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ブランチオブ・ポテンシャル  作者: αラッブ
13/26

13話 パーティー結成

 一夜明けて今日は冒険者ギルドにクエストを受けに来ている。

 受け付けの人は昨日のお姉さんだ。

「こんにちは、クエストですか?」

「あ、はい。でもその前にパーティーを組みたいのですが・・・」

 と斉藤が言った。

「あ、そうですね。分かりました。

 ではこちらの紙にサインと血判をお願いします」

 と、色々書かれた白い紙とボールペンを差し出した。

『ボールペン!?』『他の異世界人が居るのか?』『この世界も偶然同じ物を作った可能性が微レ存』『あぁ〜文明文化の音ォ~♪』

 異世界(地球)人説が濃厚だろうなぁ。

 俺達の他にも居るのか?

 紙の方を見ると、見たことも無い文字がズラリと並んでいた。

「うっわ、文字読めねー」

 そう言うと、斉藤が深いため息をついて言った。

「はぁ、やっぱりか。

 あの、こいつ文字が読めないので俺が書いて良いですか?」

 斉藤は嫌そうにペンを持った。

「はい。問題ないですよ」

 返答を聞くと、斉藤は「こうだったか?」とか「あれ?」とか言いながら書き終えた。

「これで大丈夫でしょうか?」

 受け付けの人は紙を受け取って目を通して、

「えー、はい。問題ないです。

 ではこちらにお二人の血判をお願いします」

 とカッターナイフが差し出された。

『まじかよ・・・』『ここにも文明文化の音がする・・・』

 流石に自分の指を切るのは抵抗があるが、しょうがないのでそのカッターを取り、刃を出して、指に刃を当てて、引いた。

 意外に痛みは少なかったが、それとは別に妙な感覚があった。

 そのうちにその感覚も引き、気のせいだと思う事にし、確かに血は出たので指定された所に押す。

(状態異常、出血を確認。傷の治療を開始します。)

『!?』『は?』『!?』

『!?』『!?』『状態異常無効さんデリケート過ぎな?』『!?』

 は?

 急なアナウンスとその内容の頭の悪さに驚いた。

 指をちょっと切った位で発動するとか今後ともよろしくお願いせざるを得ない。

 指を見ると傷はもう既に消えていた。

 それを、また気のせいだと強引に思うことににした。

 斉藤は刃を拭いてから、指を切って血判を押した。

 受け付けの人はその紙をまた回収し、目を通した。

「えー、はい。確認しました。パーティーの結成をしました。

 パーティー名はどうします?」

 斉藤は少し考え、俺に振った。

「なあ蛍、どうする?」

「いや、どうするも何もそんなの後で良いだろ?」

 思った通りのことを言うと、

「僕も同じだ。よし、じゃあ。

 パーティー名は後で決めます」

 そう言った。

 受け付けの人はふふっと笑うと、

「・・・すみません。

 他の冒険者は必死に考えるので後回しにするのは珍しいんです。

 それで、クエストの発注でしたか?」

「そうです」

 どうせギルドランクは低いので薬草採取とかその辺だろう。

「では、採取クエストと討伐クエストのどちらにしますか?」

 なるほど、選択肢があるのか。

「討伐で」

 と俺が答える。

「それが良いな」

 と斉藤も答える。

「分かりました。では十体のゴブリンの討伐です。

 報酬については戻り次第お話しします。

 では、ご武運を」



 俺達はギルドを出て 、門を潜り、森へとたどり着いた。

「ここか」

 と、斉藤が呟いて向かおうとして、俺が引き止める。

「おい・・・斉藤」

「?・・・何?」

 斉藤が振り向く。

 さっき突然話しておかなければならない事を思い出した。

「実はあっちの世界にも俺が居てな」

「・・・は?・・・う、うん」

 斉藤は驚いている様だったが、話を聞いてくれた。

 そして、向こうの俺の記憶らしきものを元に話を進める。

「その俺がおめーの母さんに会ってきたわけよ」

 そう言うと、いきなり様子がおかしくなった斉藤が、カチコチに固まって声を漏らした。

「・・・あ。忘r・・・」

 こいつ、ヤバい事言おうとしてなかったか?

「今何て言おうとした?」

 と問い詰めようとすると、

「イイエナニモイッテマセン」

 と斉藤は食い気味に反論する。

「いやおま・・・」

「ナンノコトデスカ?」

 俺は溜め息をつく。

 いやお前あれだけで満足したのか・・・

 いやいや、まさかな。

 と、ほぼ確定してしまったアホすぎる未来にささやかながら希望を持ちながら・・・いや、1つまみ位つまみながら質問をする。

「はぁ・・・お前、あの置き手紙だけで満足したのか?」

 斉藤は恐らく冷や汗をかきながらこう言葉を漏らした。

「ハイ・・・あの興奮の中、ノリと勢いでアレで満足しました」



 日本。


 斉藤の家から帰ってノリと勢いで異世界に行った阿呆な友を異世界から帰って来させる方法を模索し始めたが、模索するも何も異世界の事は何も知らないのでどうしようも無いのだ。

 しかし、1つだけ俺が体験した方法を知っているが、俺がそうさせるとすると人間としての尊厳が失われそうなのでやめておく。

 しかし、取り敢えず斉藤を殺してあの女神に頼むのも方法の1つとしてメモしておこう。

「んッ・・・はぁ。・・・今の所、斉藤の事は保留だな」

 と、背伸びをした。



ここまで読んで下さってありがとうございます。

次回もお楽しみに

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