雨の日の約束
梅雨でございます。雨がよく降る季節でございます。そんな時期にちょうどぴったりの小説はいかがでしょうか・・・?きっと、うっとおしい、蒸し暑さが吹っ飛ぶとおもいますよ。ぜひ一読くださいませ。
ではでは、三島云々倉本保志の久々短編読みきり小説ここに投稿でげす。
雨の日の約束
午後9時を過ぎていた。
たかしは急に降り出した雨がやむのを駅の出口で待っていた。
今年高校3年になるたかしは、受験のため2つ先の駅にある塾に通っていて
学校の帰りに立ち寄るためいつもこんな時間になってしまう。
今日は、朝雨が降っていなかったために生憎傘を持っていなかった。
「ついてないなあ、・・・」
「雨・・止みそうにないし・・」
「母さんに電話して、傘持ってきてもらおうか・・」
ズボンのポケットから携帯を取り出して、電話をかけようとした時にふと横を
見ると、傘をさし雨でべとべとに濡れたゴザの上に、ちょこんとかしこまって
いる男の子がいた。
歳は10歳ぐらいだろうか、こんな時間に、雨の中を・・・
しかも一人で・・・・?
Kは、ただならぬ違和感を抱いていた。
無意識に、男の子のほうを覗いていたせいであろうか・・・? 傘の中から
逆にその男の子がこちらを覗いた
「こんばんは」
男の子は、にこりとほほ笑んだ
「やあ、ど、どうも・・」
たかしはすぐに愛想笑いを浮かべて言った。
(・・・なんだか薄気味悪い)
たかしは、男の子から、目をすぐに逸らした。
「お兄さん、いらない?」
「え・・? なに・・?」
「てるてる坊主・・・いらない・・・?」
「1つ、50円・・・どう・・?」
「あ、いいや、いらない・・・」
「そう・・・」
男の子は残念そうに俯いた。
・・・・・・・・・
(なんだ、この子は?)
(テルテル坊主の売り子なんて聞いたことがないぞ)
蒸し暑い夜に、まるで悪い夢を見ているかのようだった。
あたりは、薄暗く、遠くで雷が聞こえる。
そんな中、雨がさらに強く振りだした。
・・・・・・・
流れる時間がやけに遅く、気まずい雰囲気が、分厚い雲に覆われた
梅雨の空のように二人の間に漂っている。
「・・・・・・・・・・」
(もしかして、この子・・?)
(親に言いつけられて、てるてる坊主を売り切るまで帰れないんじゃ
ないのか・・?)
(まさか、新手の幼児虐待じゃないだろうな・・)
たかしは、この子が、だんだん、気の毒になってきた。
しかも、同じ場所に、やむを得ずいる境遇が、二人の距離をさらに縮めるような
気がしていた。
「あの、坊や・・?」
「・・・なに、お兄さん?」
そのこは、すぐにこちらを振り向いた。
「その、テルテル坊主なんだけど・・・」
「ひとつ、くれるかな」
そう言って財布を出すと、たかしはその子に、50円を渡した。
「ありがとう、」
「はい、これ、」
そのてるてる坊主は、薄汚れた白い、ハンカチで作られていた。
(やっぱり・・・あやしい・・?)
たかしは、先ほどの嫌な予感が的中しているような気がしてならなかったが、
てるてる坊主を手に取ると、そそくさとズボンのポケットにしまい込んだ
・・・・・・・・
気掛かりではあったが、さっきよりは、なんだか、気持ちがすっとした。
(まあ、自分にできることはこれぐらいだ・・50円なんて安いもんだし)
たかしは、自分に言い聞かせるように呟いた。
「あの、お兄さん?」
「ん、なんだい・・・?」
「そのテルテル坊主のことなんだけれど・・・」
男の子がたかしに言った、
「どうかした?・・・これが・・」
Kは先ほどのてるてる坊主をポケットから取り出した。
「約束事があるんだ。」
「うん・・・?」
「お兄さんが、もし、そのてるてる坊主に、お願いをして、願いどお
り晴れたら、ちゃんとお礼をしてほしいんだ」
「お礼・・? いいよ、君に今度会った時でいいのかな?」
「いいや、僕じゃなくて、その、てるてる坊主に」
「てるてる・・・あ、そう・・・いいよ」
たかしは、少し不思議に思ったが、そう返事をした。
「甘酒をお猪口に一杯でいいんだけど」
「あげてね・・・」
「・・・・・」
「わかった約束するよ」
たかしの答えを聞いて、その子はにこりと笑った。
「ありがとう・それと・・・もう一つ」
「んん・・・?まだある・・?」
「うん、もし、このてるてる坊主が、雨を降らせたときなんだけど・・
「・・・・・」
ザザザア・・・急に雨が激しく降り出して来た。
「首を、ハサミで、切り落としてね・・
たかしは、むかし、母が歌っていた童謡にそんな歌詞があったのを
思い出した。
「いい、絶対だよ、絶対・・・」
「う、うん、判ったよ、必ずそうする。」
「・・・・・・・・」
高校3年のたかしは、この小さな子どもに、威圧されるような、怖さを
そのとき感じ、身震いをした。
「もし、首を切らないと・・・」
「えっ・・?」
ザザザザザザ 一層雨音が激しさを増し、二人の会話を遮ってしまった。
「・・・・・・」
キキキー
自転車のブレーキの音が鳴り響き、同じ高校に通うひろしが、急に目の前に
表れた。
「なんだ、たかしじゃないか・・・?」
「あ、・・・ひろし」
「なにしてんの、こんなとこで・・・?」
「あ、うん、あまやどりをね・・・はははは」
たかしは、てれ隠しに笑って見せた。
「・・・なら、貸してやるよ…傘、ほいっ」
そういって、ひろしはたかしに傘をほおり投げると
「うち、すぐそこだから・・・・」
そう言って、そのまま、自転車を強くこいで行ってしまった。
(ふう、・・・これで、なんとか、帰れそうだ)
・・・・・・
「ぼうや、じゃ、帰るから、ありがとう・・・
たかしは、そう言って、男の子のほうを振り向いた。
しかし、その子供の姿は、どこにも見当たらなかった。
(おかしいな、いつのまに帰ったのかな・・?)
「・・・・・・・・・」
雨は、いつの間にか小降りになっていたが、たかしは、借りた
傘をしっかりと
さして家へと帰って行った。
たかしは、あの子から買った、てるてる坊主を自分の部屋に吊る
していた。
ちょうど机の横に広がった窓の上で、そのてるてる坊主は、俯き
加減にたかしをいつも見ていた。
「小学生のときなら、まだしも、この歳になって、晴れてほしい
日をお願いするなんて、めったにないよな・・・」
そう言いながらもたかしは、嬉しそうに、てるてる坊主をじっと
眺めていた。
それから、数カ月がたった。
今年最後の高校生活も、はや夏休みに入っていた。
来年の受験を控えて、たかしは勉強に勤しんだ。
てるてる坊主は、いつのまにか忘れられ、部屋に吊るされたまま
になっていた。
プルルルルルル・・・・
携帯の着信音が鳴った
「はい、もしもし・・」
「あ、たかしか・・・?」
受話器の向こうでひろしの陽気な声が聞こえた。
「あのさ、明日なんだけど、なにか用事ある?」
「用事・・?べつにないけど・・勉強が・・・」
「よかった、じゃ、海行こう・・海・・」
たかしは、一応驚いて見せたが、ひろしからの電話に、だいたい
の予想はついていた
「ええっ、明日・・・? 急だな、ほんと・・」
「いいじゃん、暇なんだろ、行こうよ」
「暇じゃないって、受験生何だから・・・」
「じゃ、またあとで連絡するから・・・
「えっ、ちょ、ちょっと」
「じゃな・・・」
そう言って電話が切れた
その夜たかしは、てるてる坊主にお願いをした。
「どうか明日、晴れますように・・」
(まさか、本当にお願いすることになるなんて・・)
たかしは、てるてる坊主の頭をちょんと突ついた。
高校生にもなって、てるてる坊主もないだろうに・・・
ちょっと照れ臭かったが、暫く感じたことのない菅々しさを
感じていた。
窓越しの空を見上げると、分厚い入道雲が沸きったていた。
たかしは、ふと、雨の日のあの出来事、あの、男の子のことを
思いだした。
・・・・・・・・・
(そういえば・・・どうしているんだろう?)
あれ以来、駅の出口であの子に会うことは、一度もなかった。
次の日は、見事なまでに、どしゃ降りの雨だった。
ちょうど、あの子と会った時の、あの夜のような酷い雨が、朝から
降り続いていた。海へ行くのは、当然中止となり、たかしは、暫く
ぼんやりと過ごしていたが、気もちを切り替えて勉強を始めた。
食事を取るのも忘れて、勉強した。なぜだか、その日は集中して
苦手な数学にも取り組めた。
夜遅くなった為に、たかしは、そのまま机に伏したまま、寝入って
しまった。
・・・・・・
Kは、大事なことを忘れていた。
あの子との約束、てるてる坊主が、雨を降らせた時の約束事だった。
夏休み明け、たかしの通う高校は、かれのうわさで持ちきりだった。
「・・・・・・・」
「しかし、不思議な話だよな、」
「たかし、絶対、自殺するような感じじゃなかったし」
「志望校も、余裕って感じだったよな・・」
「そうそう、学校では、受験を苦にした自殺って説明してたけど・・」
「やっぱ、あれかな、海にいけなかったのがショックだったのかな」
「ばか、ふざけるなよ、不謹慎だぞ・・・」
「でも、お母さん、かわいそう・・」
「・・・今でも相当、参ってるらしいよ、内のお母さんが言ってた」
「・・・・・・」
「そりゃそうだろう、なんせ一人息子が、あんな、形で自殺・・」
「たかしが、首を吊って死んでいるのが見つかったのは、ちょうど、
次の日、(雨で、海にいけなかった次の日)のことだった。
自殺したとされる時刻は午前0時ごろ、閉め切っていたはずの窓が開
いていて、雨が外から吹き込み、部屋一面が雨で濡れていたらしい。
白いカーテンが揺れて、彼の体に纏わりつき、まるで・・・・のよう
だったという。
・・・・・・・・・・
そして、あの、てるてる坊主は、もう部屋には、吊るされていなかった
が、そのことに誰一人気付くものはなかった。
おわり
最近、ちょっと、小説が下手になってしまったんじゃないか・・?そんなことを自ら、かんじておりました。なんか、こう、切れがないというか、ぐだぐだな会話になってしまうとか・・・べたべたな展開になっているとか、倉本保志らしさが、ないとか、もしかして私は今、スランプじゃないか・・・?
この小説を書いて、そのような不安が一気に吹っ切れました。やっぱり私はすごい。皆さんも口に出さずとも、そう思われているはずです。どうか皆様のちからで私めを広く世に引っ張り出してくださいまし~




