6話 日本・前世
今回はちょっと短いです。
日本、某日。
ある引きこもりがちの高校生が道路を歩いていた。
名前は柊木 蛍 (ひいらぎ ほたる)16才。
「う"っ。眩し・・・太陽ってこんなに強かったか?母さん、お使いかよ・・・体力がごっっっそり・・・」
普段、自宅警備員を積極的にしているからか、家の外に出るのを躊躇う傾向にある。
「早く警備任務に戻らなければ・・・。同胞達(ネトゲ友達)が待っているのだ」
とボソッと呟く。
とはいえ引き篭ってばかりの蛍に、真夏の昼間の1番暑い時間帯に外を歩いているだけでも無いに等しい体力が持っていかれると言うのに、早歩きをしてしまっては更に疲れて帰りが遅くなる危険性があるのだ。
「仕方ない・・・ゆっくり歩くか」
小さい頃より見慣れた道を歩みながら所々記憶とは違う見慣れない建物に驚きながら、目的の弁当屋へと向かう。
小さい頃に何回も見た弁当屋のおばちゃんが居た。最後に見た時とちっとも変わっていなかった。
「あらぁ。久しぶりねぇ。蛍ちゃん?いつぶりかしら?」
こちらとしても久しぶりの会話にたどたどしく言葉を紡ぐ。
「あ、ああ、そうですね・・・」
注文をしなければならないのだ。
「あ、あの、チキン南蛮弁当を2つお願いします・・・」
自分の分と、母の分だ。
注文しながら財布からお金を探す。
「南蛮弁当2つね?えーっと全部で480円ね。
はいこれチキン南蛮弁当2つね?」
母さんに頼まれた弁当を受け取る。
手馴れた手つきでレジに打ち込む。500円があったのでそれを渡す。
それを受け取ると、レジを開いて10円玉を2つ取り出す。
「はい、お釣りの20円ね」
「あ、ありがとうございます」
そのお釣りを受け取ると、弁当のおばちゃんが
心配そうに聞いてきた。
「最近学校に行くの見かけないけど大丈夫?
何かあるなら話は聞くわよ?」
心配そうにこちらを見る。
「・・・だ、大丈夫です」
仕事が済んだので立ち去ろうとすると、弁当屋のおばちゃんに呼び止められた。
「蛍ちゃん!」
ちょっと驚きながら振り返ると、
「また来てね?」
「あ・・・はい」
家に帰ると意外に話せたと思い、自宅外任務も悪くない、と感じていた。
翌日、雨。
久しぶりに学校へ行ってみようと、歩き出す。
「この通路も久しぶりだな」
家を出て2・3分もした頃、十字路に差し掛かった。
すると、キィィィィィィィィィィ!!と真っ黒な車が突っ込んでくる。曲がりきれ無かったのだろうか。
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母さん?
母さん、なんで泣いてるの?
先生も?なんでここに?
喋ろうとするも声が出ない。
母さんの、先生の声が聞こえない。
霧のような意識の中、そう思った。
(よし治った・・・でもまだあそこに居るんだよなぁ・・・まあいっか!)
ん・・・?人の・・・声・・・?
人の声?
意識がはっきりしてきた。
(ということで貴方は若くして死亡しました。)
と、脳内に声が響く。
ここまで見てくれてありがとうございました。
7話はもうそろそろです。