第十三話:魔王、メイド喫茶に行く
アンナちゃんのストレスを解消してやらねば。
「どこか、気晴らしに行きたいとこはない?」と聞くと、
「メイド喫茶」と答えが返ってきた。
何だろう、メイド喫茶とは。
イフリートに聞いてみる。
「異世界からきたものですね。メイド服を着た店員によって給仕や、店内でイベントなどが開催されるようです。客が別料金で他のサービスを受けられるケースもあるみたいです」
「他のサービスとはなに?」
「客の男性と同伴するとか」
「それは売春行為ではないのか」
「そうかもしれません」
私は売春は禁止にしている。
けしからん。
これは視察が必要だ。
とりあえず、行ってみるか。
アンナちゃんは、紛らわしいので、メイド服はやめて普通の服に着替えた。
瞬間移動!
ちょっと大きな街に行く。
なんだか怪しげな店があるぞ。
ピンク色の扉。
中に入ると、ニコニコ顔したメイド服姿の店員さんたちから、一斉に、
「お帰りなさいませ、お嬢様!」と言われてビビる。
ここは、私の城ではないぞ。
テーブルにアンナちゃんと座って、ジュースとか注文する。
やや値段が高いような。
まあ、それはいいか。
なんだか店員さんが、小さいステージで歌ったり踊ったりしていて、客は受けているけど。
アンナちゃんも店員さんと、ゲームやったり、お喋りしたりと楽しんでいる。
他のテーブルでは、男性客に、メイドさんが、
「萌え萌えきゅーん!」とか言っている。
何だかよくわからないな。
ちょっと、男性同伴の件を聞くと、
「私たちの店は健全経営です!」とメイド店員さんに怒られてしまった。
けど、本当かなあ。
私には、この雰囲気が合わないぞ。
すっかり疲れて、店を出る。
あれ、メイド服着た女性が男と歩いているぞ。
売春しているにちがいない。
けしからん。
メイド喫茶は禁止! とアンナちゃんに言ったら、
「あれも禁止、これも禁止じゃ、みんな疲れるよ! マオちゃんはいいかもしれないけど」と珍しく怒っている。
アンナちゃんに怒られてもうた。
言われてみればそうかもしれない。
支配者とは面倒だなあ。
仕方が無いので、悪質なのを除いて、許可することにした。
けど、疲れてきた。