第十四話:魔王、盗賊を退治する
大勢の男女の悲鳴が聞こえた。
また、転移者が暴れているのか。
瞬間移動!
見覚えのある村だ。
村人が全員殺されている。
老若男女関係なく。
死体ばかりだ。
青い作業服の男性の死体があった。
この人には見覚えがある。
転移者で農業をやると言ってた人だ。
結局、殺されたか。
可哀想に。
人相の悪い男たちが、十五人くらいやって来た。
私を囲む。
「お前、悪魔の魔法使いのマオだろ」
「あんたらは転移者ね、なんでこんな事するの」
「お前を誘い出すためだよ」
ゲラゲラ笑うごろつきども。
私のせいで、この村の人たちは全員殺されたのか。
胸が痛む。
こいつらは許せん。
私はすっと腕を横に振る。
瞬殺!
魔法が効かない。
なぜ!
ボスらしき大男の奴がニヤニヤ笑う。
「この村では、魔法は効かないぞ。今、結界を張ったからな。俺たち転移者を散々殺しやがって」
「悪い事をしなければ殺したりしないわ。この農業をするためにやってきた人のように」
「農業なんて、やってられるかよ! 殺しまくり、やりまくる。それが異世界の醍醐味だ」
転移者盗賊どもが、また笑いやがった。
この、クズどもが。
こいつらの頭の中を読む。
結界を張ったのは、この前の洞窟での魔法使いらしい。
同一人物としかわからない。
まあ、仕方が無い。
「だったら剣で戦うしかないわね」
私は魔王の剣を抜く。
刃先まで黒い、切れ味抜群の剣だ。
「やっちまえ!」
盗賊がいっせいに襲いかかって来る。
先頭で斬りかかってきた奴の胴体を斬る。
「ウグ!」
呻き声を出して、体から血が吹き出しながら、そいつは倒れた。
次の奴が剣を振って来るが、簡単によけて、首を斬り飛ばす。
胴体を蹴とばすと、噴出した血で辺りが真っ赤に染まる。
「この、クソ女!」
盗賊どもは、うろたえ始めた。
もう一人が大型ナイフで襲ってきた。
よけて、腕を斬り飛ばす。
そいつは悲鳴をあげてのたうち回る。
胸に剣を突き刺して、とどめをさした。
一度に二人に襲いかかって来た。
私は跳躍して、そいつらを飛び越える。
襲ってきた一人はそのまま倒れた。
飛び越える時に、首を斬ってやった。
もう一人が背後から襲って来るが、剣を逆手に持って後ろに突き出す。
そいつの胴体に刺さって、倒れ込んだ。
「ちくしょう!」
大男のボスが長剣で襲ってくる。
胴体を切る。
他の連中は逃げて行く。
虫の息のボスの腕を掴む。
魔法使いへの波動が伝わって来る。
どうやら魔法使いは結界を解いたらしい。
居場所が分かった。
この、クズ野郎! とボスの首をたたっ斬る。
結界を解いたのは、多分、私を誘い込むつもりだろう。
しかし、私は魔王。
秩序維持には、危険も承知だ。
瞬間移動!
結界を張った魔法使いとは、どんな奴だろう。