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ブランチオブ・ポテンシャル  作者: αラッブ
15/26

15話 ゴブリン討伐クエスト

遅くなりました。

 ゴブリン討伐クエスト、目標討伐数は10匹。

「なあ、斉藤」

「何だよ」

 俺は斉藤にある提案をした。

「10匹俺に殺らせてくれないか?」

 斉藤は意外そうな顔で、

「は?無理だし」

 即答。

 一瞬の間もなく、食い気味にキッパリと否定し、

「なんで?」

 と返答すると、

「金だよカネ。

 全部お前がやったらその金はお前のだろ?」

 また食い気味に答える斉藤。

 その理由に

「全く、お前は昔からそうだよな。

 金は山分けでいいから。

 "マゲ"でやってた居合とかその辺を試したいからな。

 丁度刀持ってるし」

 マゲとはあっちの世界でそこそこ人気ゲームのマインド・ゲイブの略称だ。

「よし分かった。

 いけ、行くのだ!!

 我が金を稼ぐ為に!!」

 また即答。

「・・・お前、そんなキャラだったか?」

 前より酷くなってる・・・

『 うわぁ・・・(困惑)』『 えぇ・・・(困惑)』『 うわぁ・・・(困惑)』


『 あれじゃね?』

 斉藤を置いて、少し歩くと濃い緑で流線型の何かが見えてきた。

「あれがゴブリンか?」

『 おっ』『 おっ』『 おっ』『 おっ』

 と小声で呟き、ゆっくり音を立てないようにそっと近づく。

 木々の間を縫うように進んで行き、腰の刀に手を添え、更に進み見えたのは鮮烈な赤。

『 お?』

 赤!?

『 ん?』『 ん?』『 ん?』『 ん?』『 ん?』『 ん?』『 ん?』

 おいおい、まさかな・・・

 まさか先にいたのか?

「よし、はっきり見える位置まで着いた」

 そこにあったのは森の中で開けた場所。

 その中心には焚き火があり、それを囲うように丸太の椅子が配置されている。

 クエストを行っている冒険者らしき人影はない。

 更に言うと、そこに生きている生物の気配はない。

 見渡さずとも否応なしに視界に入っているその光景に身の毛がよだつ。

「何だよ・・・これ」

『 は?』『 ヤバい・・・ヤバくない?』『 は?』『 うわぁ・・・』『 は?』

 近寄ってみると、ゴブリンの死体が幾つか見える。

 一つは、巨大な何かに押し潰された様に内蔵から肌までも全て飛び散る個体。

 一つは、素人の俺にもわかる強力な"聖力"の残滓を血が覆っている。

 一つは"魔力"の塊に串刺しにされ、木に打ち付けられている幾つかの個体。

 あまりにも凄惨な状況に吐き気を催し、その場に立ち尽くす。

 ・・・が、直ぐに気分の悪さは収まっていく。

 それに気味の悪さを感じながらも状況を確認する。

 1・・・2・・・3・・・4・・・

 合計11匹。

 その全てが見るも無残な殺され方をしていた。

 それに近寄ろうとした、その時

「お前、面白い魂をしているな」

 地響きの様な声が響いたと思うと、

 ・

 ・

 ・



 俺は飲み込まれていた。

 体の表面から徐々に溶けていく。

 抗う事も叶わず、HPが減っていくのを感じる。

「・・・い、今たす・・・いく・・・な」

 半透明な"これ"の外から微かに見知った声が聞こえ、それと同時にギルドでのあの声も聞こえた。

(状態異常、溶解を確認。傷の治療を開始します。)

(状態異常、溶解を確認。傷の治療を開始します。)

「そういえば出血やら溶解やらって状態異常に入るのか?」

 無意識に声に出していた様だ。

『 入るんじゃね?(適当)』『 状態異常とは違くない?』『 違うやろ』

(状態異常、溶解を確認。傷の治療を開始します。)

 確かに溶解する前に体の状態は戻ったが、何故かHPは減ったままだった。

 そして、そのままHPは0になり、死亡した。




 と思ったが、そこは慣れ親しんだ洞窟の世界。

 "マインド・ゲイブ"

 今は前から知っていた日本に居る俺が、丁度ゲーム中だったらしい

 俺は「ふう・・・良かった」と、安心した様にため息をついて西へ歩き出した。

ここまで読んで下さってありがとうございます。

次回もお楽しみに

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