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ロリコン探偵と恋する人魚姫  作者: 0(ナイ)
怪異探偵とタクシー怪談
13/56

怪異探偵とタクシー怪談 ①

最近、私は幽霊に興味津々です。


いや、幽霊というより魂という物に興味がつきません。


《命》は、生と死、生まれて死ぬ事で完結しますが、死なない私はなんなんでしょうか?

死んだ時に、疑問の答えが分かるのでしょうが、今の短時間の死では睡眠と大差ないようで分かりません。

そもそも、私は本当に死んでいるのでしょうか?

意識が無い間があり、確かに現代医学の定義で測るなら死んでいるのかも知れませんが、私は必ず生き返るのです。


私もいつか、永遠に蘇ること無く、死ぬ時が来るのでしょうか?

そしたら、そういう事が全部分かるのでしょうか?


死んだら人は、どうなるのでしょうか?

無に帰すのでしょうか? それとも魂が残るのでしょうか?

死んだら人は、どこに行くのでしょうか?

どこにも、行かないならこの世界に幽霊は溜まり続けるのでしょうか?

死んだら人はお互いを認識できるのでしょうか?

もし認識出来ず、消える事も無いなら、生きてる時間が終われば永遠無限の孤独が待っているのでしょうか? それはとてつも無い恐怖ですね。

それとも、輪廻転生があるのでしょうか? 天国や地獄などの別世界が在るのでしょうか?

いや、永遠無限の孤独が来る恐怖を紛らわす為に、そういう空想が生まれたのかも?


私が出会い、時間の流れの中に消えて行って人達は、一体どこへ行ったのでしょうか?


本当にもう疑問は尽きません。

私は本当の死を体験出来る時は来るのでしょうか?

朝から、毎日の日課の依頼のチェック。

受信メールをタブレットで確認する。


凪さんの色好みが激しいので、依頼は減る一方。

ここ数日は0件が続く。此処はどうやって運営しているのだろうか?

事務所の経理関係は全然分からない。


さて、今日はーー?


「凪さん、依頼来ましたよ!」


1件だけ、依頼があった。

「美少女?」

事務所のソファーに寝転び、カメラを弄りながら凪さんがアホ面で訊く。

最近、OH(オーバーホール)が上がったライカⅢFだそうです。仕事も無いのに、趣味にお金を使いすぎdeath!


「タクシー会社です」

私はそんな気持ちも表に出さず答える。

「パスパス」

と私の気持ちを察する事もなく凪さんは言う。


この人は、今の状況を理解してるでしょうか。これじゃニートと変わらない。

良くない! 金銭面だけじゃなく、人としてダメです。

私は依頼の内容を読んで、凪さんの気を引くようなネタが無いか探す。


うーんと……。 あっ、有った。


「ーーでも、制服の美少女女子高生絡み。しかも3人ですよ」

と私は言った。嘘では無いのだが……。まあ、いいか。

「ヨシ! 行こう。直ぐ行こう! ヒャッホーJKだぜ!!」

凪さんは詳しい内容も見ずに言った。

クソ野郎です。死ねば良いのに


家を出る時に、凪さんのポケットに手を突っ込み、今日1番必要な物を入れる。

「何?」

凪さんはキョトンとして言う。

「どうぞ」

凪さんはポケットに手を突っ込み、私が入れた物を出し見る。

「え? これ珠数じゃん? え? 何?」

「まあ、とにかく、タクシー会社に向かいましょう」


タクシー会社に着いて、社長の説明を聞いた凪さんの顔色が悪い。

私を横目で睨むが

私はすっとぼけて、明後日の方向を見る。



タクシー会社の名前は、青空タクシー。依頼の説明も社長が直接するような、小さな会社だ。運転手達は雇いだが、運営はファミリー経営だ。

東京都多摩地域北部に在り。近くには多摩湖がある。

都内であるが、周辺にはまだ多くの自然がまだ残されている。


「ちょっと、時間を良いですか?」

凪さんはお腹でも痛いような、青い顔をして、社長にそう断って、私を連れて一旦外へ出る。

プレハブのショボいオフィスだから、ドアを開ければ直ぐ外だ。


「ヤッちん、話が違うじゃん!」

「違わないですよ。JK3人でしょう」

「それは、まあ置いておいても、俺こういうの苦手なの知ってるだろ? 絶対にダメだって! マジで!!」

「だから、お数珠持って来たんじゃないですか?」

「効かないよぉ! こんなのぉー」


凪さんが必死に拒絶する、社長が話した依頼の内容はこうである……。


新人運転手のAさんは、初めての深夜営業に出た。

出る前に散々先輩に、昔から語り継がれた、タクシー怪談の数々を聞かされ脅された。

それは無類の怖がりであるAさんを、からかっての事だった。特に心霊関係は苦手で、Aさんは日頃から良く、こうやってからかわれていた。


Aさんは先輩に脅され下がり切ったテンションのまま初営業に向かった。

そして、3人の女子高生(高校生と確認はしてないが、制服を着ていた事と背格好や会話から推測し)を乗せた。

彼女達は、制服もバラバラで会話から歳も違うのが分かった。

1番歳上そうなのがセーラー服の子、次がキャメル色のブレザーの子で、紺のブレザーの子は背も1番小さく2人に対して敬語だったので1番歳下のようだった。

だが共通点が1つあった。3人が3人とも、目鼻立の整った綺麗な子だった。


不良ぽくもないし、こんな時間にこんな子達がーー?

とも、Aさんは思ったが、最近の子は習い事やら何やらで忙しい。

きっと、そういう繋がりの子達だから、制服も歳も違うのだろう。そして、これから相乗りして帰宅するのだろう。それなら料金も安くなるし。

ーーそう推測した。


先輩に散々嫌な話(タクシー怪談)を聞かされたが、最初からこんな可愛い子達なんて幸先が良い。Aさんは喜んだ。


……だが、彼女達は心霊スポットを回って欲しいとAさんに告げたのだった。


ははあ、きっとSNSか何かで出会った心霊好きの子らのオフ会か何かだな。と理解した。


折角、気持ちが上向き始めたのに、また下がったとAさんは落ち込んだが、仕事は仕事だと気持ちを切り替える。お化けが怖いと乗車拒否は出来ない。


ただ、こうなると別の心配が出て来る。

「良いですけど、時間が時間ですよ? 」

Aさんはそう言った。

子供だけで深夜に心霊スポットに行くのを、そのまま見過ごす訳にもいかない。

Aさんの記憶では、その時の時計の表示は多分22:30くらいだったという。

「大丈夫です。タクシーから降りませんから、その為のタクシーです」

キャメル色ブレザーの子がそう答えた。歳が真ん中だと思われる子だ。

なるほど、頭が良いな。そういえば、最近そんなサービスをしているタクシー会社も有る。それを見たのだろう。


彼女らの安否の気遣いが無くなると、今度は別の心配が頭をもたげる。

「お金は平気? 結構な額になると思いますよ」

どこまで、どう行くか分からないが、心霊スポットを回るなら、結構な距離になるだろう。女子高生に払い切れるとは思えない。逃げる事は無さそうな子達だがーー。

「帰りは家まで送って下さい。親が払います。今日は私の家にみんな泊まるんで、みんなもそこで降ります。親も今日の事は知ってます」

そう答えた。


随分理解ある親だと言っていいのか分からないが、悪そうな子達では無いし、

これ以上追求するのは接客の範疇を超えるだろう。

「はい、分かりました。では、どう巡ります?」

Aさんは言う通りにする事にした。


「地図有ります?」

そう女子高生の1人が聞いた。今度は1番歳上そうなセーラー服の子だ。

最近は、全てナビを車に搭載しているが、もしもの時(ナビの故障など)を考えて紙の地図も皆持っていた。

「有りますよ?」

Aさんは地図を差し出した。

「此処に印つけても良いですか? 住所とか分からないから、この近くまで行ってくれるだけで良いです」

Aさんは別に構わないですよと、赤いボールペンを渡した。


女の子達はそれぞれ、1つずつ和気あいあいと印を付けた。

各々お気に入りの心霊スポットでもあるのだろうか? 最近の子は変わっている。

でも、この辺にそんなに選べる程の数の心霊スポットなんてあったかな? Aさんは少し疑問を感じた。

自分が知ってる有名所は、あのトンネルと、も1つあのトンネル。あと、あの池。くらいかーー。

とにかく、Aさんはタクシーを発進させ1番近い印の場所に向かった。


Aさんは、ハンドルを握りながら少し変だな? と思っていた。

なぜなら、これから向かうその場所は、今頭に浮かんだどの心霊スポットでも無かったからだ。

他の2つも、心霊スポットだなんて聞いた事も無い。

自分は幽霊なんか好きでは無いが、嫌いだからこそ、危うい場所として先輩達に聞いたそういう場所は良く覚えているのだが、全く記憶に無い場所ばかりだった。


Aさんは女の子達に示された場所を淡々と巡った。

心霊スポットは大嫌いだが、車内できゃっきゃと騒ぐ若い女の子らの雰囲気に

かき消され恐怖も薄れてしまった。


最初の場所は藪だらけで、この奥に廃墟が在るというのだが、暗さも相俟って

藪の奥には何も見えなかった。


次の場所は、ガードレールのある道のカーブ。

ガードレールの下は崖になっていた。

なんてことの無い場所だ。


その次は、山中のトンネル。

山中といっても険しい山奥という訳では、ちゃんと二車線ある国道に掛かるトンネルだ。少し行けば民家もある。


彼女らは、それらを降りずに見ていた。ただじっと黙って見ていた。

Aさんは、それをただ真剣な眼差しで、観察しているだけだと思った。ハンドルを握りながら、真面目に霊などという物をとらえている彼女らを微笑ましく見ていた。


Aさんは幽霊は怖いが、存在を信じては居なかった。

居ないと思っているけど、もし居たら怖いという感じだった。矛盾しているようだけど、空から落ちて来る隕石には当たらないと思うけど、もし当たったらどうしよう!? というのに似ているのだろう。いや、違うか? まあ、隕石の場合は実際に当たる事もあるかも知れないけど。


「全部、回りましたけどもう良いですか?」

Aさんは訊いた。

「ハイ!」

後方からそう明るい声が聞こえた。多分、声からキャメル色のブレザーの子だと思った。


それから、指示されたキャメル色のブレザーの子の自宅に向かい。

着くと彼女達を下ろした。

「今、お金を取ってきます」

笑顔でそう言い、門を開けて家の中に入っていった。


それから、いくら待っても誰も出て来ない。

逃げるような子達には見えないし、確実に門を開けて家の中に入っていったのを見た。

もしかすると、実は両親に許可を得ていなかったのかも知れない? それで、揉めているのかも?


どうするかと考えたが、料金カウンターを見ると2万円近い。

さすがにこのまま帰る訳にも行かない。


Aさんは心を決め、門の脇のチャイムを鳴らした。

一回では誰も出て来ず、何度か押すと「はい」とチャイムに付いたスピーカーから返事がしたので、これまでの経緯をチャイムに内蔵されているマイクに向かい説明した。


だがスピーカーの向こうの声と話が噛み合わず。

しまいには、中から家主の男性が出て来た。


「なんなんだ! こんな夜中に!!」

出てくるなり、家主はそう怒号を上げた。

Aさんはもう一度説明する。

「だから、この家には女の子なんていないよ! 騙されたんじゃないのか?」

「いやでも……」

「分かった! じゃあ、警察を呼ぼうか?」

家主は、それが1番手っ取り早いと思ったのだろう。


さすがに此処まで言うなら、嘘は言ってないだろう。

家主に平謝りして、後日被害届けを警察に出すかは、社長の判断で決めて貰う事にして、一先ず会社に帰る事にした。

一応、連絡は入れてあるが事の次第をキチンと説明しなくてはならない。


Aさんは再びタクシーを走らせた。

脇道を抜け、今来た国道と合流しようとした時、向かいの歩道に

さっきの女子高生達が見えた。


あっ、あの子らはーー!?


Aさんはそう思ったが、彼女らは向かいの歩道である。

国道の反対車線から、他社のタクシーが来た。

キャメル色のブレザーの子が、道に出て手を上げる。

ああやって、無賃乗車をして遊んでいるんだな。Aさんは捕まえて、とっちめてやろうと

思ったが、先に言ったように彼女らは向かいの歩道だ。


そうだ、あのタクシーのナンバーを覚えておいて、乗ったら警察にすぐに知らせよう!

そうすれば、まさに袋のネズミだ。


Aさんはそう思ったが、タクシーはスピードを緩めない。

乗車拒否か? 乗車中のランプは点いてない。

キャメル色のブレザーの子は、道の真ん中に出る。

そして、歩道の子らの方を向き、違うというようなジェスチャーをした。

何やってるんだ? 早く逃げないと轢かれる。


「危ないっ!!」


そうAさんが、ハンドルを握りしめ車内で叫んだ瞬間

タクシーが彼女を通り抜けた。

いや、彼女がタクシーを通り抜けたのだ。

タクシーは彼女達の少し先で止まった。別のお客だ。

そして、タクシーはお客を乗せると何事も無かったように発車した。


彼女達は何か話し合っているようだった。

そして、Aさんのタクシーに気付き、笑顔でこちらに向かい走り出した。

Aさんは向かって来る彼女達と、逆方向にハンドルを切り、急発進した。

会社の在る方向と逆だが仕方がない。


その後、Aさんは無事帰っては来たが、今でもショックで会社を休んでいる。


のだが……。

此処で話は終わらず


この話には、さらに後日談があるのだ。


Aさんの話を裏付けるように、最初に彼女達が印を付けた地図は残されていた。

そして、Aさんのタクシーの車内から、1つの古びた生徒手帳が見つかった。

その生徒手帳にはキャメル色のブレザーの子の写真があった。


それを、警察に届けると

10年程前に行方不明になっている子だと分かった。

そして、キャメル色のブレザーの子が自宅だと言った家のあった場所こそ、

彼女の自宅が行方不明前に在った場所だった。

現在は彼女の家は取り壊され、新たな住人が住んでいる。

家族は別の場所へ越し暮らしていた。


警察の捜査はまだ続いている。



……という、話であった。


「ーーで、俺に何しろってあの社長は言うんだよ! 」

凪さんは半ギレで言う。

「お化けが怖いってなんですか? 私達は死なないのに」

「何言ってんだよ。毒も針もないゴキブリが死ぬほど怖いって奴だって、この世界にはいるんだぜ!」

「幽霊とゴキブリを同列って、幽霊に失礼じゃないですか」

「とにかく嫌なんだよ!」


と2人で揉めていると、背後でバイクが止まった。

「あっ、初期型RZじゃん。ナナハンキラー。ニーゴー(250cc)? 渋いな」

凪さんがバイクを見て言った。

私はバイクから降りて、ヘルメットとゴーグルを取った人を見て、あっ!? と思った。

向こうも気付いたらしく、私を見て

「あっ! 君は?」

と言った。


バイクから降りて来たのは、あのニコマートを持った青年でした。

カッコも変わらず、全身黒ずくめでした。勿論、あの壊れたニコマートも持っていました。

「なんだ? 知り合いか? 」

凪さんは私に訊く。

「前に、ちょっと」

「ああ、ちょっとぉー?だぁ?」

と、凪さんは訝しそうに、また威嚇するように青年を見る。

そして肩に掛けられたニコマートに気付き

「なんだ、そのニコマート? まるで戦場帰りじぇねーか?」と言った。

「地雷を踏んだら、さようなら。かーー」

青年は凪さんに言うとも無く、独り言のように軽く笑って言った。なんだかその姿は、自嘲的に見えた。

そして「ああ、俺、こういう者です」と

青年はシングルのライダースの内ポケットから、銀色の金属製の名刺入れを出し、

そこから1枚取って凪さんに、これまた黒い名刺を差し出す。

凪さんはまた訝しそうに、名刺をじっと睨む。

「あ? 怪異探偵?インチキ臭えな。ーー? なんて読むんだ?」

波久礼(はぐれ) 銀太(ぎんた)です。初めまして」



つづく

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