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ロリコン探偵と恋する人魚姫  作者: 0(ナイ)
怪異探偵とタクシー怪談
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怪異探偵とタクシー怪談 ⑧《完》

凪さんは面倒はゴメンだと、その後の事はすべて節丸さんに任せた。


節丸さんの話ではーー、


中島の木村さん殺しについては、死亡時刻や状況証拠で立証出来、借金の無いのも直ぐに分かるだろうが、中島の殺害動機の特定は難しいだろうと言われた。

そして、女子校生3人については証拠も遺体もなく更に難しいという事だった。



木村さんは発見出来たものの、ミホさんには生きて帰すと約束したが、約束は守れ無かった。だから、凪さんは報酬を受け取らなかった。

こういう所で、すぐにカッコ付けるがーー、


そういう所は嫌いじゃない。むしろ好きな所だ。



このまま、女子校生行方不明事件は迷宮入りするかに思われたがーー。


木村さん発見から、すぐにミホさん宛に手紙が届いたのだ。


差し出し人は木村さんだった。


木村さんは配達日を指定して、事前にミホさん宛に手紙を出していたのだ。


そこには、あの3人の女子校生の事と、中島が犯人であるかも知れない事。

証拠が中島により、消された事。証拠が無いので警察に相談出来ない事。

自分がこれからそれを中島に問い詰めに行き、もし自分に何かあったら中島を疑えと書かれていた。


木村さんは、ミホさんを危険に巻き込まぬように、事件の事は最後まで伝えなかったのだ。

そして自分の命を掛けて、中島の犯行を立証しようとしたのだった。今思えば、あの端切れもわざと木村さんが残したのではないか? と思うが、それは分からない。でも、木村さんの行動力ならやりそうだ。


木村さんの手紙の内容こそ、中島の木村さん殺害の動機と裁判ではされるだろう。

つまり、女子校生連続誘拐殺人を認めたという事だ。



ーーそして、手紙にはさらに恐ろしい事が書かれていた。


それは中島の犯行が、再開される可能性だ。

具体的には書かれていないが、その口ぶりは再犯の確信をしているようであった。


その後のさらなる警察の捜査と、私の知る事から、推理するにはーー。


中島は、青空タクシーの創立直後に入社したが、一旦止めて、今から1年程前に再雇用されていた。


最初に病気を理由に退社したのが、森村菜々が行方不明になった時期と重なる。

1番最後の被害者だ。


中島はほとぼりが冷めた頃に、また犯行を犯そうとしていたのか?

随分、最後の犯行から空いているがーー。

最初に青空タクシーを辞めた時に、実は本当にもう殺人をやめる気だったのでは無いだろうか?

本当か、苦し紛れの嘘か分からないが、中島の霊もそう言っていた。だが、止められ無かった。

静まっていた病気がまた目を覚ました……。


木村さんは、何かしらの確信を持って手紙に再犯の可能性を書いていたが、その確信を持たせたのは、あの女子校生の幽霊達でないのか? 彼女達が何かを掴んでいた可能性はある。

その事を木村さんが書かなかったのは、幽霊の助言などと言うと、手紙の信憑性が失われるからでは無いだろうか?



それから、彼女達が木村さんのタクシーに乗った理由だ。

どうしてだろう?


行動から察すると、

殺された女子校生達は、青空タクシーの車を目印に犯人を探していて、たまたまと考える方がしっくり来る。

そこで、木村さんを通して再雇用された中島を見つけて、再犯の可能性を知り、木村さんに手助けを求めたのではないか?


中島が再犯をしようとした具体的な証拠品が無いのは、中島がそれを処分した……。

いや、多分再犯の意思を疑わせる行動を見せただけなのだろう。

まだ、犯行を具体的に計画する前だったなら、証拠がなくてもおかしくない。


木村さんが精神的に追い込まれたのは

最初は、彼女達が原因かも知れないが、後のものは知り合いが凶悪連続殺人犯かも知れないからではないか?


ただ、そう考えると、今で他の青空タクシーの運転手が彼女達に出会ってなくてはおかしい。

中島の再雇用(再犯の可能性)が、彼女達を目覚めさせたのか?


……うーん。


やはり、幸か不幸か木村さんは『選ばれてしまった』人なのかも知れない……。

不条理だなぁ。



すべては推測に過ぎないが、色々な話を繋ぎ合わせると、こんな感じです。


でも、この推理通りなら、今回波久礼さんに出会って居なかったら、悪霊となった中島は死後も殺人を重ねていたかもしれない。そう考えると、恐ろしいですね。



ーーそんな訳で、これから焼肉パーティーです。


青空タクシーの調査報酬は断ったものの、波久礼さんの原稿料が入ったので、奢って頂けるらしい。


凪さんの事務所のローテーブルに、波久礼さんの買って来たお肉が並ぶ。

波久礼さん宅にホットプレートが無いと言うので、ウチで行う事となった。

波久礼さんが家を出る時に、たまたま出くわした合歓子さんも着いて来た。


キッチンのテーブルは4人で焼き肉パーティーをやるには狭く、椅子も2脚しか無いので、応接間兼事務所のローテーブルでやる事にした。向かい合うソファーは大人が余裕で3人ずつ座れる広さがあるし、勿論、テーブルの広さも問題無い。


波久礼さんの買って来たお肉は、量もそうだが、中々お高いお肉だ。

天下御免の黒毛和牛。しかもA5ランクだ。随分と奮発したなあ。

ネットで記事が配信されると言ってたけど、そんなに原稿料が入るのだろうか?

そういえば、確か動画配信もしてると言ったけど、それか?

何にしても儲かってるのは羨ましい事だ。


ーーで、焼肉パーティー終了。


どーせ私はブラックサンダーしか食べれず、その理由を説明するだけの下りになるので、焼き肉パーティー描写は割愛します。

凪さんと合歓子さんがまた口喧嘩をしてた位です。



「ーー悪いけど、合歓子、片付け頼むよ」

食べ終わった波久礼さんが言った。

「なんで、私だけなのよ!」

「いや、ヤッちんも手伝ってやってくれるかな?俺も直ぐ手伝いに行くから、仕事の事でちょっと凪さんと話があるんだーー」


仕事の話というけど、何か他にもありそうな口振りだ。


ああそうか、波久礼さんは何か凪さんに特別な話があったんだ。

その為の今回の焼肉パーティーかーー。


私達はお皿やホットプレートを持ってキッチンへ移動した。


「なんで、私達がやらなきゃならないのよぉー」


と、桶に水を溜めながら合歓子さんが愚痴を言う。

私は上の空で、そうですね。とか相打ちを打つ。

ーーなんだか、とても波久礼さんの話が気になるのだ。


何の話だろう? 本当に仕事の話だろうか?


私は居ても立っても居られずにーー、


「すいません、ちょっと忘れ物がーー」

「えっ!? ちょっとーー」


事務所に戻った。


私は事務所の入り口に身を潜めて、耳を澄ます。

波久礼さんの声が聞こえる。


「凪さん、単刀直入に言います」

「なんだよ? 改まってーー」

「あなた人を殺してますよね?」


ーーおお、いきなり核心を突きまくる発言!?


「どうして、そう思う? 俺の背後に幽霊でも見えたか?」


さすが凪さん。動揺する様子も無い。


「言ったでしょう。僕はニコマート無しじゃ霊は見えない」

「ならどうしてだ?」

「感です。俺は職業柄って訳じゃないけど、そういうのが何となく分かる」

「もし、俺が人を殺してるなら、どうするんだよ?」

「今もやり続けてるなら、全力で止めます」

「あの涙牙でか? 確かにアレは強靭な武器ではある。中島を磔た時に、後ろの壁にも涙牙の刄は突き刺さっていた。多分、霊にも質量のある物質にも、同じく物理的な攻撃が出来るんだろう」


ーーあの時だ。

外で波久礼さんが休んでいる時に、凪さんは壁に刺さった涙牙の刄の痕を見ていたのだ。涙牙の攻撃能力を調べていたんだ。


たぶん、波久礼さんが敵になった場合を考えて……。


「さすがです、凪さん。あんな中でも、ちゃんと俺の涙牙の能力を分析してたんですね」

「ただーー」

「……。」

「涙牙を使えるのは、1分が限界で、さらに使う事によりお前も大きな負担を受ける。だから、お前は俺達に1分でかたが着かなきゃ逃げろと言ったんだろ?」


「……ええ。涙牙を具現化させるのに、力が要るんです。普通は修行を積んで霊力とか使うんでしょうけど、俺はそんな修行も積んでないんで、そのまま生命力を持って行かれます。契約したのは良いですが、とんだ落とし穴です。ただ、涙牙を使える時間は伸びている。最初は目に見える形にするのだけでも5秒がやっとでした。そして、涙牙は捕まえる前は、もっと強く、形も違いました。その状態で、たぶんまったく本領発揮出来ていない。きっと、俺と涙牙はまだまだ強くなる」

「ーー俺を止めてどうする?警察にでも突き出すか?」

「いえ、止めるだけです。あなたの事はまだ良く知らないが、理由も無く人を殺したりはしない人だと思う」

「どうしてそう思うんだよ?」

「ーー感です」

「……。確かに過去に人を殺した。2人だ。でも、それはもう法の裁きを受けた。お前が思うような事はない。安心しろ」

「本当ですか?」

「ーーああ」

「分かりました。あなたを信じます」


ーーどういう事だろう? 嘘なのか?凪さんは確かに人を沢山殺してる。でも、あえて2人と限定して言う意味があるのか? 法の裁きを受けたってーー。

私の頭はこんがらがる。


「人殺しを目の前にしても、顔色1つ変えねえな?」

「俺は昔、戦場に居ました。人が人を殺すのが、当たり前の世界ですよ」


せ、戦場??

波久礼さんまでーー。


ーービクッ!!?


誰かが私の肩に手を置き、思わず ビクッ!?となる。

声を出さないように振り返ると


「お互い、色々ある男に引っ掛かったわね。まあ、みんな色々あるのよ」


合歓子さんが遠い目でそう言った。

なんだか、合歓子さんにも色々ありそうである。


……私同様に。





おわり

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