怪異探偵とタクシー怪談 ⑥
翌日、朝早く装備を揃えて波久礼さんと合流し、
昨日行けなかったガードレールの下の崖底。
山のトンネルの上。
に行ってみましたが、
必死こいて降りた崖の下は、ヤブだらけ。
登った山も、人が立ち入るようなタイプ山では無いので、目当ての付け所も無い。いわゆる雑木林というやつだ。
もし此処から何かを探すなら、大規模な人海戦術が必要でしょう。
節丸さんの話では、警察も同じような考えで、両方への立ち入り捜査まではしなかったらしい。
「さて、どうしますか?」
「どうしますも何も、最初の目的に戻ろうぜ」
「最初?」
「俺達の依頼は、木村探しだ。幽霊事件の解明じゃねえ」
凪さんが言った。
「そうですね。期限は1週間ですし、此処からは二手に分かれますか。俺は幽霊事件から、凪さん達は木村さんの周辺を洗って下さい」
波久礼さんが言った。
ーーそれから、私達は波久礼さんと別れて独自捜索に入った。
私は後ろ髪を引かれる思いで、幽霊事件から一時離れる事となった。
さてとーー、
私は後部座席からノートパソコンを取り、モニターを開き電源を入れる。
木村さんの部屋から持ってきた物だ。
管理パスワードが掛けられてやしないかと思ったが、予想取りパスワードは設定されていた。昨日からパスワードの打ち込み画面とにらめっこである。
「ヤッちん無駄だって。もう諦めたら?」
「じゃあ、どうするんですか? なんの手掛かりも無いんですよ。これから、動きようがないじゃないですか!」
「取りあえず、木村の周辺を聞き込みじゃね? とは言え、社長の婿養子じゃ、何かあれば従業員は言うわな。結婚間際で、失踪する動機も見当たらねえし。どうすか?」
もう! 他人事みたいにーー
と、私が顔に出さずに怒っている時に、突然キーが勝手に沈む出す。
それは、順序に沈み浮きを繰り返し。
そして……。
パソコンのパスワードが解かれた。
デスクトップの画面が開かれる。
「おおっ!? ヤッちんがやったのかっ!」
「違いますよっ!」
「……じゃあ。」
「驚かなくて良いですよ。もうそのリアクション飽きましたから。霊の仕業でしょう」
でも、もしこれが霊の仕業ならーー。
「まあ、取りあえずヤッちん。中を見て見ようぜ!」
凪さんが必要以上に顔をすり寄せ言った。
ーーちょっと、やめてください!
「早くどっかのフォルダー開いてみろよ。ーーいや、気を付けろ! 毒男(独身男)のノーパソだ! エロ画像フォルダが火を噴くかも知れん!!」
「……婚約者いますよ」
「居たって、男はエロ画像フォルダを作るもんだ!」
最初の話と矛盾してるじゃねーか。
「良いですよ! なんでも」
ーーと、
適当にフォルダを開こうとした時。
またもや、勝手にパソコンが動く。
「……これも?」
「そうでしょうね」
ーー霊の仕業だ。
インターネットが画面が開き、2つの異なるHPの画面が重なるように開いた。
この周辺のWiFiを勝手に使っているのか? でもこの辺に民家はない!?
此処は、崖上のカーブ近くの、道路脇に在る少し広まった場所だ。
左は森、右は道路を隔て崖である。
霊は電気に近い物質で構成されてるとかいないとか……。聞いた気がする、かもしれない。それを使ってーー
あっ! まさかーー
私はスマホを出して見る。
ーーおお、勝手にテザリングッ!!?
……ああ、今月の私の通信量が地味に減る。
表示された2つのHPは、行方不明の見知らぬ少女のHPでした。
【遠藤遥 高3 17歳 199×年×月×日
C市、 部活の帰宅中に行方不明】
【広瀬悦子 中3 15歳 200×年×月×日
B町、塾からの帰宅中に行方不明】
「ヤッちん、森村菜々の情報は?」
私は新たにネットの画面を開き検索する。
【森村菜々 高1 16歳 200×年×月×日
A市、予備校の帰宅中に行方不明】
「3件とも隣り合った地区だな。広瀬が森村の3年前で、遠藤がその7年前かーー。同一犯なら、犯行時期は早まってるな。見つからないと高をくくったのか」
凪さんはそう言うなり、スマホで電話を掛けだす。
「おう、節丸か?」
そうか、節丸さんはこの付近で似た行方不明事件が、過去にあったと言っていた。
その事件がこの2件なら、木村さんの乗せた幽霊と行方不明事件に接点が出来て、連続誘拐事件の可能性が出て来る。
「え? 仕事中? あっ!? 殺すぞ! ーーおい! てめぇー。節丸っ!! ーーあっ、あいつ電話切りやがった」
「……。」
仕方がないので、私が電話を掛け直す。
「すいません。お仕事中に。今大丈夫ですか? 昨日の事件について、ちょっと聞きたい事がありましてーー」
私は事情を説明し2人の事を話すと、節丸さんが言っていた此処20数年間の間に起きている2件の行方不明事件の被害者が、佐藤悦子ちゃんと遠藤遥ちゃんでした。
そしてーー。
「凪さん、この事件についても、凪さんあてにメールで資料送っているそうですけど?昨日、自分で送れって言ったそうじゃないですか」
スマホ切るなり私は凪さんを問い詰めた。
「あっ、メールチャックするの忘れてたわ。つか、頼んだ事も忘れてた。へへへ」
「……。」
幾つかのフォルダーの中身は、以前のサラリーマン時代の物や最近の営業記録について、そしてミホさんとの写真くらいでした。
木村さんのネットの閲覧履歴を見ると、開かれた新たな2人の行方不明者のHPを他にも複数見ていた。その中の2つが、今自動的に開かれたHPだ。それ程、大きな事件では無く、2件の扱われたHPも少ない。
木村さんも2人の存在を何らかの理由で、知っていたという事か?
そうとも、限らないか。
たまたま菜々さんの行方不明事件を調べていて、というのも無くはないだろう。
ーーでも見つけたのは、たまたまかもしれないが、
悦子さんと遥さんの関連HPを絞って見ている。
……乗せた残りの2人に見た目が似ていた。
木村さんは何も記して居ないが、そうだった可能性はある。
……もしくは、木村さんが事件関係者で、2人の顔も知っていた。
いや、なら乗せた段階で気付くだろう。
もし誘拐犯人なら、事件を起こした後も、その後の捜査の展開を絶対に調べている筈だ。自分が捕まる事を、何よりも恐れているだろうから。
だから、顔を記憶しているに決まっている。
ただ幽霊は実体が無い。
姿形を変えて出てくるというパターンも実話怪談にはある。
『後日、今思えばあの被害者に似ていた』とか『気付くとに、あの時の女の顔にーー』
なんて、オチも定番だ。
……。
「もう一度、木村の家に行こう。鍵はミホさんから預かっている」
凪さんが言った。
再び、木村さんの部屋に着くと、部屋の中を調べる。
あった。行方不明になった3人の資料。
押入れの中のブリーフケース(革鞄)の中に入っていた。木村さんが仕事で使っていた物だろう。
古い新聞のコピーだ。
「こんなコピーどこで手に入れたんでしょう?」
「昔の新聞は図書館でも閲覧出来るし、国立図書館まで行けば今まで発売された書籍のほとんどがあるよ。木村の家から遠いけど行けない距離じゃない。新聞は新聞社により今はネットでも閲覧出来るんじゃねーかな? 履歴に無かったから、図書館とかだろうなこのコピーは」
「木村さんは残り2人の素性にも行き着いていたんですね。その事をなんで警察に言わなかったんでしょう?」
「理由は、まあ有らぬ疑いを掛けられる事を恐れてーー、て事だろう。疑いはすぐ晴れたとは言え、1回犯人の疑いを掛けられてるしな」
「なら、普通は関わりたく無いと思うんじゃないですか? 木村さんは犯人を探していたんじゃないでしょうか?」
「なんで?」
「幽霊達に頼まれてーー」
と言った時、突然
「お疲れさまでーす!」
と元気いっぱいの声がする。
「うわぁッ!? うるせえよ!! 節丸、いきなり声掛けんなよ!!!」
後ろから声を掛けて来たのは、凪さんが無理やり呼び付けた節丸さんだった。
節丸さんお疲れさまです」
「仕事中に呼び出すの止めてくださいよ。国民の税金なんですよ僕の給料はーー」
「だから、国民の為にこれから働くんだろうが、クズがっ!」
「人を呼び付けて置いて、なんて事を言うんだこの人は。ああそうだ。こないだの端切れ結果出ましたよ。1人の成人男性の物ですね。あっ、あとちゃんと袋に入れた筈なのに凪さんの髪の毛見当たらなくて。端切れのDNAは凪さんの物かも知れません」
「あっ!? お前使えねえなあ」
ーーやっぱり。
私の体の一部は体から離れると、時間はまちまちだが、蒸発するように消えてしまう。消える時間は、生命活動に重要な部分ほど短い。消えた部分は、また元の肉体に戻るんだと思う。それは、自然の営みに似ている。空の雲から降った雨が、川を流れ海に出て、また蒸発して雲に戻るのに似る。凪さんもまた同じなんだろう。
DNAなんて出ないし、そもそも血も体液も残らない。
つまり、やる気になれば、私達は完全犯罪を割と簡単に成立させてしまうのだ。
……凪さんには言わないで置こう。
「また、凪さんの髪の毛貰って調べますか?」
「それは、良いです」
「いいのか? ヤッちん」
「ええ。それに付いては後で説明します」
端切れに凪さんのDNAが付いてたとしても、それは鑑定段階で既に消えている筈だ。
つまり、端切れに残ったDNAは凪さんの物ではない。
「木村さんの車も調べて貰えますか?」
「鑑識呼べよ。税金泥棒」
「誰が税金泥棒ですか。呼べませんよ! それなりの許可取んなきゃいけないんですから!!つか管轄違うし!」
「じゃあ、どうするんだよ!!」
「DNAだけで良いなら、僕がサンプルを採取して、また鑑定して貰いますよ」
「それで、良いです。あとコレーー」
「ああ、これは木村さんの串だね。さすがだねヤッちん、これに付いた髪の毛から、木村さんのDNAが分かるね」
「木村のDNAが分かれば、他も色々見えてくるな。さすがヤッちんだ」
その夜、帰宅後すぐに波久礼さんから連絡があった。
見せたい物があるから、明日に家に来て欲しいと言う。
用件は明日話すと言う。
ーー翌日、凪さんと波久礼さんの家に向かった。
「どうした、銀太? 勿体振りやがってーー」
凪さんは相変わらず馴れ馴れしく、偉そうである。社会不適合者だ。
「わざわざ来て貰ってすいません。口で説明するより、見て貰った方がーー」
そう言って波久礼さんが見せたのは、あの何も写っていなかった木村さんの部屋の写真だった。
「あっ? ーーん? 何がだよ? 変わって……」と壁に貼られた写真を睨みながら凪さんは顔を近づけ「うわぁっ!? これ、なんだよ……。きっも」と顔を背ける。
「手ですか?」
空中に手首から先が浮いて、何かを指差している。
「ああ。これから、木村さんの部屋に向かいましょう」
波久礼さんが言った。
「なあ、銀太?」
「何ですか?」
「別に此処まで呼び出さなくとも、木村の家で待ち合わせすりゃ良かったじゃん?」
「……すいません。そうですね」
ちょっとテンション上がって、勿体振ってしまった波久礼さんの気持ちを察してください。
木村さんのアパートに着き、写真と見合わせ、指の差す場所を探す。
とーー、そこには
「ティッシュ?」
BOX型のティッシュが有った。
手に取るが、変わった所は無い。中身はほとんどが使われていない。開けたばかりのようだ。
「中は?」
と波久礼さんに言われ、
箱の中身を全部出してみるが、中はただのティッシュペーパーだった。
「貸してみ?」
と凪さんがティッシュの箱を取り見回し、ローテーブルの上の鉛筆立てから1本鉛筆を取ると、箱の裏を寝かせた鉛筆の芯で擦る。
「あっ!?」
『◯/◯ 23:00』の文字が浮かび上がる。
「このティッシュの上で、メモ取ったんだな。メモは見当たらないから、捨てたか、居なくなった時に、一緒に持って出たか」
「この日、ミホさんが木村さんと最後に会った日ですね。ミホさんが帰った後ですね。なんでしょう? 誰かに会う約束でもしていたんでしょうか?」
「断言は出来ねえが、その可能性はあるな。よし、この付近の聞き込みでもするか?」
「覚えてますかね? 1週間以上前ですよ? まあ、この辺人通りが少ないから、印象には残り易いかもしれませんけど」
「ヤッちん、探すのは人間じゃ無いんだよ」
と凪さんは勿体振って言った。
さっきの波久礼さんに突っ込んだ癖に、勿体振りやがって。
と、顔に出さず私は思いました。
「5件有ったぜ」
凪さんは誇らしげに言う。
凪さんが探していたのは、このアパートの付近の防犯カメラだ。
都心では無いので防犯カメラなんて、そんなに無いかと思ったが。
「防犯の為じゃなく、ゴミの不法投棄や資源ゴミの持ち去り防止の為の監視カメラが結構あるんだよ」
と凪さんが偉そうに説明した。
その後、管理者を探し事情を話し頼み込むと、個人情報もあるのでと、◯/◯23:00の前後30分に限り見せて貰える事になった。
そこには、木村さんの家に向かう1台のタクシーが映っていた。
タクシーは木村さんを乗せて、走りさった。
木村さんのアパートにも、ゴミ置場に監視カメラが設置されていて、それに映っていた。
そのタクシーは何と、青空タクシーのタクシーであった。
青空タクシー内に、最後に木村さんに会っている人物が居て、それを隠している。つまり、その人物が木村さん失踪に付いてた何かを知っている可能性が高い。
動画の中の1つに、明るさと鮮明度を上げれば、ナンバーが分かるかも知れない物が有ったが、さすがに動画を貸してはくれなかった。
もし借りるなら、警察を通して欲しいと言われた。
管轄が違うし、これは節丸さんでも難しいだろう。それに、社長さんには警察を挟まずに、見つけて欲しいと頼まれている。
とはいえ、人の命が掛かっているなら、それも仕方ないが、今はまだそこまで分かっては居ない。
最悪は警察に委ねるとしてもーー。
そのまま、青空タクシーに向かう。
「オイコラッ! 社長居るかッ!!」
バコッ!
無駄に高圧的な凪さんをぶん殴る。
「すいません、社長さんにちょっとお話がーー」
話が話しなので、応接室を兼ねた社長室で社長とだけ話をする。
最初に通された部屋だ。
かくかくしかじかと今までの経緯を話、私がスマホで隠し撮りしていた、あの監視カメラのタクシーの映像を見せる。
「まさか、社内に木村の失踪に関わってる人物が居るなんて……。」
社長は流石に驚きを隠せない。
「直接失踪に関わっているか分かりませんが、木村さんに最後に会っていて、それを隠している人物がいるの事は確かです」
「……ただ、これだけでは誰なのか」
「分かりませんか?」
「ああ、そうだ! タクシーに付いたカーナビからGPSデータが、社内のパソコンに自動的に集積されるので、この日のこの時間帯を見れば、誰のタクシーか分かるかも知れない」
「すぐに分かりますか?」
「ええ」
社長はデスクにあるパソコンに向かいGPSデータを呼び出すがーー。
「……消えてる」
社長は驚きを込めた声で呟くように言った。
その日のデータだけが、消えていた。
誰かが故意に消したのだ。
「このパソコンは誰でも触れますか?」
「ええ、此処に置きっ放しだし誰でも使えます。データは1ヶ月毎にオンライン上のデータバンクに蓄積されて、1年は保管されますが、その後は消されます。ただ、1ヶ月内なら手動でデータを1日単位に成りますが消す事は出来ます。まあ、1日単位で全て消えてしまうので、使う事はまず無いです」
タクシーの特定は出来なかったが、
誰かが故意にデータを消したという事は、つまりやはり内部に木村さんの失踪に、関わっているという事だ。
「すいません、お役に立てずに……。」
社長さんは肩を落とし言った。
「いや、そうでもない」
凪さんが言った。
そして、続ける。
「この部屋には、防犯カメラが4箇所あるな。アソコとアソコとアソコとアソコだ」
凪さんはいつ確認したのか、部屋にある防犯カメラの場所を指差して言う。
「はい」
「あのタイプの防犯カメラは360度の映像が撮れている筈だ。ならこのパソコンも必ず何処かのカメラに映っているだろう。でだ、そのデータを削除した日は分かるか?」
「ええ、削除日は時間も秒単位で記録されます」
「ならその時間にこのパソコンを使っている奴が、このデータを消したって事だろ。まあ、そいつが防犯カメラのデータまで消していなければな」
「それは、多分大丈夫です。防犯カメラのデータは、パスワードが無ければアクセス出来ません。パスワードを知ってるのは私を含め、数名だけです。それに、防犯カメラのデータは1日毎にオンライン上に蓄積されて、半年間は保存されますが、セキュリティレベルを高める為にセキュリティ会社からでなくては削除出来無いようになってます。でも、見る事はパスワードが有ればできます」
「じゃあ、今から見ますか?」
「ええ。ただ実は、この防犯システムに替えたのは此処最近で、私はまだ操作を覚えてません。ミホなら出来ると思います。セキュリティ会社の説明を受けたのもミホですし」
「ミホさんは?」
「今日は休みです。呼び出しますか?」
と、社長が言った時に
凪さんのスマホが震えた。
「おう、節丸じゃねーか? ああ、分かった。俺の家に向かってくれ、2時間後だ。詳しい説明はそこで聞く」
電話の相手は節丸さんらしい、鑑定結果が出たんだろう。
「社長、明日朝1番で来るから、それまでに防犯カメラの映像を探しておいてくれ」
凪さんは言った。
家に帰ると既に節丸さんは着いていた。
途中道が混んだので、3時間近く掛かってしまった。
ビルの入り口の階段で座っていた。
「遅いですよ!」
怒っているが、その姿はまるで縋る捨てられた子犬のようだ。
「うるせぇボケ! 殺すぞ!」
凪さんは、なんの落ち度も無い節丸さんを、理不尽にそう切り捨てた。
「……なんで、僕が怒られるんだ」
と凹んでいる節丸さんの横では
「これ全部、凪さんのーー」
と波久礼さんが驚き言う。
「あまり、詳しくないですが、一応借りてます。古いビルですし、入ってるのはウチだけです」
「都心に、古いとはいえビル丸々借りるなんて、よほど儲かってるの?」
ーーいや、全然です。
私も不思議です。
事務所に入ると、節丸さんは資料を出し、早速結果を話し出す。
「車から出て来たDNAは複数ありましたが、その中の1つがあの廃墟の端切れのDNAと一致しました」
「なるほどなあ」
「驚かないんですね。ーーで、櫛についていた髪の毛ですが、車のDNAの1つと端切れの物と一致。つまり、木村さんの物と見て間違い無いでしょう。複数と言いましたが、明確には4つで、1人が女性。2つは男女で木村さんと思われるDNAと血縁者。少し調べましたが、車は半年前に新車購入してます。乗せた人は少ないでしょう。極限られた身近な人物。たぶん、女性のDNAは婚約者のミホさん。残り2人の血縁者は両親でしょう」
「なるほど」
「想定内ですか?」
「いや、思い浮かべた幾つかの可能性の1つが一致しただけだ」
「その1つとは?」
「秘密だ! 外れたら恥ずかしいからな」
凪さんは堂々と、情けない事を言った。
でも、それはそれだけじゃないのでは……。
今までの経緯を、節丸さんにも話す。
「なるほど! 良かったらその写真今度見せて下さい!!」
「ああ、今有りますよ」
そう言い、波久礼さんはあの写真を出した。
「おお、凄い!! 本物だ!これはーー、霊が直接事件解決に協力した証拠だ!欲しいっ!!」
「欲しいなら、あげますよ。ただ、何かサワリが有っても知らないですよ?」
「サワリ? 祟りですか?」
「まあ、そんな所です。何かあった場合は、燃やして浄化してください。それで大体治るでしょうから」




