3話 出会い
今回は短めです。
もう一回こっちの世界に来て数十分後、2人の人に会った。名はドッツェと言うらしい。畜生、男かよ。
1クラスに1人は居る皆まとめる陽キャみたいな顔の爽やかイケメンと、もう片方は名乗らなかったが、コッチは自分勝手なお嬢様といった感じの娘だ。
二人とも何か心配そうな表情をしていた。
爽やかイケメン君が話しかけて来た。
「ねえ君、ここで何があったか分かるかい?」
ここであったこと?
「あ、ああ。俺には分からない。それはこっちが聞きたいぐらいだ」
人と話すなんて久しぶりで緊張した。
お嬢様(?)が口を開いた。
「な、なら、何故ここに居るのよ?ここに居るなら何があったか分かる筈でしょ?」
そういやそうか。
普通に考えたらそうだ。
この場合、嘘でもいいから何か話すべきか、それとも、今ここに来た。ここに転生してきたと、だから分からないと、正直に言うべきか・・・。
少し考えて俺は後者を選んだ。
「ああ、俺は今ここに飛ばされたみたいなんだ。だからここに来る前の事は分からないよ」
「そうか。ありがとう、大変だったね。実は僕、この先にある王国の貴族なんだ。ある国に視察に行っていてそこから帰ってきた所なんだ」
「それは凄いな。貴族か・・・」
「って言っても下級貴族の王国騎士団の下っ端なんだけどね」
下っ端貴族が視察に行くのか?この世界は。
まあ別に俺には関係のない事だけどな。
このドッツェという下っ端貴族君からこの世界の情報を聞いた。この男が居た王国が何かが原因で滅んでしまったらしい。
俺が情報を聞くだけでは不公平だということで俺の世界のことを話した。
「紹介し忘れていたね。この子は・・・。
さっき言った王国で、僕の探した限りで唯一の生き残りだ。
今・・・と言っても、今はもうないけど今の国王の前の国王、つまり前国王。最後の王の父。その人が孫娘を1人、地下に放り込んだ。
その噂が本当なら、この子が最後の王の子供だ」
「そうなのか?」
その王の娘と紹介された子に尋ねる。
「・・・。(コクリ)」
頭をゆっくりと縦に振る。
「その王国に案内してくれるか?」
その王国に行かなければならない、行かなければ後で後悔すると何故かそう思った。
「誰かが俺に来いと言っている・・・気がするんだ」
と、かっこつけながら言った。
ここまで読んで頂きありがとうございます。