春告雪
煙の匂い
荷物の音
着いた駅で気づく
懐かしい横顔
改札の音
放送の声
二つの行き先
里帰りと帰京
見知らぬ街
忘れた街並
角の古看板
昔のままの笑顔
足のむくまま
何気ない気のまま
微かな昔の残り香
廃屋の引き戸
見上げる空
古アパートの階段
落書きの跡
隠れんぼの記憶
今は亡き友柄
彼の手の鉛筆
書き綴った手紙
全ては切ない
母校のキャンパス
忘れていた痛み
元気?と聞く後に
幸せ?とは聞かない
私の記憶の中
彼はもう彼ではない
私の心の波は
一人揺らいでいた。
いつか会えるの
どこで会えるの
あなたはもういない
心に響くは残像。