじゃない」
天使が囁く様な美声が私に帰ってきた、私の質問ではなく私がお嬢ちゃんだと少女扱いしたのが気に入らなかったのかそこに反応してきた、お年頃なのだろうか?
「そうなんだね、ここで何をしているの」
「…。」
なぜか、少女は黙ってしまった、何か事情があるのだろうか?とりあえずこの状況をどうにかするしかないのだが、交番に連れていくのが正しいのかな…。
「それじゃお巡りさんのところに行こうかここに居たら危ないから」
「必要ない、一応成人してる」
は?気のせいだろうか、少女は自身が二十歳を越えているとそう言ったのか、ニワカには信じがたい。
「大人でもここにいつまでもいるのは危険だよ、家には帰らないの?」
「今は家に帰りたくない」
「えっと…ウチくる?」
少女は少し驚いた顔をしたが…。
しばらく考えた後、コクンと顔を縦に振った。
「そう…じゃあ、いこ。」